九坂の二つの顔!
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「監督……フゥ」
「ありがとう、天馬。九坂くんの所に行ってくれて」
「瑞貴さん。あの、九坂に辞めてもらうよう連絡があったって……」
「ああ、うん。サッカー協会の人にね。監督に九坂くんを辞めさせてもらうようにって言われたけど、修也……会長の許可もナシに独断のようだったから拒否したんだ。それにちょうど監督が帰って来て口添えしてくれたから、この話はおしまいにしてもらったの」
「そうなんですか……」
「ところで、九坂くんは?」
「その、ここに来るまでは一緒だったんですけど、またどこかに行っちゃって……」
すぐに問題を起こすことはないだろうが、それでも天馬は九坂が心配で顔をうつむけた。
「天馬は九坂くんにイナズマジャパンに残ってほしい?」
「もちろんです!」
ガバッと勢いよく顔を上げて答えた天馬に、瑞貴は一瞬目をパチクリしたが次いで微笑むと天馬の頭にポンッと手を乗せる。
「これからもその気持ちを大事に持ってくれるかな。一人でも必要としてくれる人がいれば、その人の支えになる……天馬の気持ちが九坂くんに届くといいね」
「はい!」
瑞貴が手をどけると同時に、天馬は誓うように深く頷いた。
――宿舎でそんな会話がされているとは露知らず、いつも仲間と集まっている工事現場で一人九坂はいた。
『チームの何を守るって言うんだ? 守ってるどころか壊してるんじゃないのか、みんなの人生を』
「……クッ」
手に持っているボタンを見ながら五反田の言葉を思い出す九坂。あれが余程応えたのかボタンを握り締めながら顔をうつむいた。
☆☆☆☆☆
そして日は経ち、とうとうサウジアラビア戦の当日となった。
《フットボールフロンティアインターナショナルV2! アジア地区予選もいよいよ準々決勝! 日本代表イナズマジャパン対サウジアラビア代表シャムシールの試合をお送りいたします!!》
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
角間王将の実況と共に盛り上がる観客席を、シャムシールのカシム=バドルとキャプテン・サイード=アシュラフがベンチから見上げていた。
「へぇ~。スゴい観客だな」
「観客結構、歓声結構、楽しくなりそうだぜ!」
カシムと共に不敵に笑うサイードは、パキポキと手を鳴らしていた。
そして反対側のベンチでは、意気込む天馬がメンバーに向かって拳を握って叫ぶ。
「みんな行くぞ!」
「「「「「オウッ/はい!」」」」」
両チームがポジションに着き、まもなく始まる試合へ気を引き締める中、天馬は顔をうつむけている九坂に声をかける。
「九坂!」
「!」
「思いっきり行こう!」
「……――っ!」
即答できない九坂がふと顔を上げると、観客席にいる一人の少女を見て驚いた顔をする。少女の名前は神田里子、九坂の幼馴染だ。
(あ、あれは……サトちゃん? なんでサトちゃんが、こんな所に……?)
ピ――ッ!!
するとホイッスルが鳴ったので九坂はフィールドに顔を戻した。イナズマジャパンのボールでキックオフなので、剣城が瞬木にボールを渡す。
ゴールで井吹も構えていると、また神童がゴール前までやって来たので指差しして声を上げる。
「神童……またそれか!」
「…………」
「クッ!」
神童は背を向けるだけで何も言わない。それがますます癇に障り、井吹は歯を食いしばった。
「もらった!」
「あっ!」
ドリブルする瞬木にサイードがさっそくボールを奪った。
「行かせない! ――あっ!」
「は、速い!」
さくらがカバーしようと走り出すが、葵も驚くほどサイードはあっという間にさくらを抜いた。
「タミル!」
「ナジム!」
サイードからタミル=ナスルへ、続いてナジム=ニザールへと順調にパスを回して攻め上がる。
(正確なパスと並外れたあの速さ……噂通りのチームだな。だが、この先へは行かせない!)
