勝利への解法
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《ここで試合終了――っ!! 3対2で、イナズマジャパンの勝利だ――っ!!》
「やった! 勝った! 勝ったんだー!」
「そんな……ここまで勝ち進んで来たのに……」
拳を上げながらジャンプして喜ぶ天馬は、両手と両膝を地に付けてうなだれるナパの目が妖しく光ったことに気づかなかった。
3対2と表示されている電光掲示板は、自分たちが勝ったということを示している。それを見上げた神童はフッと笑った。
「認めざるを得ないようだ……このチームの可能性を」
「ええ」
同じように電光掲示板を見上げていた剣城は、神童の言葉に同意した。
「やりましたね」
「…………」
瑞貴は黒岩に顔を向けて微笑むが、黒岩は何も言わずベンチから去って行き、みのりもそのあとを追って行った。
「フゥ……」
「あなた」
「!」
試合が何事もなく終わってホッとする陣介は息を吐いてネクタイをいじる。隣で恭子の声がかかったときハッと我に返ると、眼鏡を押し上げながら咳き込んで元のように顔をしかめる。
「ンンッ、くだらん! 一刻も早く球蹴りなど辞めさせなければ!」
「フフッ。でも、あの子なりにがんばったんじゃありません?」
「っ……フンッ」
最後の得点が皆帆と自分の息子による活躍だ。恭子の言葉に陣介は目を見開いたが、すぐに顔を逸らした。
フィールドで真名部もまた電光掲示板の得点を見上げる。必殺技を出せて勝利の解法を皆帆と見つけることができ、この試合は特に感慨深いだろう。
「真名部くん」
「!」
「見つけられたね、勝利への解法!」
「あっ、ええ……。――あの~……皆帆くん」
「ん?」
「その……ありがとう」
「フフッ、こちらこそだよ」
「…………!」
皆帆は笑顔でを差し出すと、真名部はそれに一瞬驚いたものの眼鏡を押し上げて自分も手を差し出し、皆帆と握手を交わした。
――今回の試合を、ホーリーロードスタジアムのテラスで白竜が口の端を上げて見ていたことを誰も気づかなかった。
☆☆☆☆☆
その日の夜、宿舎に戻った夕食も終わり、瑞貴は今日のデータをまとめるために部屋に戻ろうと廊下を歩くと……。
「瑞貴さん!」
「!」
自分を呼ぶ声に振り向くと、声をかけた張本人である神童がいた。彼が自ら自分の前に現れるのは初日以降では練習以外になかったので、瑞貴は少々驚いて目をパチクリする。
「どうしたの?」
「瑞貴さん……すみませんでした!」
「ええっ!?」
突然頭を下げた神童に瑞貴は驚かずにはいられない。とりあえず頭を上げてほしいと瑞貴が声をかけると、神童はゆっくりと顔を上げるが表情は浮かない。
「い、いったいどうしたの?」
「俺は、最初の頃あなたにヒドいことを言いました……。あなたと監督が『潜在能力を引き出してほしい』と告げたあとも、天馬のようにチームメイトを信じず、剣城のように積極的に練習に付き合わず、早々にチームメイトに見切りを付けて……」
「拓人くん……」
「今回の試合で俺は心からチームの可能性を認めることにしました。もちろん、どうしてこのメンバーが選ばれたのかという疑問が拭えないのも事実です。でもその前に、あなたに謝りたかったんです」
「そっか。でも、雷門以外のメンバーの状況じゃ仕方ないから気にしてないよ。私も結構ヒドいこと言っちゃったし、ごめんね」
「いえ! 俺が瑞貴さんを頼っていたことも事実ですから、気にしてません!」
「ありがとう。これからは、もっとチームメイトと練習に参加してくれるかな? せっかくここまで来たんだもの。次の決勝戦も勝って、みんなで世界に行こう」
「はい! あっ……ですが」
神童は了承するように元気よく声を上げたが、次いで声音を沈めて目線を逸らす。
「まだ、チームの中に一人だけ懸念があります……」
「うん、それは私も同じだよ。でも口で言うのは簡単だけど、彼自身が気づかなくちゃね」
神童と瑞貴が考えている人物は同じだ。チーム唯一のGKでありイナズマジャパンの守護神・井吹である。
☆コーチの 今日の格言☆
背を向けるということは、自分の心情をうしろにいる仲間に見せることにもなる
以上!!
