瞬木隼人の闇!
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『あのおもちゃ、流行ってるんでしょ? 毎日のやりくりで余るようなら、そのお金で買ってもいいのよ?』
『いいよ、そんなのムダ遣いだよ』
『…………』
苦笑する瞬木を、母は何かを思うように見つめていた。
病院から出た瞬木はもう一度財布の中のお金を見るが、現状は変わらない。
『……そんな余裕ないよ、母さん』
毎日やりくりするのが精一杯で、たとえ余っても微々たるな上に翌日以降のことも考えないといけない。ビュンカートなど高いおもちゃを買う余裕はなかった。
――夕方にひので荘へ帰って来た瞬木は、買ってきたいくつかのお菓子を出す。
『雄太、瞬の子守ありがとうな』
『やった! おかし!』
『一日一個ずつだぞ?』
『うん!』
料理もできない瞬木はお菓子やお惣菜を買い、弟たちに食べさせてあげた。まだ赤ちゃん用のベッドから出ることができない瞬にも乳幼児用のお菓子をあげる。
『おかあさんのおみまい、いった?』
『顔色、よくなってたよ』
『いつかえってくるかな?』
『さあ……わかんない。なあ、土曜日にさ、兄ちゃんの友達がお前たちも一緒に遊びに来ていいよって誘ってくれてるんだけど、行ってみる? ゲーム一緒にやろうって』
『いく! いきたい!』
『あーい!』
『じゃあ、明日そいつに行くって返事しとくよ』
雄太も瞬も嬉しそうに返事をしたので、瞬木は当日楽しい一日になると思った。……――その予想が、裏切られるとも知らずに。
――翌日、瞬木は学校の休み時間に誘ってくれた友達のいる席に向かおうとすると、教室の一番うしろでおもちゃ屋で会った二人ともう一人のクラスメイトが、最新のビュンカートのチラシを見て感嘆の声を上げていた。
『カッコいい!』
『いいなーこれ、欲しいなー!』
『懸賞当たらないかな~?』
その光景を見ながら瞬木は友達の元へ向かい、土曜日のことを話す。
『土曜日さ、やっぱ俺、お前んち遊びに行ってもいいかな?』
『えっ?』
『弟たちにも話したんだ。そしたら行ってみたいって言うし、いいよな?』
『ごめん、やっぱ土曜はダメだ』
『えっ、そうなんだ……』
『塾でさ、ビュンカートやろうって話になってさ。瞬木、ビュンカート持ってないじゃん。来てもつまんないだろ?』
友達の誘いを最初に断ってしまったし、予定ができてしまったのなら仕方ないと、瞬木は納得するしかなかった。
しかし、瞬木が教室を出ていったのを見計らった友達は、教室の隅の席でビュンカートのチラシを見ていた三人がいる前の席にドサッと音を立てながら座る。その表情は今にも溜息がでそうだった。
『瞬木、来るって言うんだよ……』
『マジ? あいつ来て何できんだよ』
『断ったけどさ、マジにとっちゃって。やだよな』
『だな』
『…………』
その会話を瞬木は教室の外から聞いていた。友達は最初から瞬木を仲間に入れる予定などなかったのだ。弟も誘っていいとか言ったのも社交辞令だったのだろう。
――夕方、瞬木は商店街で今日のご飯の買い物をするために来た。すると足元に福引券を見つけて拾い上げる。
『福引券持っている人は、じゃんじゃん引いてってね!』
『!』
近くの福引所から声が聞こえた瞬木はその福引券を持って向かい、ガラガラを回してみると青色の玉が出てきた。
『おっ! 当ったり~!』
カランカランッ!
