革命(カゼ)を起こせ!
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ホーリーロード地区予選準決勝の帝国学園戦。兄・剣城優一のためにも自分のためにも本気のサッカーをすると誓った剣城京介は、フィフスセクターを辞めて正式に雷門中サッカー部の一員となった。
優一へ謝罪と報告のために病院へ向かったが、手術費のために今まで兄弟で築き上げたサッカーを裏切った負い目があり、剣城は顔をうつむけている。
「勝ったな。見てたよ。いいシュートだったぞ」
「そうか……」
「次は決勝だな。がんばれよ!」
剣城が顔を上げると優一はとても嬉しそうに笑っていた。帝国学園戦のときは弟のために叱咤をしたがテレビに映る活躍を見て本当に嬉しかったのだ。
「あんまり、期待するなよな」
「それと天馬くんだっけ? 彼もいい選手だな。気を抜いたらお前、ポジション取られるぞ?」
イタズラっ子のように笑う優一に、剣城はフッと笑みをこぼした。
「あのさ、兄さん」
「ん?」
「俺、兄さんに黙っていたことが――」
「――じゃあ、またね」
「――忙しいのにわざわざ会ってくれてありがとう」
「!」
「京介?」
剣城が何か言おうとすると扉越しから聞き覚えのある声がする。すぐにわかった剣城は立ち上がって扉を開いた。そこにいたのは――。
ガラッ。
「あれ? 京介くん?」
予想通り円堂瑞貴がいた。先ほどまで話していた看護師――久遠冬花は仕事に戻ったようで隣の病室へ入って行った。
なんの偶然かはわからないが、剣城にとってこれ以上にタイミングがいいことはない。意を決して瑞貴を見上げる。
「あの、少しだけ時間をいただけますか?」
「ん? いいけど、どうしたの?」
剣城は詳しい内容を言わなかったが瑞貴を中に入るように促した。新たな来訪者に優一は目を見開く。
「京介、その人って……!」
「……雷門中サッカー部のコーチになった井上瑞貴さんだよ」
優一が再びサッカーをするための目標の一つでもある彼女がここにいるのは、このためだと思ったのだ。
「瑞貴さん。俺の兄さんの剣城優一です」
「どうも」
「初めまして――じゃないよね。久しぶりって言ったほうが正しいかな」
「「!」」
瑞貴の発言に二人は目を見開いた。もう十年も前のことなのに子供心ながら覚えていた自分たちはともかく、瑞貴まで覚えていると思わなくて優一は声を上げる。
「覚えているんですか!? 俺のことも!」
「と言っても、二人が同時にいることでやっと思い出したって言うか……。昔、公園で一緒にサッカーをしていた兄弟だよね。また会おうって約束した」
「「はい……!」」
思い出してくれて嬉しかった優一も剣城も顔を見合わせて笑った。それと同時に瑞貴も剣城を見たとき感じていた記憶は間違いじゃなかったとホッとする。
瑞貴は優一の足のこと、剣城がどうしてフィフスセクターに入ったのかを聞いた。
「そういうことだったんだ……」
「本当に、迷惑をかけてすみません……」
「兄の俺からもお詫びします……」
「もういいよ。それにしても……優一くんはとても兄想いの弟を持ったね。京介くんも背中を後押ししてくれるステキなお兄さんがいてよかったね」
ニコッと微笑んだ瑞貴は間違いなく十年前と変わらない。憧れて約束を果たそうとした人が目の前にいて二人もつられて微笑んだ。
「瑞貴さん。俺、がんばります。京介ともう一度サッカーをしたいし、瑞貴さんとの約束も果たしたいですから」
「うん、待ってるよ。京介くんも、明日から他の部員と同様にビシバシしごくから覚悟してね」
「はい!」
こうして瑞貴は神童拓人と霧野蘭丸に続いて、十年越しの再会を新たにするのだった。残す思い出は一つだけ……。
☆☆☆☆☆
――瑞貴が家に帰るとシャワーの音が聞こえた。夫の円堂守が入っているとわかったので、すぐに夕飯を作るために調理を始める。
瑞貴が手際よく料理を進め、味噌汁の味を確認すると成功と確認して火を止めた。次の作業へ移ろうとするとき――。
