九坂の二つの顔!
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瑞貴が井吹をベンチに座らせて鉄角と好葉も井吹の方の様子を気にしている間、葵は天馬にドリンクを渡していた。
「お疲れ様」
「あっ、サンキュ」
「よくなってきているんじゃない?」
「うん、みんなサッカーを楽しんでるよ。俺、このメンバーとなら世界へ行っても戦える気がする!」
「――それはどうかな」
「「ん?」」
葵と天馬が他のみんなを見ながらそう言っていると、厳しい声音で告げたのは神童だった。
「多少できるようになったとはいえ、しょせんは素人の集まりだ」
「神童さん……。でも、韓国戦の同点シュートとオーストラリア戦の決勝点は、瞬木の足とさくらのパスがあったからこそですよね! それに、オーストラリア戦では井吹だってシュートを止めました!」
「だとしてもだ。井吹もキーパーとしてまだまだなら、皆帆と真名部、それに森村の力は未知数だ。九坂に至っては未だにパスすらマトモに受けられない」
「かもしれないですけど――!」
「天馬、世界はそんなに甘くないぞ」
「あっ……」
神童はそう言って去って行くと、天馬は顔をうつむけた。
☆☆☆☆☆
夕飯も食べ終えた天馬は宿舎の自室でベッドに横になり、溜息を吐きながら神童の言った言葉を思い出していた。
「ハァ~……」
『天馬、世界はそんなに甘くないぞ』
神童の言うことは尤もである。これから戦う相手だって、自分たちと同じように勝ち進んできた強いチームばかり、ましてや世界に行けばさらに強いチームが集まるのだ。スポーツ経験のあるメンバーは才能を徐々に開花しつつあるが、未経験のメンバーは今のままでは間に合わない。
あのまま考えていてもいい提案が思い浮かぶわけでもないので、天馬は気分転換も兼ねて宿舎の外に出ると――。
「ふっ!」
トンッ!
ユニフォーム姿で壁に向かってボールを蹴って練習している九坂を見つけた。
「七瀬…五反田…六本松……お前らのことは必ず、この俺が……!」
「…………?」
必死な顔をしながらとある三人の名前を呼ぶ九坂。今の天馬にはその相手が誰なのか、そして九坂の入団契約にかける想いに気づかなかった。
☆☆☆☆☆
翌日。ミーティングルームに集まった選手たちに、黒岩から次の対戦相手について発表される。
「準々決勝の相手が決まった。サウジアラビア代表シャムシールだ」
「「「「「!」」」」」
「個人技はもちろん、集団となって襲いかかるそのスピードと破壊力は、アジアでも1、2を争う強豪……。敵の弱点を執拗に攻めて逃さないプレースタイル……故に『アラビアの獅子』と恐れられている」
「アラビアの獅子か……!」
タブレットを見ながら敵の特徴を述べるみのりに、鉄角は相手にとって不足ナシと言うように笑っていた。
「明日からサウジ戦に向けて最後の調整を行う。今日はこれで解散、あとは自由行動とする」
「「「えっ!?」」」」
まさかの練習は明日からで今日はこれで終わりと宣言した黒岩に、雷門メンバーの三人は驚いた。
「この機会にせいぜい、サッカー以外のことを消化しておくんだな」
それから本当にミーティングで解散となり、扉の前に集まった皆帆と真名部と鉄角と瞬木は、これからの休みに思いを馳せていた。
「休みか~なんか久しぶりな気がするな。みんなはどうするの?」
「僕は休ませてもらいます。明日の練習が午前八時からだとして、今からだと二十二時間三十七分ほどありますからね。それだけあれば溜まった疲労の97パーセントは回復できる計算です」
「俺はその辺をひと回りして来るぜ。体を動かさないと、返って訛りそうだからな!」
「俺はちょっと、家に戻って弟たちに会って来るよ」
それぞれ予定が決まっている者は早速行動を始めた。好葉も続いてミーティングルームから出ると、うしろからさくらに声をかけられる。
「好葉はどうする?」
「えっ?」
「予定ないなら、サッカーガーデンのショッピングモール行ってみない?」
