じぶん嫌い
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追い越しの繰り返しをすると思いきや、今度はショルダーチャージのように身を寄せ合って走る。お互いのことで夢中になっているあまり、鉄角や野咲さくらたちを追い越していることにも気づいていない。
「何やってんだ? あいつら?」
「さあ? 全然わかんない」
外周するメンバーを見ながら、天馬は剣城と共に感慨深そうに見ていた。この二人と神童はすでにノルマをクリアしているのだ。
「みんなやる気が出てきた!」
「ああ。初めはどうなることかと思ったがな」
「そこの張り合っている二人! ペース配分を間違えるとバテるよ!」
「「ハァ……ハァ……」」
「言ってるそばから……」
声を上げて注意した瑞貴だがさっそく真名部と皆帆は肩を落としてスピードが落ち、先ほど抜いた他のメンバーに抜かれてまた一番うしろを走ることになった。
「天馬」
「はい!」
「一人足りないぞ」
「えっ?」
「ほら、よく見ろ」
神童が走っているメンバーを指差したので天馬も見ると、自分のペースで順調に走る鉄角とさくらと九坂と瞬木隼人と井吹宗正、ムリなペースを上げたせいでスピードが落ちている真名部と皆帆……確かに一人だけいないことに天馬と剣城も気づく。
「好葉がいない?」
「そういえば、朝食のときもいなかったな」
「じゃあ、あのまま帰らなかったってことでしょうか……」
「みたいだね……」
葵と瑞貴が顔を見合わせて呟いた言葉が聞こえ、天馬は何か知っているのかと問いかける。
「心当たりでもあるの?」
「うん。朝、宿舎の前で会ったの。散歩に行くって言ってたけど……」
「――ハァ…ハァ……散歩って…森村さんのこと……?」
「ん?」
外周が終わったのか真名部と共に両手と両膝を地に付ける皆帆が天馬に声をかけた。ちなみに二人以外のメンバーは体力的にまだ余裕である。
「彼女ならたぶん、公園だよ……。フゥ……自由時間はたいていあの辺りにいる。きっと、一人になりたいんだろうね」
「森村さんは動物好きですから。公園で野良猫と遊んでいるのを見たことがあります」
「でも、どうしたのかな? 練習にはいつも真面目に出ていたのに」
「結構、思い詰めてる感じだったからね。自分がこのチームにいていいんだろうかって……」
真名部も好葉は今も公園で猫と一緒にいるのではと言い、瞬木の疑問に皆帆が答えると、他のメンバーも心当たりがあった。気弱でいつも人の顔色ばかり伺う彼女ならありえそうだ。
「私、探して来る! 天馬は練習を続けてて。準決勝が近いんだから、ここは私に任せて!」
「うん、わかった。じゃあ、好葉のこと頼むよ!」
「うん!」
女同士ということもあって天馬も葵に任せることにし、葵は皆帆と真名部からの情報を元に公園へと向かった。
「……好葉にとって、このチームに留まることがいいことだろうか」
「…………」
目を閉じて呟いた神童の言葉に、他のメンバーも思う所がある。その中で特に九坂は好葉のことを心配していた。
パンパンッ!