ギュッ。
「お帰り」
「ただいま、守」
うしろから抱きついて来たのは言わずもがな円堂だ。顔を上げた瑞貴は円堂の髪がまだ濡れていたことに気づく。
優一へ謝罪と報告のために病院へ向かったが、手術費のために今まで兄弟で築き上げたサッカーを裏切った負い目があり、剣城は顔をうつむけている。
「勝ったな。見てたよ。いいシュートだったぞ」
「そうか……」
「次は決勝だな。がんばれよ!」
剣城が顔を上げると優一はとても嬉しそうに笑っていた。帝国学園戦のときは弟のために叱咤をしたがテレビに映る活躍を見て本当に嬉しかったのだ。
「あんまり、期待するなよな」
「それと天馬くんだっけ? 彼もいい選手だな。気を抜いたらお前、ポジション取られるぞ?」
イタズラっ子のように笑う優一に、剣城はフッと笑みをこぼした。
「あのさ、兄さん」
「ん?」
「俺、兄さんに黙っていたことが――」
「――じゃあ、またね」
「――忙しいのにわざわざ会ってくれてありがとう」
「!」
「京介?」
剣城が何か言おうとすると扉越しから聞き覚えのある声がする。すぐにわかった剣城は立ち上がって扉を開いた。そこにいたのは――。
ガラッ。
「あれ? 京介くん?」
予想通り円堂瑞貴がいた。先ほどまで話していた看護師――久遠冬花は仕事に戻ったようで隣の病室へ入って行った。
なんの偶然かはわからないが、剣城にとってこれ以上にタイミングがいいことはない。意を決して瑞貴を見上げる。
「あの、少しだけ時間をいただけますか?」
「ん? いいけど、どうしたの?」
剣城は詳しい内容を言わなかったが瑞貴を中に入るように促した。新たな来訪者に優一は目を見開く。
「京介、その人って……!」
「……雷門中サッカー部のコーチになった井上瑞貴さんだよ」
優一が再びサッカーをするための目標の一つでもある彼女がここにいるのは、このためだと思ったのだ。
「瑞貴さん。俺の兄さんの剣城優一です」
「どうも」
「初めまして――じゃないよね。久しぶりって言ったほうが正しいかな」
「「!」」
瑞貴の発言に二人は目を見開いた。もう十年も前のことなのに子供心ながら覚えていた自分たちはともかく、瑞貴まで覚えていると思わなくて優一は声を上げる。
「覚えているんですか!? 俺のことも!」
「と言っても、二人が同時にいることでやっと思い出したって言うか……。昔、公園で一緒にサッカーをしていた兄弟だよね。また会おうって約束した」
「「はい……!」」
思い出してくれて嬉しかった優一も剣城も顔を見合わせて笑った。それと同時に瑞貴も剣城を見たとき感じていた記憶は間違いじゃなかったとホッとする。
瑞貴は優一の足のこと、剣城がどうしてフィフスセクターに入ったのかを聞いた。
「そういうことだったんだ……」
「本当に、迷惑をかけてすみません……」
「兄の俺からもお詫びします……」
「もういいよ。それにしても……優一くんはとても兄想いの弟を持ったね。京介くんも背中を後押ししてくれるステキなお兄さんがいてよかったね」
ニコッと微笑んだ瑞貴は間違いなく十年前と変わらない。憧れて約束を果たそうとした人が目の前にいて二人もつられて微笑んだ。
「瑞貴さん。俺、がんばります。京介ともう一度サッカーをしたいし、瑞貴さんとの約束も果たしたいですから」
「うん、待ってるよ。京介くんも、明日から他の部員と同様にビシバシしごくから覚悟してね」
「はい!」
こうして瑞貴は神童拓人と霧野蘭丸に続いて、十年越しの再会を新たにするのだった。残す思い出は一つだけ……。
☆☆☆☆☆
――瑞貴が家に帰るとシャワーの音が聞こえた。夫の円堂守が入っているとわかったので、すぐに夕飯を作るために調理を始める。
瑞貴が手際よく料理を進め、味噌汁の味を確認すると成功と確認して火を止めた。次の作業へ移ろうとするとき――。
ギュッ。
「お帰り」
「ただいま、守」
うしろから抱きついて来たのは言わずもがな円堂だ。顔を上げた瑞貴は円堂の髪がまだ濡れていたことに気づく。