「う、うん……うん。いいけど……」
突然の誘いにあまり乗り気じゃないのか、好葉は目線を逸らしながら承諾した。
「お疲れ様」
「あっ、サンキュ」
「よくなってきているんじゃない?」
「うん、みんなサッカーを楽しんでるよ。俺、このメンバーとなら世界へ行っても戦える気がする!」
「――それはどうかな」
「「ん?」」
葵と天馬が他のみんなを見ながらそう言っていると、厳しい声音で告げたのは神童だった。
「多少できるようになったとはいえ、しょせんは素人の集まりだ」
「神童さん……。でも、韓国戦の同点シュートとオーストラリア戦の決勝点は、瞬木の足とさくらのパスがあったからこそですよね! それに、オーストラリア戦では井吹だってシュートを止めました!」
「だとしてもだ。井吹もキーパーとしてまだまだなら、皆帆と真名部、それに森村の力は未知数だ。九坂に至っては未だにパスすらマトモに受けられない」
「かもしれないですけど――!」
「天馬、世界はそんなに甘くないぞ」
「あっ……」
神童はそう言って去って行くと、天馬は顔をうつむけた。
☆☆☆☆☆
夕飯も食べ終えた天馬は宿舎の自室でベッドに横になり、溜息を吐きながら神童の言った言葉を思い出していた。
「ハァ~……」
『天馬、世界はそんなに甘くないぞ』
神童の言うことは尤もである。これから戦う相手だって、自分たちと同じように勝ち進んできた強いチームばかり、ましてや世界に行けばさらに強いチームが集まるのだ。スポーツ経験のあるメンバーは才能を徐々に開花しつつあるが、未経験のメンバーは今のままでは間に合わない。
あのまま考えていてもいい提案が思い浮かぶわけでもないので、天馬は気分転換も兼ねて宿舎の外に出ると――。
「ふっ!」
トンッ!
ユニフォーム姿で壁に向かってボールを蹴って練習している九坂を見つけた。
「七瀬…五反田…六本松……お前らのことは必ず、この俺が……!」
「…………?」
必死な顔をしながらとある三人の名前を呼ぶ九坂。今の天馬にはその相手が誰なのか、そして九坂の入団契約にかける想いに気づかなかった。
☆☆☆☆☆
翌日。ミーティングルームに集まった選手たちに、黒岩から次の対戦相手について発表される。
「準々決勝の相手が決まった。サウジアラビア代表シャムシールだ」
「「「「「!」」」」」
「個人技はもちろん、集団となって襲いかかるそのスピードと破壊力は、アジアでも1、2を争う強豪……。敵の弱点を執拗に攻めて逃さないプレースタイル……故に『アラビアの獅子』と恐れられている」
「アラビアの獅子か……!」
タブレットを見ながら敵の特徴を述べるみのりに、鉄角は相手にとって不足ナシと言うように笑っていた。
「明日からサウジ戦に向けて最後の調整を行う。今日はこれで解散、あとは自由行動とする」
「「「えっ!?」」」」
まさかの練習は明日からで今日はこれで終わりと宣言した黒岩に、雷門メンバーの三人は驚いた。
「この機会にせいぜい、サッカー以外のことを消化しておくんだな」
それから本当にミーティングで解散となり、扉の前に集まった皆帆と真名部と鉄角と瞬木は、これからの休みに思いを馳せていた。
「休みか~なんか久しぶりな気がするな。みんなはどうするの?」
「僕は休ませてもらいます。明日の練習が午前八時からだとして、今からだと二十二時間三十七分ほどありますからね。それだけあれば溜まった疲労の97パーセントは回復できる計算です」
「俺はその辺をひと回りして来るぜ。体を動かさないと、返って訛りそうだからな!」
「俺はちょっと、家に戻って弟たちに会って来るよ」
それぞれ予定が決まっている者は早速行動を始めた。好葉も続いてミーティングルームから出ると、うしろからさくらに声をかけられる。
「好葉はどうする?」
「えっ?」
「予定ないなら、サッカーガーデンのショッピングモール行ってみない?」
「う、うん……うん。いいけど……」
突然の誘いにあまり乗り気じゃないのか、好葉は目線を逸らしながら承諾した。