希望の欠片
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シュンッ――。
「!?」
砂漠のホログラムで走って脚力を鍛えていた天馬だが、急に元の部屋に戻ったので戸惑う。
「えっ!?」
「天馬、俺の部屋に来てくれないか。話したいことがある」
「は、はい!」
どうやら天馬のスイッチを切ったのは一人ジャージ姿でいる神童のようだ。天馬は了承して彼に着いて行った。
――天馬が神童の部屋に着くと、そこには先客が椅子に座っていた。
「やっ、天馬」
「瑞貴さん!?」
「瑞貴さんも俺が呼んだんだ」
「!」
そう言った神童の雰囲気に天馬は予選のときと同じだと気づいた。あのとき神童は味方だと思っていた瑞貴の行動に不信感を抱き、警戒と少しながらの敵視をしていた。結果、それはこの宇宙大会のことを気づかせないため、そして選手を公平に見て成長させるためだったが。
天馬はそれも気になっていたが、まずは神童の話を聞こうと彼に顔を向ける。
「……話ってなんですか?」
「監督とは、以前から剣城が偽者だと気づいていた節がある」
「えっ…監督が?」
「ああ。偶然見てしまったんだ……!」
以前、神童は何気なく先頭車両に行くと黒岩がコンピューターを操作しているのを見た。黒岩が神童のことを気づいていたのかはわからないが、手を休めることはなかった。ふと神童は壁際のモニターを見ると、二枚の剣城の写真が合わさって『97.98%』と表示されていた。
「今思えば、あれは本物と偽者の画像照合データだったんだ。監督は、偽者に対して不審に感じていたんだろう」
「だったら、何故俺たちに話してくれなかったんでしょう?」
「俺もそこがわからない。偽者と判明した段階で手を打っていれば、今回の件は未然に防げたかもしれない。俺も、最近の剣城の様子が気になっていが、まさか偽者とすり替わっているとは、思いもしなかった……」
神童は拳を固く握り締める。天馬と同様に雷門中のときから一緒だったからこそ、チームメイトの変化に気づいても確固たる真相がわからなかったからだ。
「……瑞貴さん、あなたも本当は剣城が偽者だって気づいていたんじゃないですか?」
「……うん、気づいていたよ」
「「っ!/ええっ!?」」
その問いに瑞貴はしっかり肯定したので、やはりというように神童は顔をしかめ、天馬は驚きの声を上げた。
二人の反応の違いはあれど、黒岩からも許可をもらったのだ。隠す必要はもうないのだから瑞貴は両腕を組んで今までのことを離す。
「惑星サンドリアスを出たあと、京介くんに違和感を覚えたの。そのときは二人と同様にまだ確固たるのがなかったから何も言えなかったし、ただ悩んでいるだけかもしれなかった。――でも、決定打があったのは惑星サザナーラの試合前の練習だよ。最初はいつもと全然プレーが違っていたし」
「そういえば!」
天馬もそれには心当たりがあった。ボール捌きがいつもと違うと感じたので、今思えば偽者だから違ってて当然だろう。
「でも休憩のあとの練習は急にいつも通りになった。さっきさくらちゃんも言っていたでしょ、好葉ちゃんも偽者に不審に思っていたんだよ。彼女は人の変化には敏感な子だからね」
「すぐに黒岩監督に報告を?」
「ううん、報告したのは試合のあと。サザナーライレブンは心が見えるから、自分が偽者だと悟られないように試合に欠席したんじゃないかと思って。すぐにみんなに言うべきじゃないかと思ったけど、偽者と知って本物の京介くんと同じように接することはできた?」
「それは……」
「…………」
「本物の京介くんがどこに行ったのか、何故彼を連れ去ったのか、犯人たちの目的はなんなのか……わからないことが多かったの。ヘタにずいぶん前から偽者だとつきつければ、現状で安否も確認できない京介くんがどうなるかわからないから……」
「「…………」」
「またみんなに隠すことになったのはごめんなさい。大切だからこそ言えなかった……ハッキリとした事実と全員の安全ががわかるまで隠しておきたかったんだ」
天馬と神童が思い返すニセ剣城は光線銃を持っていた。当たれば床が焼ける代物を体に当たっていれば、容易く想像ができる。瑞貴の肩だってかすめただけだから無事だったのだ。
それに瑞貴の言う通り、偽者と知っていつも通り行動できるかと問いかければ……――答えは『NO』だ。天馬は顔に出やすいし、神童は天馬ほどわかりやすいというわけではないが警戒が出れば顔に如実に出てしまう。黒岩と瑞貴の一件がそうだ。