じぶん嫌い
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葵も続こうと走り出すと、いつの間にかやって来た水川みのりが立ち塞がる。
「森村好葉は人を怖がっている。特に女の子を」
「えっ?」
「故に、あなたのことを」
「あっ……」
「マネージャーなら、そのぐらいのことに気がつかなくては」
「女の子を…怖がってる……」
みのりに言われ、葵は好葉が自分やさくらに対してかなりビクビクしていたことを思い出した。だが葵も好葉を探しに行き、そのあとの練習はほぼ自主練という形になった。
――五人は好葉の捜索に、さくらは宿舎の部屋に戻る中、真名部はミーティングルームで準々決勝の試合を見ながらタブレットのデータを見比べ、あることに気づく。
「やはりそうか……」
「――君は探しに行かないのかい?」
そう呟いてタブレットを操作しモニターの映像を切り替えたあと、ミーティングルームに入って来た皆帆が話しかけてきた
「たとえ僕が見つけても、彼女には僕の説得は通じない……そう判断したんです。
「なるほどね」
「君も同じ考えなんでしょう?」
「彼女は自分の殻に閉じこもってるからね」
頭脳派の二人は効率を考え、自分たちは探さずに好葉は天馬たちに任せることにしたようだ。
「前回のマッハタイガーの試合か……――何か面白いことがわかったみたいだね」
「ええ。まだ仮説の段階ですが……」
何度も覚えた世界大会の違和感を、二人はいち早く察知していた。しかしそれには判断材料が足りないため敢えてチームには連絡していない。
――グラウンドに残った剣城と神童は、二人でパス練習をしている。その間にたまに会話をしているが、内容はいなくなってしまった好葉のことである。
「好葉のことですが、神童さんはどう考えているんですか?」
「監督は彼女をイナズマジャパンに選んだ……そこにはそうするだけの理由があるはずだ」
雷門メンバー以外の選ばれた選手には潜在能力があると神童は認めざるを得なかった。それを見抜いていた黒岩だからこそ、好葉を代表に選んだ理由も同じだろうと告げる。ボールを受け取った剣城も同意して頷いた。
「だが、それがなんなのか俺には分からない……――でも、天馬なら」
「きっとなんとかしますよ。天馬なら、必ず!」
変わっていくチームの中心にはいつも天馬がいる。だからこそ神童と剣城は、天馬が好葉のことを少しでも変えてくれると信頼していた。
☆☆☆☆☆
お台場サッカーガーデンのあらゆる所を探していた天馬は葵と合流し、さらに九坂も合流したので好葉は見つかったのかと問う。
「いた?」
「…………」
九坂は黙って首を横に振った。天馬と葵と同じく収穫がなかったのだろう。
「天馬! 好葉ちゃんが行きそうな所、どこか思い当たらない?」
「ん~……考えてみると、あまり話したことなかったからな……」
「そういえば……私も好葉ちゃんのこと、何も知らないし……。もっと積極的に話しかければよかった……私、マネージャー失格かも……」
「そんなこと言ったら俺だって……キャプテン失格だよ」
世界大会に夢中で、好葉とマトモにコミュニケーションを取れなかったと悔む葵と天馬。眉を下げて顔をうつむける二人に、九坂が励ますように声をかける。
「とにかく、なんでもいいから思い出しましょう! あいつの行きそうな所!」
「――みんな何やってるの?」
「「「!」」」
聞き覚えのある声が聞こえて振り向くと、瑞貴がそこにいた。恐らく準決勝の手続きを終えて帰って来たのだろう。
「瑞貴さん、大変なんです! 好葉ちゃんがイナズマジャパンを辞めるって置き手紙を残していなくなって!」
「ええっ!?」
「それで俺たち好葉を探しているんですけど、どこにも……」
「瑞貴さんは何か思いつきませんか? あいつがどこにいるか」
「……動物園は見た?」
「「「えっ?」」」
「この先にオオハシやロバとかウサギがいる、ちびっこ動物園があるの。あまり広くないけどふれ合いコーナーとかあるから、動物好きな好葉ちゃんなら行きそうじゃない?」
「「「動物!」」」
瑞貴の言葉を聞いて、三人は午前中に真名部と皆帆が『動物好きだ』と言っていたことを思い出した。
「ありがとうございます! 行きましょう!」
「瑞貴さん、ごめんなさい! 練習抜けたペナルティはあとで受けますからー!」
「森村の分は俺が受けるんで!」
「あっ、ちょっと!」
瑞貴が手を伸ばして止める間もなく、三人は動物園へ向かって走り出した。
「……事情が事情だし、今回だけは大目にみておこうか」
