九坂の二つの顔!
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――日が落ちてすっかり夜になった頃、警察署のとある一室では九坂が仲間と共にいた。
「九坂さん……俺たちいつまでこんなことやってるんですかね……?」
「ん? どういう意味だ?」
「いや……なんのためにこんなことしてるのかなぁって」
椅子に座って顔をうつむきながら呟いた七瀬に、壁に背を預けて両腕を組んでいた九坂は顔を向ける。
「守らなきゃならない。俺たちのチームを――」
「チームの何を守るって言うんだ? 縄張りか? プライドか? 守ってるどころか壊してるんじゃないのか、みんなの人生を」
「!」
「――こちらです」
ガチャ。
五反田の言葉に九坂が驚いていると、警察官の案内の声が聞こえると同時に扉が開いた。
「九坂……」
「あっ……」
入って来た黒岩は予想がついただろうが、まさか天馬まで来ると思わなかったのか九坂は少々罰の悪そうな顔をした。
警察との手続きを終え、先に出る黒岩の後に続く天馬と九坂。しかし終始何も言わない黒岩に九坂は話しかける。
「あの……こんなことになって、俺に何も言わないんスか?」
「何か言ってほしいのか」
「えっ。あっ、いや、そういうわけじゃ……」
そう返されたことに九坂は言葉に詰まると、黒岩はさっさと歩いて行ったのでとりあえず二人も一緒にタクシーに乗り込むのだった。
――宿舎に天馬が戻ると、テーブル席には鉄角を始め他のメンバーが集まっていた。
「聞いたぜ、キャプテン! 九坂の奴、警察に捕まったんだって!」
「あっ……う、うん」
「で、どうだった?」
「とりあえずは、監督が身元引受人になって帰って来た」
「そっか……」
「大ごとにならなくてよかった……」
葵の問いかけに天馬がそう答えると、鉄角とさくらはとりあえずホッとする。だけど天馬は全員が集合している光景に少し驚いていた。
「みんなこそ、どうしたの?」
「実は気になって調べてみたんですけど、九坂くんってかなり危ない人のようです」
「学校で問題を起こして今は仲間と一緒に退学になってるんだけど、元いた学校では悪のトップに君臨する不良だったみたいだ」
「!」
真名部と皆帆から告げられた九坂の新たな情報に、天馬は目を見開いて驚いた。
「普段は仏様みたいに優しいのに、キレたら鬼みたいに人が変わって九坂隆二の『リュウ』を取って『鬼仏のリュウ』って学校中から恐れられていたようです」
「黒岩監督に雇われた条件も、仲間と一緒に元の学校に復学することだって」
「でも不思議なんです……。さらにさかのぼって調べてみたんですが、昔はキレるどころかどちらかというと弱虫でとても優しい子供だったみたいです。それが『あるとき』を境に、急に人が変わってしまったらしくて……」
「あるときって……何があったの?」
「そこまではちょっと……」
かなり詳しく調べてみたが肝心の部分は真名部も皆帆も調査ができなかったようで、天馬の問いにも答えられなかった。
「だけど、九坂がイナズマジャパンを辞めることになるかもしれないってよ……」
「ええっ!?」
「さっきまでここにいた瑞貴さんに船木って人から連絡があったんだ。今は対応するために出て行ったけど……」
少し顔をうつむけた鉄角の口から出た状況に天馬が驚くと、皆帆もまた残念そうな顔をしているが当然起こりえることだと告げる。
「まあ、仕方ないだろうね。今回は大事に至らなかったみたいだけど、次はどうなるかわからない……また問題を起こして代表を辞退なんてことになったら、目も当てられないからね」
「ダメだよ、そんなの! 俺、瑞貴さんの所に行ってくる!」
「――天馬」
「!」
今すぐ駆け出そうとした天馬を止めたのは神童だった。剣城と同じテーブル席にいる神童は天馬に問いかける。
「どうしてそこまで九坂をかばうんだ?」
「えっ? どうしてって……」
天馬の脳裏に浮かぶのは夜中に一人自主練をしていた九坂だった。あのとき呟いた数人の名前が一緒に退学して今日も共にいたメンバーだとしたら、彼は仲間を守るためにイナズマジャパンにいるのではと思う。
「とにかく、瑞貴さんの所に行ってきます!」
「天馬!」
神童が立ち上がって制止の声を上げるが、天馬はすでに宿舎の奥へと行ってしまった。
(九坂を辞めさせるなんて、そんなことさせない!)
