じぶん嫌い
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イナズマジャパンが新たな特訓場・ブラックルームで練習をする中、準決勝の相手はタイ代表マッハタイガーに決まった。準々決勝ではサウジアラビア代表デザートライオンが有利と評判があったが、それを5対0と圧勝したのである。
逆にイナズマジャパンは問題が様々だ。親への価値観の違いで真名部陣一郎と皆帆和人はケンカをし、ブラックルームの特訓で徐々に力をつけるも契約内容を思い出し、全員が前向きではないのだ。
「準決勝が決まって忙しくなってきたな……。今日ブラックルームで重視しなければならない練習は――」
早朝、宿舎内を歩く円堂瑞貴は昨日発表されたマッハタイガー戦に向けて練習メニューを組んでいた。ブラックルームのおかげでメニュー選択の幅も広がって来たし、少しずつだが雷門メンバー以外も実力も付いて来ているのでメニューの作成のし甲斐がある。
「瑞貴さん! おはようございます!」
「おっ、葵ちゃん。おはよう」
「…………」
「どうしたの?」
「いえ、やっぱり瑞貴さんはだなって。全然変わってません」
「?」
宿舎内で空野葵と出会ったのはいいが、ジッと見つめられたあと嬉しそうに彼女から言われた言葉に瑞貴は首を傾げた。朝の空気を吸うためちょうど二人共外に出ようとしているので、一緒に向かうことになった。その間も雑談していく。
「私、瑞貴さんは雷門にいた頃と天馬たちへの態度が違っていたので、『瑞貴さんは変わってしまった』と不安に思ってたんです」
「それは仕方ないよ。わざとそうしてたからね」
「えっ!? そうなんですか?」
「順調に勝ち進んでいる今だから言える話なんだけど……雷門以外のメンバーを見れば一目瞭然でしょ?」
「あっ! もしかして、天馬たちが自分に頼らないように?」
瑞貴に言われ葵は松風天馬と神童拓人と剣城京介以外のメンバーの初めの頃を思い出す。サッカー初心者を集めた黒岩流星には話が通じず、となれば必然的に馴染みのある瑞貴へ『なんとかしてほしい』と声が上がる。
「うん。だから少し演技をしていたの。予想通り初戦の前は私に対して期待していたみたいだし、それに周りから見れば天馬たちばかり構っているみたいで不公平でしょ?」
「確かにそうですね……」
「本当の自分は隠しているつもりでも、どこか必ず変わらない所がある。こういう嫌われるような演技はしたことがなかったから、大会が始まる前は不安でいっぱいだったんだ」
「…………」
思い出すように苦笑していた瑞貴に、葵は顔をうつむけると瑞貴の前に回り込む。それに瑞貴も驚いて思わず足を止めた。
「瑞貴さんの意図も知らず勝手に『変わった』なんて思ってごめんなさい!」
「葵ちゃん……」
「思えば瑞貴さんはいつもチームのことを考えていました。それは天馬たちも例外じゃないのに、私、勝手な思い込みをしてました!」
「いいっていって」
深く下げた葵の頭を瑞貴は優しく撫でる。どこかホッとする手の平の温かさに、葵は顔を上げても抵抗しなかった。
「それにこうやって言えるようになったのは、天馬や京介くんだけでなく、拓人くんがチームに対しての見方が変わったおかげだよ」
「あっ、確かに! まだまだ厳しい所はありますけど、神童さんがこの間鉄角くんにアドバイスしている姿を見てびっくりしました。神童先輩も少しずつチームを認めてくれてるってことですね!」
「だね。私たちは選手をサポートする側だけど、だからこそできることがある。一緒にがんばろう!」
「はい!」
宿舎を出ると朝の気持ちいい空気に葵は背伸びをする。すると前には自分よりも先にいた九坂隆二がリフティングをしていた。
「ん~~……プハァ! 気持ちのいい朝! 早いですね、九坂くん!」
「おはよう、隆二くん」
「ウッス! なんか目が覚めちまって。――おっ」
九坂が葵と瑞貴のうしろに目をやって声を上げたので、二人もうしろを見ると森村好葉も宿舎から出てきた。
「好葉ちゃん、おはよう!」
「ハワワワッ……! お、おはようございます……」
「おはよう」
「早いわね、散歩に行くの?」
「は、はい……」
「「「…………」」」
葵はさり気なく質問したのだが、好葉は身を縮めながらそそくさと去って行った。その様子に残った三人は顔を見合わせるのだった。
――あれから時間が経ち、集まったイナズマジャパンはヨットハーバーグラウンドで練習をしている。
「おーし! あと三週!」
「「ヒィヒィ……ハァハァ……」」
「がんばれ! 気合い入れていくぞ!」
先頭を意気込んで走る鉄角真とは違い、一番うしろにいる真名部陣一郎と皆帆和人の息は上がっている。その間も鉄角を含めた選手たちと二人の距離は開く一方だ。
「選手のコンディションは日によって、それぞれ異なります……! 体調に即した負荷でトレーニングするのが合理的なんです……」
「ああ!?」
「真名部くんの言ってることは正しいと思うよ……この点だけはね」
「なんかトゲのある言い方ですね」
「そうかな?」
未だにケンカをしているので二人の空気は悪い。そのせいか先ほどまで並んで走っていたのに皆帆がスピードを上げれば、真名部もまたスピードを上げる。
