勝利への解法
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「真名部くん」
「!」
「君のお父さんは、ずっと君を見ているよ」
「えっ?」
「君が危険なプレーに直面する度に、ネクタイの結び目を触っている。心配している証拠さ。どうやらお父さんは、君のことを嫌ってはいないようだね」
「パパ……」
陣介は真名部が危険なとき、平常心を保つために無意識による行動だと皆帆は気づいた。それを聞いた真名部は視線を向けると、心配性な恭子は眉を下げているが、いつも冷静な陣介がネクタイの結び目を触って視線を逸らしていた。その姿に真名部は瞳を揺らす。
「サリット!」
「!」
「へっ」
ナワットがボールを蹴ったので、天馬が即座に回り込む。それを見てナワットはニヤリと笑っていた。
「ここで止める! ――っ、まただ!」
足を伸ばして止めようとした天馬だが、ボールは不規則な動きをして曲がるとタムガンへ渡った。
(パパが……見ている……)
「っ……」
「!」
両手の親指と人差し指で四角を作って覗き込み、タムガンを観察する真名部。陣介はうしろに回した両手に自然と力を入れると、恭子もまた彼の動揺に気づいた。
(見い出してみせる……勝利への解法を!)
『効率よく解法を導き出せ』
「!」
陣介の言葉を思い出した真名部はハッと目を見開く。自分一人でできない今、最も効率よく解法を導き出すためには――。
「皆帆くん! 君と僕、お互いの予測を補い合うことが、勝利への解法の近道かもしれません!」
「っ、補い合う……フッ、面白い。つまり、観察や行動分析で読み取れることは僕が!」
「データや数学的な解析は僕が引き受けます!」
真名部の提案に乗った皆帆は、お互いにやるべきことを分担するとグッと拳を握った。
「悪く思うな! 3点目は俺たちのものだ! アチョッ!」
ニヤリと笑いながらドリブルするタムガンは、ガオランとバークと共にボールごとジャンプをする。
「見つけた! 彼は、パスを出すほうの逆の腕が少し上がるようだね。つまり……――左だ!」
「何っ!?」
皆帆がクセを見つけて指示を出すと、タムガンは驚いたがすでボールは蹴ってしまった。次にタムガンがそれを取ってボールをサイドに走るサラナに向かって蹴る。
「サラナ!」
「ボールの回転数、速度、風向き、左に曲がります!」
真名部の予測通りボールは左に曲がり、サラナを通過して奥にいるサリットに向かった。指示を受けた鉄角は動いていたが、あと一歩の所でサリットにボールを奪われてしまう。
だが真名部は焦らず、ドリブルするサリットの動きの一挙一動を観察する。
「ドリブルの速度より、こちらで止められる位置と角度は、3×-4+β……見えました! ――ディフェンス方程式!」
「あっ!」
高度な数式を使い相手の動きを分析した真名部は、一手先を読んで鮮やかにボールを奪った。
「スゲー……」
「やったな、真名部!」
真名部が放つディフェンスの必殺技に、瞬木は思わずというように声を漏らし、天馬はガッツポーズして喜んだ。
「させるか!」
「うわっ!」
「真名部くん、僕が取り返すよ! ――トレースプレス!」
バークにボールを奪われてしまった真名部。しかしそこをカバーすると言った皆帆が、相手にピッタリ張りついて同じ動きをすると隙を狙ってボールを奪った。
「何っ!?」
「皆帆も!」
「あいつまで!?」
「え~」
「やってくれたな、あの二人」
真名部に続けて皆帆も必殺技を生み出したので、神童は驚き、天馬は喜び、鉄角は目を見開き、さくらは先を越されて声を上げ、剣城はフッと笑った。
「ス、スゴい……!」
「二人共、いいディフェンス技だよ!」
ベンチにいる葵もびっくりし、瑞貴は嬉しそうに笑って喜びの声を上げた。いきなり必殺技が使えるようになったので、みのりは目線はフィールドを向けたまま黒岩に問う。
「これは……相乗効果でしょうか?」
「ようやく、答えを見い出したか」
真名部と皆帆の二人でお互いの特徴を生かし欠点をカバーする、これが黒岩が告げた『勝利への解法』なのだ。
「!」
「君のお父さんは、ずっと君を見ているよ」
「えっ?」
「君が危険なプレーに直面する度に、ネクタイの結び目を触っている。心配している証拠さ。どうやらお父さんは、君のことを嫌ってはいないようだね」
「パパ……」
陣介は真名部が危険なとき、平常心を保つために無意識による行動だと皆帆は気づいた。それを聞いた真名部は視線を向けると、心配性な恭子は眉を下げているが、いつも冷静な陣介がネクタイの結び目を触って視線を逸らしていた。その姿に真名部は瞳を揺らす。
「サリット!」
「!」
「へっ」
ナワットがボールを蹴ったので、天馬が即座に回り込む。それを見てナワットはニヤリと笑っていた。
「ここで止める! ――っ、まただ!」
足を伸ばして止めようとした天馬だが、ボールは不規則な動きをして曲がるとタムガンへ渡った。
(パパが……見ている……)
「っ……」
「!」
両手の親指と人差し指で四角を作って覗き込み、タムガンを観察する真名部。陣介はうしろに回した両手に自然と力を入れると、恭子もまた彼の動揺に気づいた。
(見い出してみせる……勝利への解法を!)