ゲームメイクのため相手選手の動きを観察していく神童。次いでナジムの前に立ち塞がった。
「ありがとう、天馬。九坂くんの所に行ってくれて」
「瑞貴さん。あの、九坂に辞めてもらうよう連絡があったって……」
「ああ、うん。サッカー協会の人にね。監督に九坂くんを辞めさせてもらうようにって言われたけど、修也……会長の許可もナシに独断のようだったから拒否したんだ。それにちょうど監督が帰って来て口添えしてくれたから、この話はおしまいにしてもらったの」
「そうなんですか……」
「ところで、九坂くんは?」
「その、ここに来るまでは一緒だったんですけど、またどこかに行っちゃって……」
すぐに問題を起こすことはないだろうが、それでも天馬は九坂が心配で顔をうつむけた。
「天馬は九坂くんにイナズマジャパンに残ってほしい?」
「もちろんです!」
ガバッと勢いよく顔を上げて答えた天馬に、瑞貴は一瞬目をパチクリしたが次いで微笑むと天馬の頭にポンッと手を乗せる。
「これからもその気持ちを大事に持ってくれるかな。一人でも必要としてくれる人がいれば、その人の支えになる……天馬の気持ちが九坂くんに届くといいね」
「はい!」
瑞貴が手をどけると同時に、天馬は誓うように深く頷いた。
――宿舎でそんな会話がされているとは露知らず、いつも仲間と集まっている工事現場で一人九坂はいた。
『チームの何を守るって言うんだ? 守ってるどころか壊してるんじゃないのか、みんなの人生を』
「……クッ」
手に持っているボタンを見ながら五反田の言葉を思い出す九坂。あれが余程応えたのかボタンを握り締めながら顔をうつむいた。
☆☆☆☆☆
そして日は経ち、とうとうサウジアラビア戦の当日となった。
《フットボールフロンティアインターナショナルV2! アジア地区予選もいよいよ準々決勝! 日本代表イナズマジャパン対サウジアラビア代表シャムシールの試合をお送りいたします!!》
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
角間王将の実況と共に盛り上がる観客席を、シャムシールのカシム=バドルとキャプテン・サイード=アシュラフがベンチから見上げていた。
「へぇ~。スゴい観客だな」
「観客結構、歓声結構、楽しくなりそうだぜ!」
カシムと共に不敵に笑うサイードは、パキポキと手を鳴らしていた。
そして反対側のベンチでは、意気込む天馬がメンバーに向かって拳を握って叫ぶ。
「みんな行くぞ!」
「「「「「オウッ/はい!」」」」」
両チームがポジションに着き、まもなく始まる試合へ気を引き締める中、天馬は顔をうつむけている九坂に声をかける。
「九坂!」
「!」
「思いっきり行こう!」
「……――っ!」
即答できない九坂がふと顔を上げると、観客席にいる一人の少女を見て驚いた顔をする。少女の名前は神田里子、九坂の幼馴染だ。
(あ、あれは……サトちゃん? なんでサトちゃんが、こんな所に……?)
ピ――ッ!!
するとホイッスルが鳴ったので九坂はフィールドに顔を戻した。イナズマジャパンのボールでキックオフなので、剣城が瞬木にボールを渡す。
ゴールで井吹も構えていると、また神童がゴール前までやって来たので指差しして声を上げる。
「神童……またそれか!」
「…………」
「クッ!」
神童は背を向けるだけで何も言わない。それがますます癇に障り、井吹は歯を食いしばった。
「もらった!」
「あっ!」
ドリブルする瞬木にサイードがさっそくボールを奪った。
「行かせない! ――あっ!」
「は、速い!」
さくらがカバーしようと走り出すが、葵も驚くほどサイードはあっという間にさくらを抜いた。
「タミル!」
「ナジム!」
サイードからタミル=ナスルへ、続いてナジム=ニザールへと順調にパスを回して攻め上がる。
(正確なパスと並外れたあの速さ……噂通りのチームだな。だが、この先へは行かせない!)
ゲームメイクのため相手選手の動きを観察していく神童。次いでナジムの前に立ち塞がった。