獣(ソウル)出現!
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試合を終えてスタジアムを出ると、コーディネーター・イシガシ=ゴーラムの案内でギャラクシーノーツ号に向かうアースイレブン。しかし道中で自分たちを見るサンドリアス人は、来日の歓迎ムードとは打って変わって敵意と悲しみの視線を向けていた。
「勝ったのに後味悪いぜ……」
「これが『勝ち進む』というもう一つの意味なんだよ……」
居心地悪そうに井吹が周りに視線を向けると、瑞貴はこの大会に『勝つ』という意味を告げた。
(黒岩監督が自由行動を許可したのも、星の環境を知るためとは別に、試合前と後の雲泥の差を知らしめるためなんだろうな……)
子供より大人だが、大人より子供な中学生の彼らにとって、この光景はとても居心地が悪いに違いないだろうと瑞貴は思った。大人である自分でさえ、あまりいい気持ちはしなかった。
(俺たちが勝ってことは、他の星の人たちが希望を失うってことなんだ……。地球だけが助かったって……)
〈ピクッ!〉
「!」
〈ピクッ、ピクー!〉
ピクシーがどこかに飛んでいく姿が見えたので、天馬は肩に下げてバックを地面に置き葵に告げる。
「葵、バックを頼む」
「あっ、天馬?」
「世話を任されたからね!」
そう言い残して天馬はピクシーが飛んで行った方向へ向けて走り出した。
――道を確認しながらもピクシーを追う天馬は、人通りのない大砂漠まで来てしまった。
〈ピクッ! ピクッ!〉
「あっ、待って!」
崖の上からピクシーが自分を待っていたように見下ろしていると、また背を向けて飛び去ったので天馬は追いかける。
夢中になって追いかけていると、今度は天馬が崖下にいるピクシーを見下ろす形になった。ピクシーは何故か弾むように円状に回っている。
〈ピクッ! ピクピクッ! ピクッ!〉
「…………?」
〈ピクッ!〉
パアアアッ!
「あっ!」
ピクシーが駆け回っていた場所から現れたのは、天馬が今日見た夢に現れた不思議な少女だ。少女は浮かぶと天馬のそばにやって来る。
「あっ…これは…また夢……?」
《あなたは優しいのですね。私の声が届く、数少ない人》
「君は誰なんだ? なんでここに?」
《私は惑星キエルのカトラ。あなたに伝えたいことがあって来ました》
「伝えたいこと?」
《銀河を救う方法です》
「えっ……!」
《私に着いて来てください。あなたにその力を与えます。――みんなを救う力を》
「みんなを救う力!? ――あっ! ちょ、ちょっと!」
それは天馬にとって願ってもないことだ。少女――カトラ=ペイジの言うことが本当かどうか詳しく聞く前に、カトラは導くようにどこかに向かって飛んでいくので、天馬は慌てて追いかけた。
――天馬はさらに奥へと導かれ、水の代わりに砂が流れ落ちる『砂こぼれの滝』へとやって来た。カトラは流れ落ちる砂の間を縫って洞穴へと入り天馬も続く。洞穴の中は光や火の代わりに光る石が所々あり、中央にはひと際大きく輝く赤い石がある。それは天馬も見覚えがあった。
「やっぱり……夢で見たのと同じだ!」
《この石は、宇宙に散らばった希望のカケラの一つです。その数は四つ……それを集めて私の元へ……――あっ! いけない!》
シュンッ!
「あっ!」
何かに気づいたカトラは、最後まで言い終える前にその場から消えてしまった。
〈ピクッ!〉
「ん、そうだね」
天馬は足元にいるピクシーに向かって頷くと、赤い石を手に取った。
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ギャラクシーノーツ号に戻った剣城は、自室でタブレットを使い今日の試合のシュミレーションをしていた。
ピンポーン。
「誰だ?」
ガ――……!
「な、何っ!?」
扉を開くと、瓜二つとは言えないが自分と酷似した少年がいたので目を見開くと、その隙に少年が人差し指と中指を立てて剣城の眉間の少し手前から小さな光を放ち、あっという間に剣城を眠らせた。
「うまくやれ」
「フッ」
次いで現れたイシガシはそう言うと、心得たと言うばかりに少年は不敵な笑みを浮かべて親指を立てた。
ファラム・オービアスの女王・ララヤ=オビエスの命を受けたミネル=エイバを通じ、ビットウェイ=オズロックへ剣城を連れて来るように命じた。そしてこの少年――ニセ剣城は本物が不在をメンバーに悟らせぬよう派遣されたのである。