チームの中の敵!
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「……さくらちゃんは確か、新体操は個人技で出ていたんだよね?」
「えっ? は、はい。そうですけど……」
「サッカーは喜びも悔しさも共に分かち合えるチームで戦う競技。だから、さくらちゃんは一人じゃない……それは忘れないで」
「…………?」
瑞貴が何を言っているのかわからないのか、さくらは首を傾げた。突然のことだし新体操はソロでやっていたため、急にサッカーというチームで戦うことは難しいかもしれない。
(今はそれでもいい……さくらちゃんが、この言葉を忘れなかったら)
瑞貴はさくらに『チーム』ということを理解してほしかった。しかし自分の言葉では根本的な所までとどかないかもしれないので、ミーティングルームに続く廊下を見やる。
(ごめんね、天馬……)
同じフィールドで戦う仲間の――キャプテンの天馬の言葉が今のさくらの心に響くと思い、瑞貴は今でも全てを任せる形となっている天馬に謝罪した。
☆☆☆☆☆
ついにアジア予選二回戦の当日がやって来た。ホーリーロードスタジアムはすでに満員の観客で溢れ返っており、実況者・角間王将の声も響き渡る。
《晴天に恵まれた、ここホーリーロードスタジアム! フットボールフロンティアインターナショナルV2・アジア地区予選! 日本代表イナズマジャパン対オーストラリア代表ビッグウェイブスの試合が、始まろうとしています!!》
「隼人兄ちゃん、今日も活躍するよね!?」
「決まってんだろ! チームで一番だ!」
観客の中には瞬木隼人の弟・瞬木瞬と瞬木雄太が兄の活躍を楽しみにしており、そしてさくらの両親・成一とかえでも別の観客席にいた。
イナズマジャパンはフィールドでウォーミングアップがてら、ボールの蹴り合いやシュート練習をしている。
「いくよー!」
天馬が軽く蹴ったボールを瞬木は軽くトラップし、そして真っ直ぐ天馬の胸へ蹴り返した。少々勢いはあるものの、コントロールはバッチリなので、天馬は目を見開いた。
「!」
「もっと速いパス出してよ!」
「よし! いくよ!」
天馬が強めに蹴ったボールはわざと瞬木いる位置から少し離れた場所に向かう。しかし瞬木はしっかりとそれを見極めるとジャンプして足を伸ばして受け止めた。
「ナイス! いい反応だ!」
少し得意げに笑った。弟たちのためにイナズマジャパンに残った瞬木は比較的練習にも真面目に取り組んでいたので、確実に実力をつけていた。
別のペアのほうでは、好葉がさくらからパスされたボールをうまく取ることができなかった。
「ごめん……」
「ううん、いいのいいの。……ハァ、使えない子」
好葉に気にしないでというようにさくらは眉を下げて軽く両手を振ったが、最後は小声で悪態をついた。
さくらが周りを見渡すと、九坂隆二と鉄角真はまだうまくボール回しができておらず、真名部が上下角25度という正確な角度を言うので皆帆は分度器じゃないと怒りつつボールを蹴っていた。
(こっちは使えそうね……)
真名部と皆帆のペアは体力がなくても正確に分析する力がある。それを見たさくらはニヤリと笑っていた。
次いでゴール練習では、GKの井吹とFWの剣城が練習しているのを神童が両腕を組んで見ていた。
「来い!」
「ふんっ!」
剣城のシュートを井吹は見極め、真正面に立って両手を突き出した。ノーマルシュートとはいえしっかりと受け止め、力がなくなったボールはそのまま下に落ちた。
「見たか! もう誰にもシュートを決めさせないぞ!」
「試合ではどうかな」
「ゴールは俺に任せてもらうぞ!」
「…………」
そう告げた神童が立ち去ろうとすると、井吹は彼に向かって叫んだ。それに神童は足を止めて一度井吹を一瞥しただけで再びその場を立ち去った。
一方、ビッグウェイブスのベンチでは、監督・オーランド=シャーマンを中心に選手が半円状に集っていた。
「みんな、わかっているな? 遙々こんなとこまで戦いに来た意味を」
「「「「「はい!」」」」」
「よし、必ず勝利するのだ」
「「「「「オウッ!」」」」」
選手たちの気合いを聞き届けたオーランドが背を向けてベンチに向かうと、マーシャ=アークがキャプテン・コール=ラルーゼに話しかける。
「いよいよね」