「あまり、ムリしないほうが、身のため、ですよ!」
「そ、そっちも! 苦しそうに、見えるけど!?」
「な、何をー!?」
「なんだよー!?」
逆にイナズマジャパンは問題が様々だ。親への価値観の違いで真名部陣一郎と皆帆和人はケンカをし、ブラックルームの特訓で徐々に力をつけるも契約内容を思い出し、全員が前向きではないのだ。
「準決勝が決まって忙しくなってきたな……。今日ブラックルームで重視しなければならない練習は――」
早朝、宿舎内を歩く円堂瑞貴は昨日発表されたマッハタイガー戦に向けて練習メニューを組んでいた。ブラックルームのおかげでメニュー選択の幅も広がって来たし、少しずつだが雷門メンバー以外も実力も付いて来ているのでメニューの作成のし甲斐がある。
「瑞貴さん! おはようございます!」
「おっ、葵ちゃん。おはよう」
「…………」
「どうしたの?」
「いえ、やっぱり瑞貴さんはだなって。全然変わってません」
「?」
宿舎内で空野葵と出会ったのはいいが、ジッと見つめられたあと嬉しそうに彼女から言われた言葉に瑞貴は首を傾げた。朝の空気を吸うためちょうど二人共外に出ようとしているので、一緒に向かうことになった。その間も雑談していく。
「私、瑞貴さんは雷門にいた頃と天馬たちへの態度が違っていたので、『瑞貴さんは変わってしまった』と不安に思ってたんです」
「それは仕方ないよ。わざとそうしてたからね」
「えっ!? そうなんですか?」
「順調に勝ち進んでいる今だから言える話なんだけど……雷門以外のメンバーを見れば一目瞭然でしょ?」
「あっ! もしかして、天馬たちが自分に頼らないように?」
瑞貴に言われ葵は松風天馬と神童拓人と剣城京介以外のメンバーの初めの頃を思い出す。サッカー初心者を集めた黒岩流星には話が通じず、となれば必然的に馴染みのある瑞貴へ『なんとかしてほしい』と声が上がる。
「うん。だから少し演技をしていたの。予想通り初戦の前は私に対して期待していたみたいだし、それに周りから見れば天馬たちばかり構っているみたいで不公平でしょ?」
「確かにそうですね……」
「本当の自分は隠しているつもりでも、どこか必ず変わらない所がある。こういう嫌われるような演技はしたことがなかったから、大会が始まる前は不安でいっぱいだったんだ」
「…………」
思い出すように苦笑していた瑞貴に、葵は顔をうつむけると瑞貴の前に回り込む。それに瑞貴も驚いて思わず足を止めた。
「瑞貴さんの意図も知らず勝手に『変わった』なんて思ってごめんなさい!」
「葵ちゃん……」
「思えば瑞貴さんはいつもチームのことを考えていました。それは天馬たちも例外じゃないのに、私、勝手な思い込みをしてました!」
「いいっていって」
深く下げた葵の頭を瑞貴は優しく撫でる。どこかホッとする手の平の温かさに、葵は顔を上げても抵抗しなかった。
「それにこうやって言えるようになったのは、天馬や京介くんだけでなく、拓人くんがチームに対しての見方が変わったおかげだよ」
「あっ、確かに! まだまだ厳しい所はありますけど、神童さんがこの間鉄角くんにアドバイスしている姿を見てびっくりしました。神童先輩も少しずつチームを認めてくれてるってことですね!」
「だね。私たちは選手をサポートする側だけど、だからこそできることがある。一緒にがんばろう!」
「はい!」
宿舎を出ると朝の気持ちいい空気に葵は背伸びをする。すると前には自分よりも先にいた九坂隆二がリフティングをしていた。
「ん~~……プハァ! 気持ちのいい朝! 早いですね、九坂くん!」
「おはよう、隆二くん」
「ウッス! なんか目が覚めちまって。――おっ」
九坂が葵と瑞貴のうしろに目をやって声を上げたので、二人もうしろを見ると森村好葉も宿舎から出てきた。
「好葉ちゃん、おはよう!」
「ハワワワッ……! お、おはようございます……」
「おはよう」
「早いわね、散歩に行くの?」
「は、はい……」
「「「…………」」」
葵はさり気なく質問したのだが、好葉は身を縮めながらそそくさと去って行った。その様子に残った三人は顔を見合わせるのだった。
――あれから時間が経ち、集まったイナズマジャパンはヨットハーバーグラウンドで練習をしている。
「おーし! あと三週!」
「「ヒィヒィ……ハァハァ……」」
「がんばれ! 気合い入れていくぞ!」
先頭を意気込んで走る鉄角真とは違い、一番うしろにいる真名部陣一郎と皆帆和人の息は上がっている。その間も鉄角を含めた選手たちと二人の距離は開く一方だ。
「選手のコンディションは日によって、それぞれ異なります……! 体調に即した負荷でトレーニングするのが合理的なんです……」
「ああ!?」
「真名部くんの言ってることは正しいと思うよ……この点だけはね」
「なんかトゲのある言い方ですね」
「そうかな?」
未だにケンカをしているので二人の空気は悪い。そのせいか先ほどまで並んで走っていたのに皆帆がスピードを上げれば、真名部もまたスピードを上げる。
「あまり、ムリしないほうが、身のため、ですよ!」
「そ、そっちも! 苦しそうに、見えるけど!?」
「な、何をー!?」
「なんだよー!?」