チームの中の敵!
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「もぉ、こちらで修正します!」
「っ!」
「ああっ! ボールが見えない!?」
すると急にさくらが横から来たので真名部はボールが見えず、パスを受け損なってしまった。
「任せて!」
「…………」
さくらが華麗な舞いで飛ぶとボールを取った。周りからは真名部のミスをさくらが帳消しにしたと思うので両親も笑っている。しかし真名部の表情は当然思わしくない。
「ふっ!」
「あっ!」
オクタがドリブルをすると、九坂がスライディングで攻撃を阻止した。こぼれたボールは好葉の元へと向かう。
「森村!」
「わわっ、はい……!」
九坂が声をかけたので好葉はボールを取ろうと追いかける。しかし横からさくらまでも走って来て、そして……。
ダンッ!
「ああっ! むぎゅっ!」
さくらに足を踏まれた好葉は思いっきり顔から転んでしまった。それを冷徹に見降ろしていたさくらは、次いで心配するように好葉に声をかける。
「あ~! 大丈夫!?」
「ウウッ……」
「わざとじゃないのよ? ……ね?」
「ハウッ……!」
最後に笑ったさくらのどこか黒い笑みに好葉は恐れる。そしてさくらは周りに大丈夫というように手を振ってドリブルして行くうしろ姿を、好葉は怖くて今にも泣きそうに瞳を揺らした。
そして試合は動かないまま、ホイッスルが鳴って前半終了の合図が出た。
《ここで前半終了――っ!! 両チーム譲らず、一進一退の展開だ――っ!!》
「…………」
ハーフタイムに入るのでベンチに向かう両チーム。しかしコールはさくらに何かを思うように見つめていた。
(これでみんなが評価してくれる!)
「…………」
自分が作ったとはいえ最悪な状況を全てカバーしたので、さくらは両親もみんなも自分のことを活躍した選手と認めてくれると思っていた。
しかしコールのようにさくらを見る皆帆は、顎に指をかけてジッと観察していた。それに気づいた天馬が声をかける。
「どうしたの?」
「彼女の反応速度ならば、もっと速い対応ができるはずなのに、いつもギリギリのプレーになるのは何故かと思ってね」
「えっ?」
「何か、理由があるのかもしれないな……」
「…………」
観察力が優れている皆帆に、天馬はさくらの様子を見て前半のときから思い当たることがあった。
ベンチではさくらとの接触の際に負傷した好葉の足を、葵が氷を当てて冷やしてくれる。
「大丈夫?」
「うん……」
ザッ――。
「「!」」
「さっきは、ごめんね」
「ウッ……!」
眉を下げて謝りに来るさくらだが、好葉は阿野ときの表情が忘れられず目を逸らした。ただの事故なら好葉がここまで怯えるような顔をすることに違和感を覚え、九坂はさくらに尋ねるように話しかける。
「まさかとは思うけど、あんたわざとやったんじゃないよな?」
「バカなこと言わないでよ!」
さくらは大声を上げて怒鳴って来たので、半ば冗談だった九坂は一瞬怯む。だが……。
「でも、野咲が絡むとなんか調子狂うぜ……」
「そうだね。攻撃のリズムが途切れたり、チャンスがピンチになったり……」
「計算外の結果ばかりです。何故うまくいかないんでしょうか?」
「そんなこと言われても、私はただチームのために結果を出したいだけよ!」
鉄角も瞬木も真名部も訝しげな目をしていた。それにさくらは心外だというように声を上げる。
(そうしないと、また……悲しい思いをしなくちゃならなくなるから……)
「…………」
顔を逸らして胸に手を当てて眉を下げるさくらを、天馬はしかと目に留めていた。
「拓人くん、ちょっと」
「……はい」
ちょいちょいと手招きして来た瑞貴に、神童は駆け寄った。まだ瑞貴に対する疑惑が拭えないが、コーチという立場である以上無視はできないのだ。
「っ!」
「ああっ! ボールが見えない!?」
すると急にさくらが横から来たので真名部はボールが見えず、パスを受け損なってしまった。
「任せて!」
「…………」
さくらが華麗な舞いで飛ぶとボールを取った。周りからは真名部のミスをさくらが帳消しにしたと思うので両親も笑っている。しかし真名部の表情は当然思わしくない。
「ふっ!」
「あっ!」
オクタがドリブルをすると、九坂がスライディングで攻撃を阻止した。こぼれたボールは好葉の元へと向かう。
「森村!」
「わわっ、はい……!」
九坂が声をかけたので好葉はボールを取ろうと追いかける。しかし横からさくらまでも走って来て、そして……。
ダンッ!