「やった! 勝った! 勝ったんだー!」
「そんな……ここまで勝ち進んで来たのに……」
拳を上げながらジャンプして喜ぶ天馬は、両手と両膝を地に付けてうなだれるナパの目が妖しく光ったことに気づかなかった。
3対2と表示されている電光掲示板は、自分たちが勝ったということを示している。それを見上げた神童はフッと笑った。
「認めざるを得ないようだ……このチームの可能性を」
「ええ」
同じように電光掲示板を見上げていた剣城は、神童の言葉に同意した。
「やりましたね」
「…………」
瑞貴は黒岩に顔を向けて微笑むが、黒岩は何も言わずベンチから去って行き、みのりもそのあとを追って行った。
「フゥ……」
「あなた」
「!」
試合が何事もなく終わってホッとする陣介は息を吐いてネクタイをいじる。隣で恭子の声がかかったときハッと我に返ると、眼鏡を押し上げながら咳き込んで元のように顔をしかめる。
「ンンッ、くだらん! 一刻も早く球蹴りなど辞めさせなければ!」
「フフッ。でも、あの子なりにがんばったんじゃありません?」
「っ……フンッ」
最後の得点が皆帆と自分の息子による活躍だ。恭子の言葉に陣介は目を見開いたが、すぐに顔を逸らした。
フィールドで真名部もまた電光掲示板の得点を見上げる。必殺技を出せて勝利の解法を皆帆と見つけることができ、この試合は特に感慨深いだろう。
「真名部くん」
「!」
「見つけられたね、勝利への解法!」
「あっ、ええ……。――あの~……皆帆くん」
「ん?」
「その……ありがとう」
「フフッ、こちらこそだよ」
「…………!」
皆帆は笑顔でを差し出すと、真名部はそれに一瞬驚いたものの眼鏡を押し上げて自分も手を差し出し、皆帆と握手を交わした。
――今回の試合を、ホーリーロードスタジアムのテラスで白竜が口の端を上げて見ていたことを誰も気づかなかった。
☆☆☆☆☆
その日の夜、宿舎に戻った夕食も終わり、瑞貴は今日のデータをまとめるために部屋に戻ろうと廊下を歩くと……。
「瑞貴さん!」
「!」
自分を呼ぶ声に振り向くと、声をかけた張本人である神童がいた。彼が自ら自分の前に現れるのは初日以降では練習以外になかったので、瑞貴は少々驚いて目をパチクリする。
「どうしたの?」
「瑞貴さん……すみませんでした!」
「ええっ!?」
突然頭を下げた神童に瑞貴は驚かずにはいられない。とりあえず頭を上げてほしいと瑞貴が声をかけると、神童はゆっくりと顔を上げるが表情は浮かない。
「い、いったいどうしたの?」
「俺は、最初の頃あなたにヒドいことを言いました……。あなたと監督が『潜在能力を引き出してほしい』と告げたあとも、天馬のようにチームメイトを信じず、剣城のように積極的に練習に付き合わず、早々にチームメイトに見切りを付けて……」
「拓人くん……」
「今回の試合で俺は心からチームの可能性を認めることにしました。もちろん、どうしてこのメンバーが選ばれたのかという疑問が拭えないのも事実です。でもその前に、あなたに謝りたかったんです」
「そっか。でも、雷門以外のメンバーの状況じゃ仕方ないから気にしてないよ。私も結構ヒドいこと言っちゃったし、ごめんね」
「いえ! 俺が瑞貴さんを頼っていたことも事実ですから、気にしてません!」
「ありがとう。これからは、もっとチームメイトと練習に参加してくれるかな? せっかくここまで来たんだもの。次の決勝戦も勝って、みんなで世界に行こう」
「はい! あっ……ですが」
神童は了承するように元気よく声を上げたが、次いで声音を沈めて目線を逸らす。
「まだ、チームの中に一人だけ懸念があります……」
「うん、それは私も同じだよ。でも口で言うのは簡単だけど、彼自身が気づかなくちゃね」
神童と瑞貴が考えている人物は同じだ。チーム唯一のGKでありイナズマジャパンの守護神・井吹である。
☆コーチの 今日の格言☆
背を向けるということは、自分の心情をうしろにいる仲間に見せることにもなる
以上!!
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