帝王の涙!
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準々決勝まで勝ち進んできたイナズマジャパンだが、試合前に九坂隆二が警察に捕まってしまう。幸い大事には至らなかったのですぐに釈放されたが、真名部陣一郎と皆帆和人の調査により九坂の今までの素行が判明され、チームには不信感が訪れる。九坂をイナズマジャパンから辞めさせるようにという話もあったが、松風天馬は夜中まで練習する九坂を思い出して拒否した。
問題を抱えたまま準々決勝のサウジアラビア代表シャムシールとの試合が始まる。九坂は観客席に幼馴染の神田里子を見つけて葛藤していると、シャムシールのキャプテン・サイード=アシュラフに先制点を取られ、さらに九坂が相手からの『弱い』という発言にキレてファウルを起こしてしまう。森村好葉は九坂が怖がっていると天馬に告げ、反対にシャムシールは九坂に目を付けた。
「九坂!」
「!」
「好葉から聞いた。どういうことだ? 『強くなきゃみんなが離れてく』って」
「……すんません。勘弁してください」
「九坂……」
「っ……!」
脳裏に浮かぶのは幼い頃に里子を守ろうといじめっ子に立ち向かったときだ。負けてしまったため里子も自分から離れて行ってしまったことで、九坂はその頃から強さを求めていた。
(俺は……強くなると決めたんだ!)
拳を握る九坂は今もその誓いを守るために強さを求めている。そうでなくては幼馴染も仲間も自分から離れてしまうと思って……。
《ここで前半終了――っ!! 準々決勝、日本代表イナズマジャパン対サウジアラビア代表シャムシールの一戦は、1対0とシャムシールのリードで折り返しです!!》
「九坂くん、後半はもうあんなことがないように」
「すんません……」
前半が終了し、円堂瑞貴はこちらに向かってくる九坂にやや厳しい声音で注意する。それに九坂は謝罪しつつベンチではなくスタジアム内に向かって行った。
「……葵ちゃん、ここはお願い」
「えっ? あっ、はい!」
選手にタオルを配る空野葵に瑞貴はそう声をかけると、瑞貴もまたスタジアムの屋内へと駆けて行った。
天馬は眉を下げながら九坂と瑞貴の去って行った方向を見つめていると、神童拓人が声をかける。
「天馬。後半は九坂をプレーから外す方向でいこう」
「えっ……!?」
「ラフプレーで試合を壊されたら、元も子もなくなる」
「でも! 九坂だってわかってるはずです!」
「……今はそうすべきじゃないのか?」
「現状はそれがベストでしょう」
「的確な判断だね」
「っ……」
神童の意見に真名部も皆帆も賛成する。真っ先に九坂の心の弱さに気づいた好葉は、何か言おうにしても言葉が出なかった。
「それでいいのかな?」
「仕方ないんじゃないか」
野咲さくらは疑問に思うが、鉄角真は今の状況では最善の策ではないかと思った。
「待ってください! 俺は、十一人全員で戦いたい! みんなで……みんなでサッカーしたいんです!」
「それで、勝てるのか?」
「えっ……」
神童の的確な言葉に天馬は即答できなかった。練習ならまだしも、今は準々決勝の真っ只中だ……情緒不安定な九坂にプレーに参加させて大丈夫という保証がない。
「……わかりました」
顔をうつむけて瞳をギュッと閉じる天馬は了承したが、それは苦渋の決断だろう。
――ロッカールームで九坂は一人ベンチに座ってうな垂れていた。
「これ以上、みんなに迷惑をかけられない……!」
ガ――……。
「っ、瑞貴さん……」
「よかった。スタジアムから出て行ったんじゃないかって心配したの」
「すんません……」
「謝らないの。私が勝手に心配したんだから」
「…………」
わざと明るめの口調で話しかける瑞貴だが、対して九坂は瑞貴が入って来たときに上げていた顔を再びうつむけた。
「……瑞貴さんにも、俺が怖がっているように見えますか?」
「どうしてそう思うの?」
「キャプテンに言われました……森村から聞いたって……。俺…臆病な自分は捨てたはずなのに……」
ギュッと組んでいた両手を握る九坂。それを見た瑞貴は前半終了直前に天馬が九坂に話しかけていた内容が理解できた。そしてそれを気にするということは、九坂にとって図星なのだとも。
問題を抱えたまま準々決勝のサウジアラビア代表シャムシールとの試合が始まる。九坂は観客席に幼馴染の神田里子を見つけて葛藤していると、シャムシールのキャプテン・サイード=アシュラフに先制点を取られ、さらに九坂が相手からの『弱い』という発言にキレてファウルを起こしてしまう。森村好葉は九坂が怖がっていると天馬に告げ、反対にシャムシールは九坂に目を付けた。
「九坂!」
「!」
「好葉から聞いた。どういうことだ? 『強くなきゃみんなが離れてく』って」
「……すんません。勘弁してください」
「九坂……」
「っ……!」
脳裏に浮かぶのは幼い頃に里子を守ろうといじめっ子に立ち向かったときだ。負けてしまったため里子も自分から離れて行ってしまったことで、九坂はその頃から強さを求めていた。
(俺は……強くなると決めたんだ!)