後頭部に手を当てて眉を下げた瑞貴はそう呟いたのだが、もうすでに遠くに行った三人には聞こえていなかった。
「森村好葉は人を怖がっている。特に女の子を」
「えっ?」
「故に、あなたのことを」
「あっ……」
「マネージャーなら、そのぐらいのことに気がつかなくては」
「女の子を…怖がってる……」
みのりに言われ、葵は好葉が自分やさくらに対してかなりビクビクしていたことを思い出した。だが葵も好葉を探しに行き、そのあとの練習はほぼ自主練という形になった。
――五人は好葉の捜索に、さくらは宿舎の部屋に戻る中、真名部はミーティングルームで準々決勝の試合を見ながらタブレットのデータを見比べ、あることに気づく。
「やはりそうか……」
「――君は探しに行かないのかい?」
そう呟いてタブレットを操作しモニターの映像を切り替えたあと、ミーティングルームに入って来た皆帆が話しかけてきた
「たとえ僕が見つけても、彼女には僕の説得は通じない……そう判断したんです。
「なるほどね」
「君も同じ考えなんでしょう?」
「彼女は自分の殻に閉じこもってるからね」
頭脳派の二人は効率を考え、自分たちは探さずに好葉は天馬たちに任せることにしたようだ。
「前回のマッハタイガーの試合か……――何か面白いことがわかったみたいだね」
「ええ。まだ仮説の段階ですが……」
何度も覚えた世界大会の違和感を、二人はいち早く察知していた。しかしそれには判断材料が足りないため敢えてチームには連絡していない。
――グラウンドに残った剣城と神童は、二人でパス練習をしている。その間にたまに会話をしているが、内容はいなくなってしまった好葉のことである。
「好葉のことですが、神童さんはどう考えているんですか?」
「監督は彼女をイナズマジャパンに選んだ……そこにはそうするだけの理由があるはずだ」
雷門メンバー以外の選ばれた選手には潜在能力があると神童は認めざるを得なかった。それを見抜いていた黒岩だからこそ、好葉を代表に選んだ理由も同じだろうと告げる。ボールを受け取った剣城も同意して頷いた。
「だが、それがなんなのか俺には分からない……――でも、天馬なら」
「きっとなんとかしますよ。天馬なら、必ず!」
変わっていくチームの中心にはいつも天馬がいる。だからこそ神童と剣城は、天馬が好葉のことを少しでも変えてくれると信頼していた。
☆☆☆☆☆
お台場サッカーガーデンのあらゆる所を探していた天馬は葵と合流し、さらに九坂も合流したので好葉は見つかったのかと問う。
「いた?」
「…………」
九坂は黙って首を横に振った。天馬と葵と同じく収穫がなかったのだろう。
「天馬! 好葉ちゃんが行きそうな所、どこか思い当たらない?」
「ん~……考えてみると、あまり話したことなかったからな……」
「そういえば……私も好葉ちゃんのこと、何も知らないし……。もっと積極的に話しかければよかった……私、マネージャー失格かも……」
「そんなこと言ったら俺だって……キャプテン失格だよ」
世界大会に夢中で、好葉とマトモにコミュニケーションを取れなかったと悔む葵と天馬。眉を下げて顔をうつむける二人に、九坂が励ますように声をかける。
「とにかく、なんでもいいから思い出しましょう! あいつの行きそうな所!」
「――みんな何やってるの?」
「「「!」」」
聞き覚えのある声が聞こえて振り向くと、瑞貴がそこにいた。恐らく準決勝の手続きを終えて帰って来たのだろう。
「瑞貴さん、大変なんです! 好葉ちゃんがイナズマジャパンを辞めるって置き手紙を残していなくなって!」
「ええっ!?」
「それで俺たち好葉を探しているんですけど、どこにも……」
「瑞貴さんは何か思いつきませんか? あいつがどこにいるか」
「……動物園は見た?」
「「「えっ?」」」
「この先にオオハシやロバとかウサギがいる、ちびっこ動物園があるの。あまり広くないけどふれ合いコーナーとかあるから、動物好きな好葉ちゃんなら行きそうじゃない?」
「「「動物!」」」
瑞貴の言葉を聞いて、三人は午前中に真名部と皆帆が『動物好きだ』と言っていたことを思い出した。
「ありがとうございます! 行きましょう!」
「瑞貴さん、ごめんなさい! 練習抜けたペナルティはあとで受けますからー!」
「森村の分は俺が受けるんで!」
「あっ、ちょっと!」
瑞貴が手を伸ばして止める間もなく、三人は動物園へ向かって走り出した。
「……事情が事情だし、今回だけは大目にみておこうか」
後頭部に手を当てて眉を下げた瑞貴はそう呟いたのだが、もうすでに遠くに行った三人には聞こえていなかった。