じぶん嫌い
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――みんなが自分を心配して探しているとは知らず、私服姿の好葉は瑞貴の予想通り動物園に来ていた。仲良くみんなでご飯を食べるウサギを他の子供たちと一緒にしゃがんで眺めている。
「お友達がいっぱいいるんだね……。サッカーやめても、必ず会いに来るからね……」
仲間と一緒にいるウサギたちを、好葉はどこか羨ましく思った。
――その一方で動物園にやって来た天馬と葵と九坂。園内には親子連れが中心で人が大勢いるが、葵がウサギとのふれあいコーナーで好葉のうしろ姿を見つける。
「あっ、好葉ちゃん!」
「ホントだ!」
「よかった……!」
「ウッス……!」
まだお台場サッカーガーデンから出て行っていないし、こうして無事に見つけることができて三人はホッとした。さっそく声をかけようと前に出ると、天馬はふと思って立ち止まり九坂に話しかける。
「なあ、九坂」
「はっ」
「やっぱり、俺たちより葵のほうが女の子同士で話がしやすいんじゃないかな?」
「あ~、確かに」
「あっ……私は、ダメ」
「えっ?」
みのりに言われたことを思い出した葵は顔を逸らして断った。一緒に好葉のことを心配して探しに来たのに、天馬は不思議に思ったが葵が言葉を続ける。
「好葉ちゃん、女の子が怖いらしいの」
「どうして……?」
「わからない……。もしかすると、何か嫌な思い出があるのかも」
「…………」
いつもなら積極的にいく葵が珍しく消極的である。とりあえず天馬が行くことになり、葵と九坂は近くのベンチで様子を見守ることにした。
ウサギを抱っこし、優しい眼差しで見つめる好葉。その姿はいつもとは違い心からの笑顔でとても楽しそうである。
「ホントに動物が好きなんだね」
「ふええっ! キャプテン……」
「俺も好きだよ」
聞こえてきた声に好葉は驚き眉を下げて見上げた。天馬は好葉の隣にしゃがみながら動物について話題を出す。
「俺ん家に犬がいてさ、サスケっていうんだけど、年取ってるからいつもグテーと寝てばっかりでさ。でも、それが可愛いんだよね」
「……ウチは違う」
「ん?」
「動物は悪口とか言わないし、変な目で見ないし、可愛いとか可愛くないとかで人を区別しない……」
「好葉……」
好葉が動物好きな理由は、ただ人より動物と一緒にいるのが心地いいからだと天馬は気づいた。そして天馬と好葉の会話は九坂と葵にも聞こえ、二人は顔を見合わせる。
「話してくれないかな? その……今まで何があったか。チームメイトのことは全部知っておきたいんだ。キャプテンとして。もし、何か悩みがあるなら、力になるよ」
「……ウチを見てると、『苛つく』ってみんなが言うんです」
「えっ……?」
「だからウチ、誰とも話さないようにしてた……。でも、それがまたみんなには……」
「好葉……」
その先は言わなくても天馬にはわかった。好葉は消極的でオドオドしていることが多く、あまり自分の意思を述べたりしない。その性格のせいで周りに嫌な目で見られたのだと察する。
「キャプテンもやっぱりウチを見ると、そうですか……?」
「そんなわけないだろ!」
「ウチの顔はね、みんなを苛つかせるの……。前にウチをいじめた子が言ったの……『苛つかせるお前が悪いんだ』って……」
「俺も、チームの中の誰も、好葉を見てそんなこと思う奴なんて一人もいない!」
「今はそうじゃなくても、一緒にいたらきっと……」
「好葉……」
「なんで監督がウチを選んだのか……今でもわかんない……」
もともと気弱だっただろうが、いじめや周りの悪口でさらに彼女を気弱にさせてしまったのだろう。天馬は好葉が悩んでいた理由が少し理解した。
「あーもう! 見ちゃいらんねぇ!」
「あっ、ちょっと!」
軽く顔をしかめた九坂が立ち上がり、葵が止める間もなくズンズンと歩いて好葉と天馬の元へ向かった。
「だからウチなんて――」
「なあ! グダグダ言ってないで、俺たちを信じろよ!」
「九坂くん……?」
九坂の力強く意思のある声に振り向いた好葉は、驚きはしたものの彼も来ていたのだと気づいた。
「誰もあんたを嫌ってないし、あんたは立派なイナズマジャパンのメンバーだ!」
「あっ……」
「前、言ってくれたよな! あっ……」
その声に驚いたのか抱っこする手が緩み、ウサギは好葉の腕から離れて仲間の元へ戻ると、顔は好葉たちの方向を向いていた。事の顛末を見守っているのかもしれない。
