暴走! ブラックルーム‼
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避けては通れないバトルと気づいた鉄角と信助だが、二人だけで五体のはにわーパウロ相手にするのは少々分が悪いと思っていた。
「クッ……どうすりゃいいんだ……!?」
ブウンッ!
「!」
振り向くとゴール前にユニフォームを着た剣城と森村好葉と皆帆と井吹が現れたので、信助は嬉しそうに声を上げる。
「みんな!」
「ホログラムだ」
「えっ?」
「ブラックルームは俺たちのデータが入っている。そいつが出て来たんだ。なんにせよ、これで五人そろった! ――あ?」
プログラムなのでそれぞれ黙ってポジションに移動するアバターたち。しかし当然井吹アバターもゴール前に構えたので、鉄角は気まずそうに信助をちらりと横目で見やったあと、コートの外に向けて指差しながら井吹アバターに叫ぶ。
「井吹! 信助と交代だ!」
〈……〉
「いーぶーきー!」
もう一度叫ぶと井吹アバターは黙ってゴールから離れていった。プログラムなので強い拒否は見せないが、二度も言わないと動かない姿は本物の井吹にも近い。
「ったく……。信助、頼んだぞ!」
「うん!」
鉄角と信助もユニフォームに着替えてポジションに入った。メンバーは剣城アバター以外がDFなので、皆帆アバターをFWにする。
「さあ来い!」
拳を手の平に打ち付けて構える信助。先攻ははにわーパウロからだ。一体のはにわーパウロからボールを受け取ってドリブルするもう一体のはにわーパウロ。そこに剣城アバターと皆帆アバターが止めに入った。
〈パウロ!〉
「何っ!?」
「っ!」
アバターとはいえ本人の実力もプログラミングされているのに、二人相手に力強く突破するはにわーパウロ。鉄角と信助は驚いた。
〈パウッロ!〉
「っ、うわああっ!」
「信助!」
そのままシュートしたはにわーパウロに、信助もまた構えるが吹っ飛ばされてしまいボールはゴールに入る。
ガガガッ……。
「「!」」
壁の音に二人は振り向くと、シュートによってゴールネットは破かれ、その先に当たった壁から亀裂が入った。それに信助はあることに気づくと同時にゴールネットは元通りになる。
「これってもしかして……このままシュートを決められ続けたら……!」
その先は言わずとも鉄角だってわかる、洞窟が崩れて自分たちはプログラムとはいえ生き埋めになってしまうのだ。
――はにわーパウロの猛攻は止まらず、防戦どころか手も足も出ず一方に圧されてしまっている。鉄角もそうだが、特に信助はゴールにいるのでシュートを止めようとし弾かれたダメージを受け続けて倒れる。
「クウッ……!」
(ダメだ…止められない……力に圧されている……! ――っ!)
『その程度か。雷門のキーパーも大したことないな』
「っ、負けるもんか!」
練習中に言われたことを思い出した信助は体を起こし、ベンチにいる井吹アバターを力強く睨みつけながら立ち上がった。
ズズッ……ドガンッ!!
「わっ!」
「大丈夫か!?」
「う、うん……」
亀裂によって壁の一部が崩れ、コートの端に落ちた。それに驚いた信助に鉄角が駆け寄る。
「あいつら、俺たちを潰すまでやる気かよ!? とにかく、踏ん張るしかない! 頼むぞ、信助!」
「待って、鉄角!」
「!」
「……井吹と、代わる」
「えっ?」
「僕の力じゃ止められない……」
「信助……」
このバトルに勝つことが先決なため、苦渋の決断をする信助。鉄角は信助が自分で決めたことだからと反対はせず受け入れた。
井吹アバターがゴールに向かい、信助は石でできたベンチに座って顔をうつむける。その両膝に握っている拳も悔しそうに震えていた。
(悔しいけど……あいつらのシュートを止めるには、井吹の力が必要だ……)
〈パウロッ!〉
バシュンッ!
「っ!」
「井吹! そんな!」
はにわーパウロのシュートは井吹アバターにも止められなかった。それどころか信助のときのように次々とシュートを撃たれ決められてしまう。このままでは崩壊も時間の問題だ。