特訓! ブラックルーム‼︎
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「素晴らしいボール捌きですね。さすが日本プロリーグで活躍するだけのことはあります」
「ありがとう。というか、私がプロリーグにいたことを知ってたんだね」
「もちろんですよ。選手も含めイナズマジャパンの関係者の経歴は調べてあります。もしかして、瑞貴さんの両親もサッカー選手だったんですか?」
「…………」
「瑞貴さん?」
先ほど嬉しそうな顔とは打って変わって眉を下げた瑞貴に、皆帆は首を傾げると瑞貴は茜色になりつつある空を見上げながら懐かしむような声音で告げる。
「普通のサラリーマンと専業主婦だったよ。……もうこの世にはいないけどね」
「…………!」
「気にしないで。もうずいぶん昔のことだし。だけど今でも覚えているんだ……いつも優しくて、時には厳しいとこもあったけど、愛情を注いでくれた両親はいろんな意味で憧れの対象だよ」
両親が亡くなったあと弟と引き離され一人になってしまった瑞貴は、家族で過ごした思い出がいつも心の支えだった。そして仲睦まじい姿は夫婦としても憧れなので、瑞貴も自分の夫・円堂守とこれからもそうありたいと思っている。
「亡くなってしまった今でも、尊敬しているんですね。――僕と同じだ」
「?」
皆帆もまた空を見上げながらそう言ったので、今度は瑞貴が不思議そうにする番だった。
――時は少しさかのぼる。真名部は自室でタブレットを操作し、あるマンションの情報を眺めていた。
「へぇ~、このマンションは一階にスーパーが入ってるんですね。すぐ向かいには大きな公園ですか~。フム、ここならだれにも監視されず、思いっきり自由に暮らせそうです! ん、ん~!」
タブレットを置いて両腕を伸ばし背伸びをする真名部。それからいい物件を見つけたせいか気分良く外に出る。
「自由な暮らし、楽しみですね~!」
真名部はもう一度両腕を上げて背伸びしながら、自由な暮らしに想いを馳せるのだが……。
「――陣ちゃん!」
「えっ……――あっ! ママ! パパ!」
そこにいたのは今日お台場サッカーガーデンに訪れた夫婦……真名部の両親・真名部陣介と真名部恭子だった。
――その一方で、グラウンドのそばにある公共ベンチに並んで座っている瑞貴と皆帆。とある写真を出してとある話をしてくれた皆帆の表情を見て、瑞貴は微笑ましそうに笑っていた。
「そっか。和人くんが言っていた『同じ』っていうのはそういうことだったんだね」
「はい」
「確かに、同じだね」
写真を見つめる皆帆に瑞貴はポンポンと優しく頭を撫でると、皆帆は別段嫌がる様子もなかった。
「そろそろ宿舎に戻ろうか。静音さんが今晩もおいしい夕食を用意してくれるって」
「楽しみですね! ――ん?」
皆帆が写真を仕舞い瑞貴と共にベンチから立ち上がって宿舎に戻ろうとすると、ふと目にした方向にある光景を見やる。
「和人くん?」
「瑞貴さんも隠れて」
「へっ?」
「あれは……真名部くんの両親?」
相手の二人の顔立ちから親だとすぐにわかったが、雰囲気でただならぬ様子ではないと思い茂みに身を潜めた。皆帆に言われたこともあり瑞貴もつられて茂みに身を潜めて様子を見る。
両親が会いに来てくれたというのに、真名部は先ほどいい物件を見つけて未来の暮らしを楽しみにする嬉しそうな顔から一転し、背を向けてその場から立ち去ろうとする。
「陣ちゃん、待ちなさい!」
「っ!」
「パパもママも本当にびっくりしたんだから。海外出張から帰って来たら陣ちゃんがいなくって……いったいどういうつもりなの? スポーツなんかにかまけていたら、肝心のお勉強がおろそかになっちゃうでしょ」
「わかってるよ、ママ。でも、僕がいるのは日本代表だよ。そこでプレーした実績は経歴としても決してマイナスにはならない」
「それはそうかもしれないけど……」
「もう少しだけでいいからやらせてよ!」
「けどそれじゃあ、お勉強が……」
「――球蹴りなんかのどこがいいんだ」
眉を下げて話しかける恭子に振り向いた真名部は必死に説得するが、厳しい声音で告げたのは陣介だった。
「そんなムダなことに時間を使う奴の気がしれんよ」
「っ……!」
「だが、始めたものは仕方ない。今すぐというわけにもいかないだろう……適当な所で辞退して戻って来なさい」
「……はい、パパ」
「言うことはそれだけだ」
「陣ちゃん、早く帰って来るのよ」