『効率よく解法を導き出せ』
「!」
陣介の言葉を思い出した真名部はハッと目を見開く。自分一人でできない今、最も効率よく解法を導き出すためには――。
「皆帆くん! 君と僕、お互いの予測を補い合うことが、勝利への解法の近道かもしれません!」
「っ、補い合う……フッ、面白い。つまり、観察や行動分析で読み取れることは僕が!」
「データや数学的な解析は僕が引き受けます!」
真名部の提案に乗った皆帆は、お互いにやるべきことを分担するとグッと拳を握った。
「悪く思うな! 3点目は俺たちのものだ! アチョッ!」
ニヤリと笑いながらドリブルするタムガンは、ガオランとバークと共にボールごとジャンプをする。
「見つけた! 彼は、パスを出すほうの逆の腕が少し上がるようだね。つまり……――左だ!」
「何っ!?」
皆帆がクセを見つけて指示を出すと、タムガンは驚いたがすでボールは蹴ってしまった。次にタムガンがそれを取ってボールをサイドに走るサラナに向かって蹴る。
「サラナ!」
「ボールの回転数、速度、風向き、左に曲がります!」
真名部の予測通りボールは左に曲がり、サラナを通過して奥にいるサリットに向かった。指示を受けた鉄角は動いていたが、あと一歩の所でサリットにボールを奪われてしまう。
だが真名部は焦らず、ドリブルするサリットの動きの一挙一動を観察する。
「ドリブルの速度より、こちらで止められる位置と角度は、3×-4+β……見えました! ――ディフェンス方程式!」
「あっ!」
高度な数式を使い相手の動きを分析した真名部は、一手先を読んで鮮やかにボールを奪った。
「スゲー……」
「やったな、真名部!」
真名部が放つディフェンスの必殺技に、瞬木は思わずというように声を漏らし、天馬はガッツポーズして喜んだ。
「させるか!」
「うわっ!」
「真名部くん、僕が取り返すよ! ――トレースプレス!」
バークにボールを奪われてしまった真名部。しかしそこをカバーすると言った皆帆が、相手にピッタリ張りついて同じ動きをすると隙を狙ってボールを奪った。
「何っ!?」
「皆帆も!」
「あいつまで!?」
「え~」
「やってくれたな、あの二人」
真名部に続けて皆帆も必殺技を生み出したので、神童は驚き、天馬は喜び、鉄角は目を見開き、さくらは先を越されて声を上げ、剣城はフッと笑った。
「ス、スゴい……!」
「二人共、いいディフェンス技だよ!」
ベンチにいる葵もびっくりし、瑞貴は嬉しそうに笑って喜びの声を上げた。いきなり必殺技が使えるようになったので、みのりは目線はフィールドを向けたまま黒岩に問う。
「これは……相乗効果でしょうか?」
「ようやく、答えを見い出したか」
真名部と皆帆の二人でお互いの特徴を生かし欠点をカバーする、これが黒岩が告げた『勝利への解法』なのだ。