《困ッタモンダ》

「！」

《反応ニ1000分ノ１ノ誤差ガアル。ＧＴロボデハ本気ガ出センナ。美食屋トリコ……サスガノパワー、惚レ惚レスルゾ。シカシソノパワー、ソウ長クハ続カン》

「…………」


それでも立ち上がったＧＴロボは、自食作用(ｵｰﾄﾌｧｼﾞｰ)の弱点も知っていた。


《自食作用(ｵｰﾄﾌｧｼﾞｰ)ハ栄養飢餓ノ一時的ナ回避ニシカ過ギン。力ハ増スガ、ソノ状態ガ長ク続ケバ自分ノ細胞ヲ食イ尽クシ死ニ至ル》

「えっ!?」

「そんな……！」

《自食作用(ｵｰﾄﾌｧｼﾞｰ)ハ諸刃ノ剣。グルメ細胞ノ飛躍的ナ進化カ、ソレトモ死カ……。タイムリミットマデニ私ヲ倒セルカ？》

「クッ……！」

『タイムリミットは５分だ……』


不思議な空間の中で自分のグルメ細胞の赤鬼が言ったのを思い出したとき、すでにＧＴロボは目の前まで来ていた。


《ムリダナ》


そのままピーラーショットを放ってトリコを吹き飛ばし、間髪入れずに攻撃しようとするが、トリコはその顔を殴った。しかしＧＴロボには大したダメージではない。


《ミキサーパンチ!!》

「ぐわあ！」


ドリルのようなパンチがトリコの腹に食いかかる。それを耐えながらトリコは力を溜めていく。


「１、２、３、４、５、６、７……――グッ！　ち、力が……」


トリコは７連釘パンチを撃とうとしたが、体に力が入らなかった。自食作用(ｵｰﾄﾌｧｼﾞｰ)の時間が切れていくのだ。


《ドウヤラココマデノヨウダナ。進化ハナシダ……》


力尽きて動けないトリコの前に、ＧＴロボは口を開いてキャノン砲の構えを取る。


《サラバダ！　美食屋トリコヨ！》

「トリコさ――んっ!!」

「トリコ――ッ!!」


小松とリンの悲鳴が上がる中、キャノン砲がトリコに命中した。次々と壁をぶち壊し、別の場所で出口へ向かうティナとクルッポーの頭上も通り過ぎて反対の壁をぶち壊す。


「あれって、まさか！」


ティナとクルッポーはトリコが吹き飛ばされた場所へ、すぐに向かった。



☆☆☆☆☆


……リーガルマンモスの外はすでに夜になっており、ココとサニーはトリコや瑞貴たちの帰りを待っていたのだが……。


「こ、これは……！」

「ココ、どうした？」

「大きな電磁波が、激しく乱れた……！」

「誰かが危ないってことか？」

「リーガルマンモスの広い体内……ぶ厚い肉の壁が邪魔して、誰の電磁波まではわからないが、トリコたちが危機に瀕しているのは間違いない！　ぐぅっ！」


回復しきってない体なので、ムリに立ち上がろうとしたココは再び片膝を付いてしまった。


「ったく、ムチャな真似すんなよ！　今行ったところで、逆に足手まといになるだけだっつの。……悔しいけどな」

「一体……何が起きているんだ……!?」


駆け付けても戦える力がないココとサニーは、このままリーガルマンモスの中にいるみんなの無事を祈るしかなかった。