「ああっ! むぎゅっ!」
さくらに足を踏まれた好葉は思いっきり顔から転んでしまった。それを冷徹に見降ろしていたさくらは、次いで心配するように好葉に声をかける。
「あ~! 大丈夫!?」
「ウウッ……」
「わざとじゃないのよ? ……ね?」
「ハウッ……!」
最後に笑ったさくらのどこか黒い笑みに好葉は恐れる。そしてさくらは周りに大丈夫というように手を振ってドリブルして行くうしろ姿を、好葉は怖くて今にも泣きそうに瞳を揺らした。
そして試合は動かないまま、ホイッスルが鳴って前半終了の合図が出た。
《ここで前半終了――っ!! 両チーム譲らず、一進一退の展開だ――っ!!》
「…………」
ハーフタイムに入るのでベンチに向かう両チーム。しかしコールはさくらに何かを思うように見つめていた。
(これでみんなが評価してくれる!)
「…………」
自分が作ったとはいえ最悪な状況を全てカバーしたので、さくらは両親もみんなも自分のことを活躍した選手と認めてくれると思っていた。
しかしコールのようにさくらを見る皆帆は、顎に指をかけてジッと観察していた。それに気づいた天馬が声をかける。
「どうしたの?」
「彼女の反応速度ならば、もっと速い対応ができるはずなのに、いつもギリギリのプレーになるのは何故かと思ってね」
「えっ?」
「何か、理由があるのかもしれないな……」
「…………」
観察力が優れている皆帆に、天馬はさくらの様子を見て前半のときから思い当たることがあった。
ベンチではさくらとの接触の際に負傷した好葉の足を、葵が氷を当てて冷やしてくれる。
「大丈夫?」
「うん……」
ザッ――。
「「!」」
「さっきは、ごめんね」
「ウッ……!」
眉を下げて謝りに来るさくらだが、好葉は阿野ときの表情が忘れられず目を逸らした。ただの事故なら好葉がここまで怯えるような顔をすることに違和感を覚え、九坂はさくらに尋ねるように話しかける。
「まさかとは思うけど、あんたわざとやったんじゃないよな?」
「バカなこと言わないでよ!」
さくらは大声を上げて怒鳴って来たので、半ば冗談だった九坂は一瞬怯む。だが……。
「でも、野咲が絡むとなんか調子狂うぜ……」
「そうだね。攻撃のリズムが途切れたり、チャンスがピンチになったり……」
「計算外の結果ばかりです。何故うまくいかないんでしょうか?」
「そんなこと言われても、私はただチームのために結果を出したいだけよ!」
鉄角も瞬木も真名部も訝しげな目をしていた。それにさくらは心外だというように声を上げる。
(そうしないと、また……悲しい思いをしなくちゃならなくなるから……)
「…………」
顔を逸らして胸に手を当てて眉を下げるさくらを、天馬はしかと目に留めていた。
「拓人くん、ちょっと」
「……はい」
ちょいちょいと手招きして来た瑞貴に、神童は駆け寄った。まだ瑞貴に対する疑惑が拭えないが、コーチという立場である以上無視はできないのだ。