「ああ。我々の未来が掛かっている……負けることは許されない!」
そう告げたコールの目には、強い闘志と確かな誓いがあった。
「えっ? は、はい。そうですけど……」
「サッカーは喜びも悔しさも共に分かち合えるチームで戦う競技。だから、さくらちゃんは一人じゃない……それは忘れないで」
「…………?」
瑞貴が何を言っているのかわからないのか、さくらは首を傾げた。突然のことだし新体操はソロでやっていたため、急にサッカーというチームで戦うことは難しいかもしれない。
(今はそれでもいい……さくらちゃんが、この言葉を忘れなかったら)
瑞貴はさくらに『チーム』ということを理解してほしかった。しかし自分の言葉では根本的な所までとどかないかもしれないので、ミーティングルームに続く廊下を見やる。
(ごめんね、天馬……)
同じフィールドで戦う仲間の――キャプテンの天馬の言葉が今のさくらの心に響くと思い、瑞貴は今でも全てを任せる形となっている天馬に謝罪した。
☆☆☆☆☆
ついにアジア予選二回戦の当日がやって来た。ホーリーロードスタジアムはすでに満員の観客で溢れ返っており、実況者・角間王将の声も響き渡る。
《晴天に恵まれた、ここホーリーロードスタジアム! フットボールフロンティアインターナショナルV2・アジア地区予選! 日本代表イナズマジャパン対オーストラリア代表ビッグウェイブスの試合が、始まろうとしています!!》
「隼人兄ちゃん、今日も活躍するよね!?」
「決まってんだろ! チームで一番だ!」
観客の中には瞬木隼人の弟・瞬木瞬と瞬木雄太が兄の活躍を楽しみにしており、そしてさくらの両親・成一とかえでも別の観客席にいた。
イナズマジャパンはフィールドでウォーミングアップがてら、ボールの蹴り合いやシュート練習をしている。
「いくよー!」
天馬が軽く蹴ったボールを瞬木は軽くトラップし、そして真っ直ぐ天馬の胸へ蹴り返した。少々勢いはあるものの、コントロールはバッチリなので、天馬は目を見開いた。
「!」
「もっと速いパス出してよ!」
「よし! いくよ!」
天馬が強めに蹴ったボールはわざと瞬木いる位置から少し離れた場所に向かう。しかし瞬木はしっかりとそれを見極めるとジャンプして足を伸ばして受け止めた。
「ナイス! いい反応だ!」
少し得意げに笑った。弟たちのためにイナズマジャパンに残った瞬木は比較的練習にも真面目に取り組んでいたので、確実に実力をつけていた。
別のペアのほうでは、好葉がさくらからパスされたボールをうまく取ることができなかった。
「ごめん……」
「ううん、いいのいいの。……ハァ、使えない子」
好葉に気にしないでというようにさくらは眉を下げて軽く両手を振ったが、最後は小声で悪態をついた。
さくらが周りを見渡すと、九坂隆二と鉄角真はまだうまくボール回しができておらず、真名部が上下角25度という正確な角度を言うので皆帆は分度器じゃないと怒りつつボールを蹴っていた。
(こっちは使えそうね……)
真名部と皆帆のペアは体力がなくても正確に分析する力がある。それを見たさくらはニヤリと笑っていた。
次いでゴール練習では、GKの井吹とFWの剣城が練習しているのを神童が両腕を組んで見ていた。
「来い!」
「ふんっ!」
剣城のシュートを井吹は見極め、真正面に立って両手を突き出した。ノーマルシュートとはいえしっかりと受け止め、力がなくなったボールはそのまま下に落ちた。
「見たか! もう誰にもシュートを決めさせないぞ!」
「試合ではどうかな」
「ゴールは俺に任せてもらうぞ!」
「…………」
そう告げた神童が立ち去ろうとすると、井吹は彼に向かって叫んだ。それに神童は足を止めて一度井吹を一瞥しただけで再びその場を立ち去った。
一方、ビッグウェイブスのベンチでは、監督・オーランド=シャーマンを中心に選手が半円状に集っていた。
「みんな、わかっているな? 遙々こんなとこまで戦いに来た意味を」
「「「「「はい!」」」」」
「よし、必ず勝利するのだ」
「「「「「オウッ!」」」」」
選手たちの気合いを聞き届けたオーランドが背を向けてベンチに向かうと、マーシャ=アークがキャプテン・コール=ラルーゼに話しかける。
「いよいよね」
「ああ。我々の未来が掛かっている……負けることは許されない!」
そう告げたコールの目には、強い闘志と確かな誓いがあった。