九坂もまた大声で叫んで好葉を怯えさせていると気づき、しゃがむと通常の声音で話しかける。
「お友達がいっぱいいるんだね……。サッカーやめても、必ず会いに来るからね……」
仲間と一緒にいるウサギたちを、好葉はどこか羨ましく思った。
――その一方で動物園にやって来た天馬と葵と九坂。園内には親子連れが中心で人が大勢いるが、葵がウサギとのふれあいコーナーで好葉のうしろ姿を見つける。
「あっ、好葉ちゃん!」
「ホントだ!」
「よかった……!」
「ウッス……!」
まだお台場サッカーガーデンから出て行っていないし、こうして無事に見つけることができて三人はホッとした。さっそく声をかけようと前に出ると、天馬はふと思って立ち止まり九坂に話しかける。
「なあ、九坂」
「はっ」
「やっぱり、俺たちより葵のほうが女の子同士で話がしやすいんじゃないかな?」
「あ~、確かに」
「あっ……私は、ダメ」
「えっ?」
みのりに言われたことを思い出した葵は顔を逸らして断った。一緒に好葉のことを心配して探しに来たのに、天馬は不思議に思ったが葵が言葉を続ける。
「好葉ちゃん、女の子が怖いらしいの」
「どうして……?」
「わからない……。もしかすると、何か嫌な思い出があるのかも」
「…………」
いつもなら積極的にいく葵が珍しく消極的である。とりあえず天馬が行くことになり、葵と九坂は近くのベンチで様子を見守ることにした。
ウサギを抱っこし、優しい眼差しで見つめる好葉。その姿はいつもとは違い心からの笑顔でとても楽しそうである。
「ホントに動物が好きなんだね」
「ふええっ! キャプテン……」
「俺も好きだよ」
聞こえてきた声に好葉は驚き眉を下げて見上げた。天馬は好葉の隣にしゃがみながら動物について話題を出す。
「俺ん家に犬がいてさ、サスケっていうんだけど、年取ってるからいつもグテーと寝てばっかりでさ。でも、それが可愛いんだよね」
「……ウチは違う」
「ん?」
「動物は悪口とか言わないし、変な目で見ないし、可愛いとか可愛くないとかで人を区別しない……」
「好葉……」
好葉が動物好きな理由は、ただ人より動物と一緒にいるのが心地いいからだと天馬は気づいた。そして天馬と好葉の会話は九坂と葵にも聞こえ、二人は顔を見合わせる。
「話してくれないかな? その……今まで何があったか。チームメイトのことは全部知っておきたいんだ。キャプテンとして。もし、何か悩みがあるなら、力になるよ」
「……ウチを見てると、『苛つく』ってみんなが言うんです」
「えっ……?」
「だからウチ、誰とも話さないようにしてた……。でも、それがまたみんなには……」
「好葉……」
その先は言わなくても天馬にはわかった。好葉は消極的でオドオドしていることが多く、あまり自分の意思を述べたりしない。その性格のせいで周りに嫌な目で見られたのだと察する。
「キャプテンもやっぱりウチを見ると、そうですか……?」
「そんなわけないだろ!」
「ウチの顔はね、みんなを苛つかせるの……。前にウチをいじめた子が言ったの……『苛つかせるお前が悪いんだ』って……」
「俺も、チームの中の誰も、好葉を見てそんなこと思う奴なんて一人もいない!」
「今はそうじゃなくても、一緒にいたらきっと……」
「好葉……」
「なんで監督がウチを選んだのか……今でもわかんない……」
もともと気弱だっただろうが、いじめや周りの悪口でさらに彼女を気弱にさせてしまったのだろう。天馬は好葉が悩んでいた理由が少し理解した。
「あーもう! 見ちゃいらんねぇ!」
「あっ、ちょっと!」
軽く顔をしかめた九坂が立ち上がり、葵が止める間もなくズンズンと歩いて好葉と天馬の元へ向かった。
「だからウチなんて――」
「なあ! グダグダ言ってないで、俺たちを信じろよ!」
「九坂くん……?」
九坂の力強く意思のある声に振り向いた好葉は、驚きはしたものの彼も来ていたのだと気づいた。
「誰もあんたを嫌ってないし、あんたは立派なイナズマジャパンのメンバーだ!」
「あっ……」
「前、言ってくれたよな! あっ……」
その声に驚いたのか抱っこする手が緩み、ウサギは好葉の腕から離れて仲間の元へ戻ると、顔は好葉たちの方向を向いていた。事の顛末を見守っているのかもしれない。
九坂もまた大声で叫んで好葉を怯えさせていると気づき、しゃがむと通常の声音で話しかける。