『3等当たったよ、ボク! 3等はね、いろいろあるんだ。どれでも好きなの選んでいいよ!』
『あっ! あれ! ビュンカートがいい!』
3等の景品は洗剤やティッシュやゲーム機やおもちゃなどたくさんある中で、瞬木は真っ直ぐビュンカートを指差した。
家に帰った瞬木は嬉々と楽しそうにビュンカートを組み立てて、雄太も面白そうに組み立てていく様子を見ていた。
『いいよ、そんなのムダ遣いだよ』
『…………』
苦笑する瞬木を、母は何かを思うように見つめていた。
病院から出た瞬木はもう一度財布の中のお金を見るが、現状は変わらない。
『……そんな余裕ないよ、母さん』
毎日やりくりするのが精一杯で、たとえ余っても微々たるな上に翌日以降のことも考えないといけない。ビュンカートなど高いおもちゃを買う余裕はなかった。
――夕方にひので荘へ帰って来た瞬木は、買ってきたいくつかのお菓子を出す。
『雄太、瞬の子守ありがとうな』
『やった! おかし!』
『一日一個ずつだぞ?』
『うん!』
料理もできない瞬木はお菓子やお惣菜を買い、弟たちに食べさせてあげた。まだ赤ちゃん用のベッドから出ることができない瞬にも乳幼児用のお菓子をあげる。
『おかあさんのおみまい、いった?』
『顔色、よくなってたよ』
『いつかえってくるかな?』
『さあ……わかんない。なあ、土曜日にさ、兄ちゃんの友達がお前たちも一緒に遊びに来ていいよって誘ってくれてるんだけど、行ってみる? ゲーム一緒にやろうって』
『いく! いきたい!』
『あーい!』
『じゃあ、明日そいつに行くって返事しとくよ』
雄太も瞬も嬉しそうに返事をしたので、瞬木は当日楽しい一日になると思った。……――その予想が、裏切られるとも知らずに。
――翌日、瞬木は学校の休み時間に誘ってくれた友達のいる席に向かおうとすると、教室の一番うしろでおもちゃ屋で会った二人ともう一人のクラスメイトが、最新のビュンカートのチラシを見て感嘆の声を上げていた。
『カッコいい!』
『いいなーこれ、欲しいなー!』
『懸賞当たらないかな~?』
その光景を見ながら瞬木は友達の元へ向かい、土曜日のことを話す。
『土曜日さ、やっぱ俺、お前んち遊びに行ってもいいかな?』
『えっ?』
『弟たちにも話したんだ。そしたら行ってみたいって言うし、いいよな?』
『ごめん、やっぱ土曜はダメだ』
『えっ、そうなんだ……』
『塾でさ、ビュンカートやろうって話になってさ。瞬木、ビュンカート持ってないじゃん。来てもつまんないだろ?』
友達の誘いを最初に断ってしまったし、予定ができてしまったのなら仕方ないと、瞬木は納得するしかなかった。
しかし、瞬木が教室を出ていったのを見計らった友達は、教室の隅の席でビュンカートのチラシを見ていた三人がいる前の席にドサッと音を立てながら座る。その表情は今にも溜息がでそうだった。
『瞬木、来るって言うんだよ……』
『マジ? あいつ来て何できんだよ』
『断ったけどさ、マジにとっちゃって。やだよな』
『だな』
『…………』
その会話を瞬木は教室の外から聞いていた。友達は最初から瞬木を仲間に入れる予定などなかったのだ。弟も誘っていいとか言ったのも社交辞令だったのだろう。
――夕方、瞬木は商店街で今日のご飯の買い物をするために来た。すると足元に福引券を見つけて拾い上げる。
『福引券持っている人は、じゃんじゃん引いてってね!』
『!』
近くの福引所から声が聞こえた瞬木はその福引券を持って向かい、ガラガラを回してみると青色の玉が出てきた。
『おっ! 当ったり~!』
カランカランッ!
『3等当たったよ、ボク! 3等はね、いろいろあるんだ。どれでも好きなの選んでいいよ!』
『あっ! あれ! ビュンカートがいい!』
3等の景品は洗剤やティッシュやゲーム機やおもちゃなどたくさんある中で、瞬木は真っ直ぐビュンカートを指差した。
家に帰った瞬木は嬉々と楽しそうにビュンカートを組み立てて、雄太も面白そうに組み立てていく様子を見ていた。