瞬木隼人の闇!
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――自室に戻った瞬木は、後頭部に両手を当ててベッドに仰向けに寝転がりながらサッカーバトル後のことを思い出す。
『……フッ。お前、孤独な奴だな』
『!?』
『まあ、確かにお前のことを考えてくれる仲間なんて、いないわけだから』
あのときのグラーミの言葉はサッカーバトル後のせいか動揺してしまったが、今は冷静に考えられる。
(俺が、孤独? 孤独なんかじゃない……普通だ。それが人として生きるってことなんだ)
☆☆☆☆☆
――数年前、瞬木はよくおもちゃ屋のショーウィンドー越しに店内を見ていた。家が貧乏で最新のおもちゃなど買えないため、この時代の最新のミニ四駆・ビュンカートを買う親子の姿や、おもちゃ屋の中でビュンカートをプレーできるコーナーを眺めている。
『あっ、瞬木じゃん』
『!』
『お前もビュンカートやりに来たの?』
『ああ……』
振り向くと同級生の男子二人が、ビュンカートの入ったケースを持ってやって来た。
『俺さ、発見したんだよね。スタートダッシュ速くするコツ! 走らせる前にモーターをあっためておくといいんだぞ、全然違うから!』
『へぇ~、そうなんだ』
自慢げに話す少年に瞬木が感心するように言うと、もう一人の少年が二人の顔を交互に見て隣の少年へ気の毒そうに話しかける。
『あのな、そんなこと言ったってムダだって。瞬木持ってないんだから』
『えっ? そうだっけ?』
『だよな?』
『うん……。今度、買ってもらう約束してるからさ』
『な~んだ。じゃあさっきの何言ってるかわかんないか』
『ハハッ、また今度教えてよ』
『じゃあな、瞬木』
『ああ』
同級生たちがおもちゃ屋に入って行くのを見送った瞬木は、財布に入っているお金を確認する。今度買ってもらう約束など嘘であり、財布の中身もそこそこあるがとてもビュンカートを買える金額ではなかったので、財布をしまうとその場から去って行った。
瞬木は商店街を歩いて行くと、前方に見えたうしろ姿が友達だったので少し駆け足して話しかける。
『よう!』
『あっ、瞬木』
『どこ行くの?』
『今から塾なんだ』
『塾行ってたんだ』
『うん。なあ、今度の土曜暇? みんな集まるからさ、お前もどう?』
『あっ……ダメなんだ。弟たちの面倒見なくちゃなんなくてさ』
当時、瞬木雄太は幼児で瞬木瞬は赤ちゃんだった。父もおらず体が弱く入院している母に代わって瞬木が面倒を見ているのだ。
『じゃあ弟も連れて来ていいよ。俺たち友達なんだし、遠慮すんなって』
『ダメだよ、迷惑になるし。弟、まだ小さいからなんか壊したら大変だし……』
『あっ……フゥン、まあいいや。じゃ、明日学校でな』
『うん……』
塾に向かう友達のうしろ姿を、瞬木は寂しそうに見つめながら見送った。
――その後、瞬木は病院に向かうと入院している母がいる病室へ訪れる。
『なかなか退院できなくて、ごめんね』
『気にしないで、母さん。うちのことは大丈夫だからさ。今日だって、雄太がちゃんと瞬のことを見てるし』
『そう……しっかりお兄ちゃんやってくれてるのね』
『うん!』
『っ、ケホッケホッ』
いつものように家のことを報告すると、急に咳き込む母を瞬木は心配する。
『母さん、大丈夫?』
『うん、大丈夫……。みんな、ちゃんとご飯食べてるの? お金は足りてる?』
『なんとか、やってるよ』
『――おばあちゃん、これカッコいいでしょ!』
『ホォ? どれどれ?』
向かいのベッドにいる老婆に少年が見せているのは、瞬木がおもちゃ屋で見たビュンカートだ。
『……フッ。お前、孤独な奴だな』
『!?』
『まあ、確かにお前のことを考えてくれる仲間なんて、いないわけだから』
あのときのグラーミの言葉はサッカーバトル後のせいか動揺してしまったが、今は冷静に考えられる。
(俺が、孤独? 孤独なんかじゃない……普通だ。それが人として生きるってことなんだ)
☆☆☆☆☆
――数年前、瞬木はよくおもちゃ屋のショーウィンドー越しに店内を見ていた。家が貧乏で最新のおもちゃなど買えないため、この時代の最新のミニ四駆・ビュンカートを買う親子の姿や、おもちゃ屋の中でビュンカートをプレーできるコーナーを眺めている。
『あっ、瞬木じゃん』
『!』
『お前もビュンカートやりに来たの?』
『ああ……』
振り向くと同級生の男子二人が、ビュンカートの入ったケースを持ってやって来た。
『俺さ、発見したんだよね。スタートダッシュ速くするコツ! 走らせる前にモーターをあっためておくといいんだぞ、全然違うから!』
『へぇ~、そうなんだ』
自慢げに話す少年に瞬木が感心するように言うと、もう一人の少年が二人の顔を交互に見て隣の少年へ気の毒そうに話しかける。
『あのな、そんなこと言ったってムダだって。瞬木持ってないんだから』
『えっ? そうだっけ?』
『だよな?』
『うん……。今度、買ってもらう約束してるからさ』
『な~んだ。じゃあさっきの何言ってるかわかんないか』
『ハハッ、また今度教えてよ』
『じゃあな、瞬木』
『ああ』
同級生たちがおもちゃ屋に入って行くのを見送った瞬木は、財布に入っているお金を確認する。今度買ってもらう約束など嘘であり、財布の中身もそこそこあるがとてもビュンカートを買える金額ではなかったので、財布をしまうとその場から去って行った。
瞬木は商店街を歩いて行くと、前方に見えたうしろ姿が友達だったので少し駆け足して話しかける。
『よう!』
『あっ、瞬木』
『どこ行くの?』
『今から塾なんだ』
『塾行ってたんだ』
『うん。なあ、今度の土曜暇? みんな集まるからさ、お前もどう?』
『あっ……ダメなんだ。弟たちの面倒見なくちゃなんなくてさ』
当時、瞬木雄太は幼児で瞬木瞬は赤ちゃんだった。父もおらず体が弱く入院している母に代わって瞬木が面倒を見ているのだ。
『じゃあ弟も連れて来ていいよ。俺たち友達なんだし、遠慮すんなって』
『ダメだよ、迷惑になるし。弟、まだ小さいからなんか壊したら大変だし……』
『あっ……フゥン、まあいいや。じゃ、明日学校でな』
『うん……』
塾に向かう友達のうしろ姿を、瞬木は寂しそうに見つめながら見送った。
――その後、瞬木は病院に向かうと入院している母がいる病室へ訪れる。
『なかなか退院できなくて、ごめんね』
『気にしないで、母さん。うちのことは大丈夫だからさ。今日だって、雄太がちゃんと瞬のことを見てるし』
『そう……しっかりお兄ちゃんやってくれてるのね』
『うん!』
『っ、ケホッケホッ』
いつものように家のことを報告すると、急に咳き込む母を瞬木は心配する。
『母さん、大丈夫?』
『うん、大丈夫……。みんな、ちゃんとご飯食べてるの? お金は足りてる?』
『なんとか、やってるよ』
『――おばあちゃん、これカッコいいでしょ!』
『ホォ? どれどれ?』
向かいのベッドにいる老婆に少年が見せているのは、瞬木がおもちゃ屋で見たビュンカートだ。