……グルメタウンに来た瑞貴とトリコと小松は、節乃の食堂で伝説のスープ・センチュリースープを振る舞われる。しかし、そのスープはまだ未完成であった。

自然界に存在する本物のセンチュリースープを手に入れることを決意する瑞貴たち。その情報を持っている人物に会うため、酒場へと向かった。



☆☆☆☆☆


バーにさっそく小松さんと入ってみると、何故か異様な静けさと共にウェスタンドアの音で反応したのか中にいる人たちが一斉にこっちを見た。注目されて小松さんは冷や汗を流し、私は首を傾げるとトリコが再びウェスタンドアを開けた。


「オーッス！」

「ト、トリコだ！」

「本物か!?」

「トリコが現れたぞー！」

｢｢｢｢｢おおぉぉおおおっ!!｣｣｣｣｣


トリコの姿を確認した途端、唖然としたや否や一気に店の中が騒がしくなった。


「懐かしいなー、ヘビーロッジ！　相変わらずの賑わいだ！」

「スゴいですね～。みんなトリコさんのこと知ってますよ！」

「そういや、トリコって有名人だったね」

「そういやってなんだよ」


こう多一緒にいることに慣れ過ぎたのか、トリコが美食屋のカリスマである美食四天王だってこと忘れつつあるんだよね。トリコに続いて私たちはバーカウンターへと向かった。


「トリコ……我々グルメ騎士(ﾅｲﾄ)のリーダーも一目置く人物……」

「ハッ。当然だろ、あいつは美食四天王。俺もかつて四天王の一人と挑んだことがある。殺されるかと思ったぜ……『ゼブラ』という男だったが、この体の傷は全てそのとき付けられたモノだ。それもたった一撃でな」


……トリコを見て青い服を着た青年と、全身に傷を持つ男が、先ほどまで戦いそうだったがトリコの登場に戦う気を失せてしまったようだ。


「あの女性は？」

「さあな。俺も見たことねぇが……誰かに雰囲気が似ているんだよな」


男は瑞貴を見て目を細める。頭に浮かべた者と服装は全然違うし、そもそもその人物は仮面をしていたが、どことなく同じ雰囲気を感じて目が離せなかった。


（まさか、な……）

（なんだろう？　初めて見たのにドキドキする……）


……青年も男と同じように瑞貴に目が離せなかった。同時に胸が微かに高鳴って頬が赤くなっている。


「よお、マスター。ご無沙汰だったな！」

「ほらよ、エナメルビールだ！　飲みな、トリコ！　いつぶりだ？　寂しかったぞ」

「ここへ来なくても、仕事の依頼に事欠かなくなったからな」


トリコはマスターからもらった超特大ジョッキのエナメルビールを飲んでいく。さっきも思ったけど、ここはトリコの馴染みの店みたいだね。


「そんな冷てぇこと言うなよ！　仕事関係なく来てくれって！」

「おかわり！」

「早ぇよ！」


あんなにあったビールを一気になくしてしまった。しかもおかわりって……こいつはアルコール中毒とか無縁っぽい。