そう言って去って行った両親を見送ったあと、肩を少し落とした真名部は両親が去った方向とは別にどこかへ向かっていた。
「ありがとう。というか、私がプロリーグにいたことを知ってたんだね」
「もちろんですよ。選手も含めイナズマジャパンの関係者の経歴は調べてあります。もしかして、瑞貴さんの両親もサッカー選手だったんですか?」
「…………」
「瑞貴さん?」
先ほど嬉しそうな顔とは打って変わって眉を下げた瑞貴に、皆帆は首を傾げると瑞貴は茜色になりつつある空を見上げながら懐かしむような声音で告げる。
「普通のサラリーマンと専業主婦だったよ。……もうこの世にはいないけどね」
「…………!」
「気にしないで。もうずいぶん昔のことだし。だけど今でも覚えているんだ……いつも優しくて、時には厳しいとこもあったけど、愛情を注いでくれた両親はいろんな意味で憧れの対象だよ」
両親が亡くなったあと弟と引き離され一人になってしまった瑞貴は、家族で過ごした思い出がいつも心の支えだった。そして仲睦まじい姿は夫婦としても憧れなので、瑞貴も自分の夫・円堂守とこれからもそうありたいと思っている。
「亡くなってしまった今でも、尊敬しているんですね。――僕と同じだ」
「?」
皆帆もまた空を見上げながらそう言ったので、今度は瑞貴が不思議そうにする番だった。
――時は少しさかのぼる。真名部は自室でタブレットを操作し、あるマンションの情報を眺めていた。
「へぇ~、このマンションは一階にスーパーが入ってるんですね。すぐ向かいには大きな公園ですか~。フム、ここならだれにも監視されず、思いっきり自由に暮らせそうです! ん、ん~!」
タブレットを置いて両腕を伸ばし背伸びをする真名部。それからいい物件を見つけたせいか気分良く外に出る。
「自由な暮らし、楽しみですね~!」
真名部はもう一度両腕を上げて背伸びしながら、自由な暮らしに想いを馳せるのだが……。
「――陣ちゃん!」
「えっ……――あっ! ママ! パパ!」
そこにいたのは今日お台場サッカーガーデンに訪れた夫婦……真名部の両親・真名部陣介と真名部恭子だった。
――その一方で、グラウンドのそばにある公共ベンチに並んで座っている瑞貴と皆帆。とある写真を出してとある話をしてくれた皆帆の表情を見て、瑞貴は微笑ましそうに笑っていた。
「そっか。和人くんが言っていた『同じ』っていうのはそういうことだったんだね」
「はい」
「確かに、同じだね」
写真を見つめる皆帆に瑞貴はポンポンと優しく頭を撫でると、皆帆は別段嫌がる様子もなかった。
「そろそろ宿舎に戻ろうか。静音さんが今晩もおいしい夕食を用意してくれるって」
「楽しみですね! ――ん?」
皆帆が写真を仕舞い瑞貴と共にベンチから立ち上がって宿舎に戻ろうとすると、ふと目にした方向にある光景を見やる。
「和人くん?」
「瑞貴さんも隠れて」
「へっ?」
「あれは……真名部くんの両親?」
相手の二人の顔立ちから親だとすぐにわかったが、雰囲気でただならぬ様子ではないと思い茂みに身を潜めた。皆帆に言われたこともあり瑞貴もつられて茂みに身を潜めて様子を見る。
両親が会いに来てくれたというのに、真名部は先ほどいい物件を見つけて未来の暮らしを楽しみにする嬉しそうな顔から一転し、背を向けてその場から立ち去ろうとする。
「陣ちゃん、待ちなさい!」
「っ!」
「パパもママも本当にびっくりしたんだから。海外出張から帰って来たら陣ちゃんがいなくって……いったいどういうつもりなの? スポーツなんかにかまけていたら、肝心のお勉強がおろそかになっちゃうでしょ」
「わかってるよ、ママ。でも、僕がいるのは日本代表だよ。そこでプレーした実績は経歴としても決してマイナスにはならない」
「それはそうかもしれないけど……」
「もう少しだけでいいからやらせてよ!」
「けどそれじゃあ、お勉強が……」
「――球蹴りなんかのどこがいいんだ」
眉を下げて話しかける恭子に振り向いた真名部は必死に説得するが、厳しい声音で告げたのは陣介だった。
「そんなムダなことに時間を使う奴の気がしれんよ」
「っ……!」
「だが、始めたものは仕方ない。今すぐというわけにもいかないだろう……適当な所で辞退して戻って来なさい」
「……はい、パパ」
「言うことはそれだけだ」
「陣ちゃん、早く帰って来るのよ」
そう言って去って行った両親を見送ったあと、肩を少し落とした真名部は両親が去った方向とは別にどこかへ向かっていた。