特訓! ブラックルーム‼︎
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一連の様子を見る限り、真名部の両親は息子がイナズマジャパンにいることよく思っていないようだ。真名部は秀才が多い栄都学園に通い日本計算超人コンテストの優勝者でもあるので、いきなりサッカーに転身したことに戸惑い反対するのもムリはないだろう。
「陣一郎くん……」
「瑞貴さん、ここは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
真名部の様子を心配して眉を下げる瑞貴に、皆帆は声をかけると大丈夫というようにウィンクをした。
――すっかり夕焼け空になった頃、瑞貴と皆帆がいた所とは逆サイドにある公共ベンチで、真名部は海を眺めながら眉を下げている。すると聞こえた足音がそばで止まったので顔を向けると皆帆がいた。
「やあ」
「皆帆くん……悪いけど、あっちへ行ってくれませんか。近くにいると気が散るんです……」
「真名部くん、サッカー辞めちゃうの?」
「えっ。聞いてたんですか……」
その言葉を聞いて真名部は皆帆が先ほどの両親との会話を聞いていたのだと察する。まさか瑞貴もいたとは知らずに。
「真名部くんは、なんでこのチームに入ったの? 君の参加条件って、もしかしてお父さんとお母さんのこと?」
「!」
「やっぱりそうなんだ。じゃないかと思ったよ」
「……僕の参加条件は『親から離れて暮らす裁判の手続きをしてもらう』こと」
「えっ? 離れて暮らす?」
真名部のイナズマジャパンの参加条件が両親に関係あるとは思っていたが、まさか別居することとは思わず皆帆は驚いた。
「皆帆くんも見たんならわかるでしょ。パパは世界中を駆け回る超一流商社マンで、ママは外交官……二人共、いわゆるエリートなんです。僕はずっとあの二人に監視されてきました……勉強勉強って常に優等生であることを強いられていて、小学校のときは家に帰りたくないから塾に残って余計な補習を受けていたんです……。親なんてみんな、自分の価値観を押し付けて子供を支配することしか考えてないんですよ」
「それは違うと思うな。少なくとも、僕の父は違う」
「?」
「僕の父は、警視庁の刑事なんだ」
「刑事?」
「うん。洞察力に優れていて、どんな小さな手掛かりも見逃さない……『日本のシャーロック=ホームズ』って言われて、いろんなことを教えてくれた素晴らしい父さ。僕の夢は、父のような刑事になること」
「…………」
顎に指をかけながら憧れの父の姿に想いを馳せる皆帆。そのとき真名部があまりいい表情をしながら聞いていることに気づいていない。
「黒岩監督と約束した、このチームへの参加条件も『ロンドン警察・スコットランドヤードの見学』なんだ」
「フンッ。なんですか、それ? 僕への当て付けですか!?」
「えっ」
「君の家庭は僕のと違っていい家庭だって言いたいんでしょ。悪いけど失礼するよ」
「ああっ、いや、別にそういう意味じゃ……」
今の真名部の心境にとっては逆効果だったようで、立ち上がって去って行く真名部を止めることができず、皆帆はその場で眉を下げると後頭部に手を当てた。
☆☆☆☆☆
翌日、宿舎でイナズマジャパンのメンバーは朝食をとっていた。今日のメニューの主食はフライサンドイッチである。
「おいしい……! なんだろう? この魚」
「アイナメだよ」
「アイナメ?」
「お前、アイナメも知らないのか? アイナメっていうのはな、これぐらいの白身魚で脂肪分が多いから『アブラメ』って言われることもある」
天馬の向かいにいた鉄角が両手で大きさを表しながら解説すると、別のテーブルにいた葵にもそれが聞こえて感心する。
「鉄角くん、よく知ってるのね」
「当たり前だろ。うちは漁師だからな」
「あっ、そういえばそうだったね」
まだテーブルに座っていない皆帆は朝食の品を取る中、隣に真名部がやって来たことに気づいて声をかける。
「おっ。おはよ」
「…………」
「えっ、何? もしかして昨日のことまだ怒ってるの?」
真名部は挨拶に返事もせず黙々と品を取って行くので、皆帆は昨日のことが原因でふてくされているのだとわかり言葉を続ける。
「真名部くんも子供だなぁ、あんなことぐらいでいつまでも……。親と離れて暮らしたいって言ってるけど、本当は甘えたいだけじゃないのかな?」
「っ!」
すると真名部が皆帆が取ろうとしていたヨーグルトを先に取った。まだ他にもあるとはいえ、さすがに皆帆も声を上げる。
「何するんだよ!」
「皆帆くんに何がわかるっていうんですか! 知りもしないで適当なことを言わないでもらえますか!?」
「朝からケンカか? 二人共やめろって」
「だって皆帆くんが……――っ」