「ハイハイ! 次の練習に移るよ!」
「「「「「はい!」」」」」
(好葉ちゃん……)
モチベーションを切り返させるため、瑞貴は両手を叩いて選手たちに声をかけた。もちろん瑞貴だって内心好葉のことが心配なのだが
☆☆☆☆☆
チームメイトが自分のことを考えているとは露知らず、好葉は猫にちぎったパンを与えていた。
「おいしい?」
〈ニャ~ン〉
「そう、よかった。――あっ」
〈〈ニャ~〉〉
パンの匂いにつられたのか、新たに二匹の猫がやって来て一緒にパンを食べる。ほのぼのとしたその光景に好葉は微笑んだ。
「みんなお腹が空いてたんだね」
「――こんな所にいたのね」
「!」
「みんな心配してたよ?」
「ウウッ……」
〈〈〈ニャー〉〉〉
「あっ……」
うしろに現れた葵に好葉は身を縮め、猫たちは好葉以外の来訪者が現れたので去って行った。その光景に葵は少し寂しそうに声を上げると、好葉が顔をうつむけて謝罪する。
「ごめんなさい……」
「ああっ、大丈夫大丈夫! そんなに気にしなくていいから」
「…………」
葵が苦笑しながら両手を振って宥めるが、好葉は申し訳なさそうに顔をうつむけた。
「何やってんだ? あいつら?」
「さあ? 全然わかんない」
外周するメンバーを見ながら、天馬は剣城と共に感慨深そうに見ていた。この二人と神童はすでにノルマをクリアしているのだ。
「みんなやる気が出てきた!」
「ああ。初めはどうなることかと思ったがな」
「そこの張り合っている二人! ペース配分を間違えるとバテるよ!」
「「ハァ……ハァ……」」
「言ってるそばから……」
声を上げて注意した瑞貴だがさっそく真名部と皆帆は肩を落としてスピードが落ち、先ほど抜いた他のメンバーに抜かれてまた一番うしろを走ることになった。
「天馬」
「はい!」
「一人足りないぞ」
「えっ?」
「ほら、よく見ろ」
神童が走っているメンバーを指差したので天馬も見ると、自分のペースで順調に走る鉄角とさくらと九坂と瞬木隼人と井吹宗正、ムリなペースを上げたせいでスピードが落ちている真名部と皆帆……確かに一人だけいないことに天馬と剣城も気づく。
「好葉がいない?」
「そういえば、朝食のときもいなかったな」
「じゃあ、あのまま帰らなかったってことでしょうか……」
「みたいだね……」
葵と瑞貴が顔を見合わせて呟いた言葉が聞こえ、天馬は何か知っているのかと問いかける。
「心当たりでもあるの?」
「うん。朝、宿舎の前で会ったの。散歩に行くって言ってたけど……」
「――ハァ…ハァ……散歩って…森村さんのこと……?」
「ん?」
外周が終わったのか真名部と共に両手と両膝を地に付ける皆帆が天馬に声をかけた。ちなみに二人以外のメンバーは体力的にまだ余裕である。
「彼女ならたぶん、公園だよ……。フゥ……自由時間はたいていあの辺りにいる。きっと、一人になりたいんだろうね」
「森村さんは動物好きですから。公園で野良猫と遊んでいるのを見たことがあります」
「でも、どうしたのかな? 練習にはいつも真面目に出ていたのに」
「結構、思い詰めてる感じだったからね。自分がこのチームにいていいんだろうかって……」
真名部も好葉は今も公園で猫と一緒にいるのではと言い、瞬木の疑問に皆帆が答えると、他のメンバーも心当たりがあった。気弱でいつも人の顔色ばかり伺う彼女ならありえそうだ。
「私、探して来る! 天馬は練習を続けてて。準決勝が近いんだから、ここは私に任せて!」
「うん、わかった。じゃあ、好葉のこと頼むよ!」
「うん!」
女同士ということもあって天馬も葵に任せることにし、葵は皆帆と真名部からの情報を元に公園へと向かった。
「……好葉にとって、このチームに留まることがいいことだろうか」
「…………」
目を閉じて呟いた神童の言葉に、他のメンバーも思う所がある。その中で特に九坂は好葉のことを心配していた。
パンパンッ!
「ハイハイ! 次の練習に移るよ!」
「「「「「はい!」」」」」
(好葉ちゃん……)
モチベーションを切り返させるため、瑞貴は両手を叩いて選手たちに声をかけた。もちろん瑞貴だって内心好葉のことが心配なのだが
☆☆☆☆☆
チームメイトが自分のことを考えているとは露知らず、好葉は猫にちぎったパンを与えていた。
「おいしい?」
〈ニャ~ン〉
「そう、よかった。――あっ」
〈〈ニャ~〉〉
パンの匂いにつられたのか、新たに二匹の猫がやって来て一緒にパンを食べる。ほのぼのとしたその光景に好葉は微笑んだ。
「みんなお腹が空いてたんだね」
「――こんな所にいたのね」
「!」
「みんな心配してたよ?」
「ウウッ……」
〈〈〈ニャー〉〉〉
「あっ……」
うしろに現れた葵に好葉は身を縮め、猫たちは好葉以外の来訪者が現れたので去って行った。その光景に葵は少し寂しそうに声を上げると、好葉が顔をうつむけて謝罪する。
「ごめんなさい……」
「ああっ、大丈夫大丈夫! そんなに気にしなくていいから」
「…………」
葵が苦笑しながら両手を振って宥めるが、好葉は申し訳なさそうに顔をうつむけた。