フィールドの告白
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しかし好葉の行動は先ほどの様子から見てあからさまなので、真名部は接触するため何か策があるのかと九坂に問いかける。
「で、どうするんですか?」
「それは……。ハァ…あいつ、俺を避けてるし」
「練習中にさりげなく謝っちゃえば?」
「さりげなくって?」
「う~ん、たとえば……『ホラ、ボールいったぞー! ああっ、それから苛つくって言ってごめんなー』とか」
「それ、謝ってるってことになるのかな?」
「う~ん……」
さくらが出した提案は反省の色がないように聞こえると皆帆は言うと、天馬も確かにそうだと頭を悩ませる。
「ついでに謝ろうなんてダメだ」
「そぉ? 勢いって大事よ」
「うん。いいんじゃない?」
「……やってみるか!」
九坂が好葉を見つめている中、鉄角がさくらを叱咤するが瞬木は賛成のようだ。今は他に手がないので九坂もがんばってみることにした。
ベンチで九坂を中心に試行錯誤している中、うしろの離れた位置にいる水川みのりがその光景を眺めていた。
「好葉ちゃん、さっきの練習では結構いい感じだったよ」
「でも……まだできていません……」
「焦らないで、まずは得意なことを伸ばして、それから不得意な所を直せばいいの。まずはボールを目で追うことに集中してみようか。私、次の人の練習を見て来ないといけないから」
「はい……」
好葉の身長に合わせるようにしゃがんでアドバイスする瑞貴。一人でやることになったので、好葉は表情に不安の色を見せていた。
「休憩時間終了! みんな、もうひとがんばりだよ!」
それからいつの間にか休憩時間が終了し、瑞貴がホイッスルを鳴らして練習再開の合図を出した。好葉もボールを持って練習を始めようとすると……。
「好葉!」
「!」
「キャプテンに聞いたよ。昨日、スゴいことやったんだって?」
「スゴいこと……?」
「車の前に飛び出した猫を、あっという間に助けたんでしょ?」
「あっ……それは……」
「――どんな風にやったの? 知りたいなぁ」
最初にやって来たさくらだけじゃなく、瞬木や鉄角や真名部や皆帆や九坂までもいつの間にか集まって来たので、好葉はうしろに一歩下がる。
「どんなって……」
「ちょっと見せてよ! ボールを猫だと思ってさ!」
「えっ……? でも……」
「九坂! 好葉にボール放ってみて!」
「あっ……」
戸惑う好葉を余所にさくらは九坂に練習相手になってもらうよう呼びかける。それに九坂は大丈夫なのかと戸惑っていると、さくらがウィンクを向けた。この機に謝罪してみようということだと九坂は気づく。
「オ、オウッ」
「ええっ!?」
「いいか? 放るぞ」
まさか練習相手が九坂だとは思わず、好葉はびっくりしてボールを離してしまった。その反動で転がったボールを九坂はしゃがんで取る。
「あっ、そ、それから……――あっ!」
ボールから目線を映して前を見るが、好葉は背を向けて去って行ってしまった。――失敗。
「九坂。やっぱりちゃんと謝るべきじゃないのか?」
「そうか……そうだよな!」
「ならば――」
「ならば一対一のシチュエーションを作ればいい」
「って、それ僕が言おうと!」
鉄角の言う通りだと九坂は意気込むと、声を上げた真名部に被せるように皆帆が告げた。同じことを真名部も言おうとしていたらしいが、皆帆は構わず言葉を続ける。
「僕にいい考えがある」
「いい考え……?」
「うん」
よほど自信があるのか、皆帆は力強く九坂に向かって頷いた。
☆☆☆☆☆
皆帆が作戦を決行するのは練習が終わったあとだ。夕方、宿舎の近くにある木の陰に九坂を導く。
「ここで、待っててよ。僕が森村さんを誘導して来るから」
「誘導?」
「彼女が来たら、前に飛び出すんだ」
「でも、俺を見たら逃げだしちまう」
「大丈夫だよ。恐らく森村さんはパニックを起こして立ちすくむはずだ。そこを逃さないで!」
「オ、オウッ……」
本当にうまくいくのか九坂は若干不安になったが、とりあえず皆帆の言う通り待っていることにした。
一方、グラウンドから階段を上がって宿舎に戻ろうとする好葉を待って、皆帆は近くに茂みに猫を抱えながら隠れていた。
「よし」
〈ニャ~〉
好葉が来たのを確認した皆帆はそっと猫を放して退散すると、猫は好葉に向かって鳴く。
〈ニャ~〉
