決戦! ファラム・ディーテ‼
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一方、ファラム・ディーテのVIPルームではララヤが試合の行く末を憂いていた。
「ミネル……――この試合、激しい戦いとなるのであろうな……」
「はい……」
『ララヤ。この戦いをしっかりと見ていろ。女王として、ここで起こることを見届けるんだ』
「きっとわらわは、それをただ見ていることしかできぬ……。じゃが、それでよいのか……?」
「ララヤ様……」
(ララヤは今こそ本当の女王にならなければならない。――しかし、今必要なのは私ではないようだ)
少し前に剣城に『見届ける』と誓ったものの、ララヤは歯がゆい思いをしていた。今はブラックホールという星の消滅の危機の他に、イクサルフリートにより脱出艇を占拠されているのだ。
そんなララヤをミネルが心配する中、二人のうしろにいる黒ピクシー……もといララヤの父・アクロウスはここが正念場なのだと思っている。
ガ――……。
「ララヤ」
「ツルギ……?」
入室の音すら耳に入らなかったララヤは、剣城が自分のそばに来て声をかけるまで気づかなかった。
「よく聞け。――この戦いは絶対に勝たなければならない。わかるな?」
「ウム……」
「ではお前はこの星の――ファラム・オービアスの女王として、その役目を果たせ」
「っ、女王としての…役目……?」
「皆に勇気を与え、慈悲を与え、未来を与える。それがファラム・オービアス女王――ララヤの役目だ!」
(そうじゃ……。わらわは、皆がずっとあの笑顔のままでいてほしいと思う。もう、皆の悲しむ顔は見たくない!)
剣城の言葉で脳裏に浮かんだのは、剣城と共に街に降り立ったとき再会して嬉しそうな親子の笑顔、それと反対に自分が今まで知らなかったファラム・オービアスの闇により影響を受けた民たちの姿。もうあんなことは起こさないと固く誓ったのだ。
「……わらわの望みは、わらわのすべきことは、誰もが笑っていられる世の中を作ることじゃ。この星の、女王として!」
迷いがなくなったララヤの表情を見て、剣城は静かに頷いた。
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刻一刻と試合開始を待つ中、スタジアムのテラスにララヤがミネルと共に現れた。この星の女王の登場に観客席は一層沸き起こる。それに対してララヤは集まった者たちの期待と不安が入り交じるのを肌で感じプレッシャーとなるが、すぐに毅然とした姿勢を取る。
〈ファラム・オービアスの選手たちよ。この国は命に代えても守らねばならない……お前たちは今や、この国の最後の砦じゃ。お前たちはその手で、ファラム・オービアスに勝利をもたらすのじゃ! わらわはこの国を守りたい……そしてこの手で、もっといい国を作りたい! そのためには、この国がずっと生き残り続けてもらわねばならぬのじゃ!〉
「ララヤ様……!」
ファラム・ディーテのGK・アルガ=バージェスは驚いた。国に対する想いはあれど半人前の女王と思っていたが、今のララヤの言葉には確かな『力』を感じる。
〈皆の者! わらわは期待しておるぞ! わらわの期待に応えよ! 必ず勝利し、この国の未来を守るのじゃ!〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」」
「フッ。いつまでもお子ちゃまな女王だとばかり思っていたけれど」
「今のはなかなか、心に響いてくるものがあった」
「ありがたきお言葉、肝に銘じます!」
今までララヤに対して形ばかりの臣下として仕えていたヒラリやバルガだったが、このときララヤの姿は紛れもなくこの星の女王そのものだ。その期待にこたえるための中世として、アルゴを始め次々とファラム・オービアスの選手が胸に手を当て跪くと、剣城もまた同じように跪いた。
(ララヤよ、立派な女王になれたな)
感動と感謝が入った歓声にララヤは微笑むと、うしろで見守っていたアクロウスもまた、娘の成長に嬉しく思い微笑んだ。
「剣城……」
「…………!」
「!」
ファラム・ディーテの選手たちと共に跪いた剣城に天馬は瞳を揺らすと、剣城から鋭い視線を受けて目を見開いた。ずっと一緒にいたからわかる……剣城は天馬たちに対して本気で戦うのだと。
ファラム・ディーテに対する応援とやる気が上がる中、アースイレブンにとっては居たたまれない空気になってしまったと、皆帆や真名部たちは感じる。
「なかなかだね。選手や観客の気持ちを、一瞬で一つにした」
「しかし物凄いアウェイ感です……」
「ハンッ、逆に燃えるぜ! やってやろうじゃねぇか! なっ、キャプテン!」
「っ、あ、ああ……」
鉄角の言葉に天馬は形だけの同意をすると、ララヤのいるVIPルームを見上げた。