「…………」
声を荒げたことで騒ぎに気づいた鉄角が椅子から立ち上がって二人を諌める。もういいと思ったのか朝食を乗せたおぼんを持ってその場から去り、苛立っていた皆帆もおぼんを持つと真名部とは反対側のテーブルへ向かった。
「陣一郎くん……」
「瑞貴さん、ここは僕に任せてくれませんか?」
「えっ?」
真名部の様子を心配して眉を下げる瑞貴に、皆帆は声をかけると大丈夫というようにウィンクをした。
――すっかり夕焼け空になった頃、瑞貴と皆帆がいた所とは逆サイドにある公共ベンチで、真名部は海を眺めながら眉を下げている。すると聞こえた足音がそばで止まったので顔を向けると皆帆がいた。
「やあ」
「皆帆くん……悪いけど、あっちへ行ってくれませんか。近くにいると気が散るんです……」
「真名部くん、サッカー辞めちゃうの?」
「えっ。聞いてたんですか……」
その言葉を聞いて真名部は皆帆が先ほどの両親との会話を聞いていたのだと察する。まさか瑞貴もいたとは知らずに。
「真名部くんは、なんでこのチームに入ったの? 君の参加条件って、もしかしてお父さんとお母さんのこと?」
「!」
「やっぱりそうなんだ。じゃないかと思ったよ」
「……僕の参加条件は『親から離れて暮らす裁判の手続きをしてもらう』こと」
「えっ? 離れて暮らす?」
真名部のイナズマジャパンの参加条件が両親に関係あるとは思っていたが、まさか別居することとは思わず皆帆は驚いた。
「皆帆くんも見たんならわかるでしょ。パパは世界中を駆け回る超一流商社マンで、ママは外交官……二人共、いわゆるエリートなんです。僕はずっとあの二人に監視されてきました……勉強勉強って常に優等生であることを強いられていて、小学校のときは家に帰りたくないから塾に残って余計な補習を受けていたんです……。親なんてみんな、自分の価値観を押し付けて子供を支配することしか考えてないんですよ」
「それは違うと思うな。少なくとも、僕の父は違う」
「?」
「僕の父は、警視庁の刑事なんだ」
「刑事?」
「うん。洞察力に優れていて、どんな小さな手掛かりも見逃さない……『日本のシャーロック=ホームズ』って言われて、いろんなことを教えてくれた素晴らしい父さ。僕の夢は、父のような刑事になること」
「…………」
顎に指をかけながら憧れの父の姿に想いを馳せる皆帆。そのとき真名部があまりいい表情をしながら聞いていることに気づいていない。
「黒岩監督と約束した、このチームへの参加条件も『ロンドン警察・スコットランドヤードの見学』なんだ」
「フンッ。なんですか、それ? 僕への当て付けですか!?」
「えっ」
「君の家庭は僕のと違っていい家庭だって言いたいんでしょ。悪いけど失礼するよ」
「ああっ、いや、別にそういう意味じゃ……」
今の真名部の心境にとっては逆効果だったようで、立ち上がって去って行く真名部を止めることができず、皆帆はその場で眉を下げると後頭部に手を当てた。
☆☆☆☆☆
翌日、宿舎でイナズマジャパンのメンバーは朝食をとっていた。今日のメニューの主食はフライサンドイッチである。
「おいしい……! なんだろう? この魚」
「アイナメだよ」
「アイナメ?」
「お前、アイナメも知らないのか? アイナメっていうのはな、これぐらいの白身魚で脂肪分が多いから『アブラメ』って言われることもある」
天馬の向かいにいた鉄角が両手で大きさを表しながら解説すると、別のテーブルにいた葵にもそれが聞こえて感心する。
「鉄角くん、よく知ってるのね」
「当たり前だろ。うちは漁師だからな」
「あっ、そういえばそうだったね」
まだテーブルに座っていない皆帆は朝食の品を取る中、隣に真名部がやって来たことに気づいて声をかける。
「おっ。おはよ」
「…………」
「えっ、何? もしかして昨日のことまだ怒ってるの?」
真名部は挨拶に返事もせず黙々と品を取って行くので、皆帆は昨日のことが原因でふてくされているのだとわかり言葉を続ける。
「真名部くんも子供だなぁ、あんなことぐらいでいつまでも……。親と離れて暮らしたいって言ってるけど、本当は甘えたいだけじゃないのかな?」
「っ!」
すると真名部が皆帆が取ろうとしていたヨーグルトを先に取った。まだ他にもあるとはいえ、さすがに皆帆も声を上げる。
「何するんだよ!」
「皆帆くんに何がわかるっていうんですか! 知りもしないで適当なことを言わないでもらえますか!?」
「朝からケンカか? 二人共やめろって」
「だって皆帆くんが……――っ」
「…………」
声を荒げたことで騒ぎに気づいた鉄角が椅子から立ち上がって二人を諌める。もういいと思ったのか朝食を乗せたおぼんを持ってその場から去り、苛立っていた皆帆もおぼんを持つと真名部とは反対側のテーブルへ向かった。