なんとしても撤回してもらおうと廊下を走る天馬だが、角から黒岩と瑞貴が現れた。
「あっ、監督! 瑞貴さん!」
「九坂には、このままチームに留まってもらう」
天馬が走っている理由がわかっていたのか、そう言った黒岩はそのまま去って行き、残ったのは天馬と瑞貴だけだ。
「九坂さん……俺たちいつまでこんなことやってるんですかね……?」
「ん? どういう意味だ?」
「いや……なんのためにこんなことしてるのかなぁって」
椅子に座って顔をうつむきながら呟いた七瀬に、壁に背を預けて両腕を組んでいた九坂は顔を向ける。
「守らなきゃならない。俺たちのチームを――」
「チームの何を守るって言うんだ? 縄張りか? プライドか? 守ってるどころか壊してるんじゃないのか、みんなの人生を」
「!」
「――こちらです」
ガチャ。
五反田の言葉に九坂が驚いていると、警察官の案内の声が聞こえると同時に扉が開いた。
「九坂……」
「あっ……」
入って来た黒岩は予想がついただろうが、まさか天馬まで来ると思わなかったのか九坂は少々罰の悪そうな顔をした。
警察との手続きを終え、先に出る黒岩の後に続く天馬と九坂。しかし終始何も言わない黒岩に九坂は話しかける。
「あの……こんなことになって、俺に何も言わないんスか?」
「何か言ってほしいのか」
「えっ。あっ、いや、そういうわけじゃ……」
そう返されたことに九坂は言葉に詰まると、黒岩はさっさと歩いて行ったのでとりあえず二人も一緒にタクシーに乗り込むのだった。
――宿舎に天馬が戻ると、テーブル席には鉄角を始め他のメンバーが集まっていた。
「聞いたぜ、キャプテン! 九坂の奴、警察に捕まったんだって!」
「あっ……う、うん」
「で、どうだった?」
「とりあえずは、監督が身元引受人になって帰って来た」
「そっか……」
「大ごとにならなくてよかった……」
葵の問いかけに天馬がそう答えると、鉄角とさくらはとりあえずホッとする。だけど天馬は全員が集合している光景に少し驚いていた。
「みんなこそ、どうしたの?」
「実は気になって調べてみたんですけど、九坂くんってかなり危ない人のようです」
「学校で問題を起こして今は仲間と一緒に退学になってるんだけど、元いた学校では悪のトップに君臨する不良だったみたいだ」
「!」
真名部と皆帆から告げられた九坂の新たな情報に、天馬は目を見開いて驚いた。
「普段は仏様みたいに優しいのに、キレたら鬼みたいに人が変わって九坂隆二の『リュウ』を取って『鬼仏のリュウ』って学校中から恐れられていたようです」
「黒岩監督に雇われた条件も、仲間と一緒に元の学校に復学することだって」
「でも不思議なんです……。さらにさかのぼって調べてみたんですが、昔はキレるどころかどちらかというと弱虫でとても優しい子供だったみたいです。それが『あるとき』を境に、急に人が変わってしまったらしくて……」
「あるときって……何があったの?」
「そこまではちょっと……」
かなり詳しく調べてみたが肝心の部分は真名部も皆帆も調査ができなかったようで、天馬の問いにも答えられなかった。
「だけど、九坂がイナズマジャパンを辞めることになるかもしれないってよ……」
「ええっ!?」
「さっきまでここにいた瑞貴さんに船木って人から連絡があったんだ。今は対応するために出て行ったけど……」
少し顔をうつむけた鉄角の口から出た状況に天馬が驚くと、皆帆もまた残念そうな顔をしているが当然起こりえることだと告げる。
「まあ、仕方ないだろうね。今回は大事に至らなかったみたいだけど、次はどうなるかわからない……また問題を起こして代表を辞退なんてことになったら、目も当てられないからね」
「ダメだよ、そんなの! 俺、瑞貴さんの所に行ってくる!」
「――天馬」
「!」
今すぐ駆け出そうとした天馬を止めたのは神童だった。剣城と同じテーブル席にいる神童は天馬に問いかける。
「どうしてそこまで九坂をかばうんだ?」
「えっ? どうしてって……」
天馬の脳裏に浮かぶのは夜中に一人自主練をしていた九坂だった。あのとき呟いた数人の名前が一緒に退学して今日も共にいたメンバーだとしたら、彼は仲間を守るためにイナズマジャパンにいるのではと思う。
「とにかく、瑞貴さんの所に行ってきます!」
「天馬!」
神童が立ち上がって制止の声を上げるが、天馬はすでに宿舎の奥へと行ってしまった。
(九坂を辞めさせるなんて、そんなことさせない!)
なんとしても撤回してもらおうと廊下を走る天馬だが、角から黒岩と瑞貴が現れた。
「あっ、監督! 瑞貴さん!」
「九坂には、このままチームに留まってもらう」
天馬が走っている理由がわかっていたのか、そう言った黒岩はそのまま去って行き、残ったのは天馬と瑞貴だけだ。