瞬木隼人の闇!
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森村好葉がその様子をジッと見つめているので、さくらが声をかける。
「剣城くんに何か?」
「えっ? あっ、うん……。なんだろう……?」
さくらに一度振り向いた好葉は肯定すると、もう一度ニセ剣城へ顔を向けた。
――休憩に入るまで好葉は違和感が拭えず、さくらと会話しながら剣城を見ると、彼は胡坐を掻きながらタオルで顔の汗を少々乱暴に拭っていた。
「剣城くん、何か変……」
「変って?」
「うまく言えないけど、剣城くんはあんな風にタオル使わない」
「よく知ってるわね」
「みんな知ってる。野咲さんは鏡の前に立つと、15分は顔見てる」
「身だしなみよ! 身だしなみ!」
まさか自分のことまで知られているとは思わず、さくらは頬を赤くしてそう言った。好葉は観察力と記憶力にかなり長けているようだ。
それほど距離はないのでニセ剣城もその会話が聞こえており、若干横目でうしろにいる二人を見る。
「なんだか違う……剣城くんの感じがしない……」
「…………」
ニセ剣城は右の耳たぶに触れると、そこからデータが流れて来た。まるでインプットするように目を揺らすと次いで立ち上がって二人の元へ向かった。
「何か用か?」
「あっ。いやほら、さっきもキャプテンも気にしてたし、大丈夫かなーって。ねっ」
「ねっ」
「サザナーラ人とどう戦えばいいか、ずっと考えてた。それであのザマだ」
「だよね、だと思った! 私もそうだもん。心見られるって嫌だもんね」
本人を前に『変だ』というわけにもいかず、さくらは好葉と共に誤魔化す。
「あっ、そうだ! 裏をかくの! さっきの剣城くんみたいに、ストライカーなのに外しまくるってどう? その隙に他の選手がシュートしちゃうの! 私とか、好葉とか」
「えっ」
「フッ。天馬に相談しておこう」
さくらの提案に好葉は一瞬びっくりし、ニセ剣城は不敵に笑うと、二人に背を向けてその場を去って行った。
「今のはいつもの剣城くんっぽかった……」
「でしょう? あの『フッ』って笑い方はいつも通りだってば」
「うん……」
やはり気のせいだと言ったさくらは練習に戻るが、好葉はどこか納得がいかなかった。
(……あれは)
ベンチから一連の様子を見ていた瑞貴は、好葉と同じように練習のときからニセ剣城が気になっていたので、人知れず眉をしかめた。
☆☆☆☆☆
練習が終わったあとサザナーラステーションの歩道橋の中心で一人いる天馬は、ある人物を待っていた。そしてこの場に向かってくる足音が聞こえると体を向き合わせる。
「何? 話って」
「う~ん……」
やって来たのは瞬木だ。呼び出した天馬はどう話を切り出すか迷い顔を少しうつむけると、頭を掻いて苦笑しながら告げる。
「実はさ、アジア地区予選の決勝前に瞬木の弟たちと話すことがあってさ」
「!」
「びっくりしたんだ。こんなこと言われて」
宿舎の前で『兄ちゃんがね、優勝はムリだろうって』と雄太は言った。まさか天馬と出会い自分の言葉を伝えたと知らなかった瞬木は顔をしかめていたが、顔をうつむけていた天馬は気づかなかった。
「嘘だよな、そんなこと……」
「ちょっと、誤解があるよ」
「ん?」
瞬木の返事に天馬は顔を上げると、瞬木は肩をすくめながら明るめに答える。
「俺はさ、『決勝戦こそチームが一丸になってぶつかっていかなきゃ、優勝はムリだろう』って言ったんだ」
「な~んだ、そうだったのか!」
「紛らわしいこと言って、ごめん」
「うん、気にしてないよ」
