特訓! ブラックルーム‼︎
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パシュンッ!
「なっ!?」
突然撃たれたシュートに井吹は抱えるように受け止めるが、音も感触も本物そのものだ。隣で見ていた真名部も感心するように眼鏡を押し上げる。
「スゴい……ホログラムでここまでできるとは!」
シュンッ!
「あっ……?」
シュンッ!
受け止めたはずのボールが消えたのに井吹が驚くと、次いで先ほど撃ったマネキンの選手も消えた。
そして草原も徐々に消えていくと、ホログラムの東映のため消されたのか電気は消えているが最初にいた部屋に変わった。
「今日からお前たちはここ――私の考案したブラックルームで特訓してもらう」
ピコンッ……パシュンッ!
黒岩がそう告げると、みのりが再びコンピューターを操作した。すると今度は高層ビルが立ち並ぶ街中に変わったので、さくらたちは目をパチクリする。
「今度は……街?」
「状況判断しながらボールをキープする特訓だ」
「葵ちゃんはこっちにおいで。大丈夫、今度はちゃんと来れるから」
「は、はい!」
黒岩の言葉のあと瑞貴は手招きして葵に声をかけると、駆け出した葵は先ほどの天馬と違いちゃんと瑞貴の隣に着くことができた。同時に選手たち一人一人の前にボールが現れ、黒岩のそばにはサッカーゴールがある。
「鉄骨を避けながらボールを向こう側まで運ぶ」
「鉄骨?」
「上を見て」
「「「「「?」」」」」
カランッ……ズドドドンッ!!
不思議に思う九坂を始め瑞貴言われた通り上を見ると、突如空中に鉄骨が現れたと思ったら重力に従うように自分たちとゴールの間に落ちた。その衝撃が地を伝って天馬たちに伝わる。重さも音も何もかもがリアルだ。
(空から鉄骨……嫌な思い出が……)
過去を思い出した瑞貴が人知れず苦笑する中、黒岩は動かない選手たちに声を上げる。
「もちろん安全は確保されている。さあ、どうした」
「「「「「…………」」」」」
「俺、行きます!」
「キャプテン!?」
「監督が言ってただろ、『今の力じゃ勝てない』って。俺、勝ちたいんだ……アジア地区予選で勝って、世界へ行きたいんだ!」
ホログラムだとわかっても戸惑う中、先に立候補した天馬にさくらたちは驚いた。しかも天馬の表情は恐怖も迷いもない。
「お願いします!」
「ではレベル1からです」
天馬が声を上げるとみのりが返事をすると共に操作する音が聞こえた。そして天馬はドリブルすると、本物のボールを使ったドリブルと全く大差なく進めるが……。
「天馬!」
「わっ!」
上空から現れた鉄骨を見た葵が声を上げたおかげで、天馬はドリブルするのをやめてその場に止まると、目の前に鉄骨が落ちた。あのまま行っていたらぶつかっていたとホッとする。
「ハァ~……危なかった。っ!」
「キャプテン……――俺たちも行くぞ!」
落ちた鉄骨をさけて再びドリブルする天馬。それを見た鉄角が天馬に続くためドリブルを始めると、九坂も瞬木もそれに付いて行く。
「好葉、行くわよ!」
「えっ! ……うん」
「俺たちも行こう」
「はい」
さくらに声をかけられ好葉も行き、さらに神童と剣城も向かう。残ったのは井吹と皆帆と真名部だけだ。
「どうする? 真名部くん」
「どうするって言われても……」
ケンカしていることも一時忘れるほど戸惑う皆帆と真名部。すると黒岩が前に現れると同時に街のホログラムが消える。いや、消えたのではなくドリブルするメンバーはドーム状の空間に包まれていた。そこだけはまだ街中にいて鉄骨をよけているのだろう。現に瑞貴と葵だけはドームの外で見学していた。
「お前たち二人には、足腰を鍛えてもらう」
「「足腰?」」
ピコンッ……パシュンッ!
二人は一歩前に出た途端みのりが操作すると、真名部と皆帆は吊り橋の中心に立っていた。
「吊り橋、ですか?」
ガコンッ! ガコンッ――……!
「「ん? ――えっ!? お、落ちるー!」」
うしろから聞こえる音に二人は振り向くと、なんと吊り橋の板が奥から一枚一枚外れていくので慌てて走り出した。