拳を握る九坂は今もその誓いを守るために強さを求めている。そうでなくては幼馴染も仲間も自分から離れてしまうと思って……。
《ここで前半終了――っ!! 準々決勝、日本代表イナズマジャパン対サウジアラビア代表シャムシールの一戦は、1対0とシャムシールのリードで折り返しです!!》
「九坂くん、後半はもうあんなことがないように」
「すんません……」
前半が終了し、円堂瑞貴はこちらに向かってくる九坂にやや厳しい声音で注意する。それに九坂は謝罪しつつベンチではなくスタジアム内に向かって行った。
「……葵ちゃん、ここはお願い」
「えっ? あっ、はい!」
選手にタオルを配る空野葵に瑞貴はそう声をかけると、瑞貴もまたスタジアムの屋内へと駆けて行った。
天馬は眉を下げながら九坂と瑞貴の去って行った方向を見つめていると、神童拓人が声をかける。
「天馬。後半は九坂をプレーから外す方向でいこう」
「えっ……!?」
「ラフプレーで試合を壊されたら、元も子もなくなる」
「でも! 九坂だってわかってるはずです!」
「……今はそうすべきじゃないのか?」
「現状はそれがベストでしょう」
「的確な判断だね」
「っ……」
神童の意見に真名部も皆帆も賛成する。真っ先に九坂の心の弱さに気づいた好葉は、何か言おうにしても言葉が出なかった。
「それでいいのかな?」
「仕方ないんじゃないか」
野咲さくらは疑問に思うが、鉄角真は今の状況では最善の策ではないかと思った。
「待ってください! 俺は、十一人全員で戦いたい! みんなで……みんなでサッカーしたいんです!」
「それで、勝てるのか?」
「えっ……」
神童の的確な言葉に天馬は即答できなかった。練習ならまだしも、今は準々決勝の真っ只中だ……情緒不安定な九坂にプレーに参加させて大丈夫という保証がない。
「……わかりました」
顔をうつむけて瞳をギュッと閉じる天馬は了承したが、それは苦渋の決断だろう。
――ロッカールームで九坂は一人ベンチに座ってうな垂れていた。
「これ以上、みんなに迷惑をかけられない……!」
ガ――……。
「っ、瑞貴さん……」
「よかった。スタジアムから出て行ったんじゃないかって心配したの」
「すんません……」
「謝らないの。私が勝手に心配したんだから」
「…………」
わざと明るめの口調で話しかける瑞貴だが、対して九坂は瑞貴が入って来たときに上げていた顔を再びうつむけた。
「……瑞貴さんにも、俺が怖がっているように見えますか?」
「どうしてそう思うの?」
「キャプテンに言われました……森村から聞いたって……。俺…臆病な自分は捨てたはずなのに……」
ギュッと組んでいた両手を握る九坂。それを見た瑞貴は前半終了直前に天馬が九坂に話しかけていた内容が理解できた。そしてそれを気にするということは、九坂にとって図星なのだとも。