「あっ、猫ちゃん!」
近くの木に隠れていた九坂は、好葉が猫を追って近くに来たのを確認し、飛び出すチャンスを伺っていると……。
「で、どうするんですか?」
「それは……。ハァ…あいつ、俺を避けてるし」
「練習中にさりげなく謝っちゃえば?」
「さりげなくって?」
「う~ん、たとえば……『ホラ、ボールいったぞー! ああっ、それから苛つくって言ってごめんなー』とか」
「それ、謝ってるってことになるのかな?」
「う~ん……」
さくらが出した提案は反省の色がないように聞こえると皆帆は言うと、天馬も確かにそうだと頭を悩ませる。
「ついでに謝ろうなんてダメだ」
「そぉ? 勢いって大事よ」
「うん。いいんじゃない?」
「……やってみるか!」
九坂が好葉を見つめている中、鉄角がさくらを叱咤するが瞬木は賛成のようだ。今は他に手がないので九坂もがんばってみることにした。
ベンチで九坂を中心に試行錯誤している中、うしろの離れた位置にいる水川みのりがその光景を眺めていた。
「好葉ちゃん、さっきの練習では結構いい感じだったよ」
「でも……まだできていません……」
「焦らないで、まずは得意なことを伸ばして、それから不得意な所を直せばいいの。まずはボールを目で追うことに集中してみようか。私、次の人の練習を見て来ないといけないから」
「はい……」
好葉の身長に合わせるようにしゃがんでアドバイスする瑞貴。一人でやることになったので、好葉は表情に不安の色を見せていた。
「休憩時間終了! みんな、もうひとがんばりだよ!」
それからいつの間にか休憩時間が終了し、瑞貴がホイッスルを鳴らして練習再開の合図を出した。好葉もボールを持って練習を始めようとすると……。
「好葉!」
「!」
「キャプテンに聞いたよ。昨日、スゴいことやったんだって?」
「スゴいこと……?」
「車の前に飛び出した猫を、あっという間に助けたんでしょ?」
「あっ……それは……」
「――どんな風にやったの? 知りたいなぁ」
最初にやって来たさくらだけじゃなく、瞬木や鉄角や真名部や皆帆や九坂までもいつの間にか集まって来たので、好葉はうしろに一歩下がる。
「どんなって……」
「ちょっと見せてよ! ボールを猫だと思ってさ!」
「えっ……? でも……」
「九坂! 好葉にボール放ってみて!」
「あっ……」
戸惑う好葉を余所にさくらは九坂に練習相手になってもらうよう呼びかける。それに九坂は大丈夫なのかと戸惑っていると、さくらがウィンクを向けた。この機に謝罪してみようということだと九坂は気づく。
「オ、オウッ」
「ええっ!?」
「いいか? 放るぞ」
まさか練習相手が九坂だとは思わず、好葉はびっくりしてボールを離してしまった。その反動で転がったボールを九坂はしゃがんで取る。
「あっ、そ、それから……――あっ!」
ボールから目線を映して前を見るが、好葉は背を向けて去って行ってしまった。――失敗。
「九坂。やっぱりちゃんと謝るべきじゃないのか?」
「そうか……そうだよな!」
「ならば――」
「ならば一対一のシチュエーションを作ればいい」
「って、それ僕が言おうと!」
鉄角の言う通りだと九坂は意気込むと、声を上げた真名部に被せるように皆帆が告げた。同じことを真名部も言おうとしていたらしいが、皆帆は構わず言葉を続ける。
「僕にいい考えがある」
「いい考え……?」
「うん」
よほど自信があるのか、皆帆は力強く九坂に向かって頷いた。
☆☆☆☆☆
皆帆が作戦を決行するのは練習が終わったあとだ。夕方、宿舎の近くにある木の陰に九坂を導く。
「ここで、待っててよ。僕が森村さんを誘導して来るから」
「誘導?」
「彼女が来たら、前に飛び出すんだ」
「でも、俺を見たら逃げだしちまう」
「大丈夫だよ。恐らく森村さんはパニックを起こして立ちすくむはずだ。そこを逃さないで!」
「オ、オウッ……」
本当にうまくいくのか九坂は若干不安になったが、とりあえず皆帆の言う通り待っていることにした。
一方、グラウンドから階段を上がって宿舎に戻ろうとする好葉を待って、皆帆は近くに茂みに猫を抱えながら隠れていた。
「よし」
〈ニャ~〉
好葉が来たのを確認した皆帆はそっと猫を放して退散すると、猫は好葉に向かって鳴く。
〈ニャ~〉
「あっ、猫ちゃん!」
近くの木に隠れていた九坂は、好葉が猫を追って近くに来たのを確認し、飛び出すチャンスを伺っていると……。