そう言った天馬は顔を上に向ける。ガラス張りのステーションは海の中にあり、遠い水面から日が差している様子が太陽の代わりになっているのだろう。
「剣城くんに何か?」
「えっ? あっ、うん……。なんだろう……?」
さくらに一度振り向いた好葉は肯定すると、もう一度ニセ剣城へ顔を向けた。
――休憩に入るまで好葉は違和感が拭えず、さくらと会話しながら剣城を見ると、彼は胡坐を掻きながらタオルで顔の汗を少々乱暴に拭っていた。
「剣城くん、何か変……」
「変って?」
「うまく言えないけど、剣城くんはあんな風にタオル使わない」
「よく知ってるわね」
「みんな知ってる。野咲さんは鏡の前に立つと、15分は顔見てる」
「身だしなみよ! 身だしなみ!」
まさか自分のことまで知られているとは思わず、さくらは頬を赤くしてそう言った。好葉は観察力と記憶力にかなり長けているようだ。
それほど距離はないのでニセ剣城もその会話が聞こえており、若干横目でうしろにいる二人を見る。
「なんだか違う……剣城くんの感じがしない……」
「…………」
ニセ剣城は右の耳たぶに触れると、そこからデータが流れて来た。まるでインプットするように目を揺らすと次いで立ち上がって二人の元へ向かった。
「何か用か?」
「あっ。いやほら、さっきもキャプテンも気にしてたし、大丈夫かなーって。ねっ」
「ねっ」
「サザナーラ人とどう戦えばいいか、ずっと考えてた。それであのザマだ」
「だよね、だと思った! 私もそうだもん。心見られるって嫌だもんね」
本人を前に『変だ』というわけにもいかず、さくらは好葉と共に誤魔化す。
「あっ、そうだ! 裏をかくの! さっきの剣城くんみたいに、ストライカーなのに外しまくるってどう? その隙に他の選手がシュートしちゃうの! 私とか、好葉とか」
「えっ」
「フッ。天馬に相談しておこう」
さくらの提案に好葉は一瞬びっくりし、ニセ剣城は不敵に笑うと、二人に背を向けてその場を去って行った。
「今のはいつもの剣城くんっぽかった……」
「でしょう? あの『フッ』って笑い方はいつも通りだってば」
「うん……」
やはり気のせいだと言ったさくらは練習に戻るが、好葉はどこか納得がいかなかった。
(……あれは)
ベンチから一連の様子を見ていた瑞貴は、好葉と同じように練習のときからニセ剣城が気になっていたので、人知れず眉をしかめた。
☆☆☆☆☆
練習が終わったあとサザナーラステーションの歩道橋の中心で一人いる天馬は、ある人物を待っていた。そしてこの場に向かってくる足音が聞こえると体を向き合わせる。
「何? 話って」
「う~ん……」
やって来たのは瞬木だ。呼び出した天馬はどう話を切り出すか迷い顔を少しうつむけると、頭を掻いて苦笑しながら告げる。
「実はさ、アジア地区予選の決勝前に瞬木の弟たちと話すことがあってさ」
「!」
「びっくりしたんだ。こんなこと言われて」
宿舎の前で『兄ちゃんがね、優勝はムリだろうって』と雄太は言った。まさか天馬と出会い自分の言葉を伝えたと知らなかった瞬木は顔をしかめていたが、顔をうつむけていた天馬は気づかなかった。
「嘘だよな、そんなこと……」
「ちょっと、誤解があるよ」
「ん?」
瞬木の返事に天馬は顔を上げると、瞬木は肩をすくめながら明るめに答える。
「俺はさ、『決勝戦こそチームが一丸になってぶつかっていかなきゃ、優勝はムリだろう』って言ったんだ」
「な~んだ、そうだったのか!」
「紛らわしいこと言って、ごめん」
「うん、気にしてないよ」
そう言った天馬は顔を上に向ける。ガラス張りのステーションは海の中にあり、遠い水面から日が差している様子が太陽の代わりになっているのだろう。