チームの中の敵!
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イナズマジャパンの脱退試験はサポーターたちの応援によってそれぞれ葛藤の末、全員が不合格となり脱退者はナシという結果になった。そして黒岩流星との約束により全員が本格的なサッカーの特訓を受ける。
「じゃあダッシュいきまーす! よーい!」
ピィ――ッ!!
「うん! いいよ、その感じ! そのタイミングを忘れないで!」
空野葵がホイッスルを鳴らしてダッシュの合図を出し、松風天馬はドリブルがおぼつかない森村好葉の指導をしていた。
それを厳しい目で見つめるのは全体の練習を見ている神童拓人。次いで彼はゴールを見ると、瞬木隼人と剣城京介のシュートを次々阻止する井吹宗正の姿があった。
パンチングで転がったボールが神童の元に行ったので、井吹は神童が見ていたことに気づくと顔をしかめる。
「お前の助けはいらないぞ!」
「俺は、勝つためにできるだけのことをするだけだ」
「拓人くん、これが今日のメニューね」
「はい」
神童もまた顔をしかめてそう言うと井吹に背を向け、その場から立ち去って円堂瑞貴の元に行ってメニューを受け取ると自身の練習に入ることにした。
チームのGKは井吹だが、神童は試合中ずっとゴールを守るために彼の前に立っている。頑なにゴールを任せない神童のその行動が井吹を苛立たせ、そんな二人を天馬が心配して見つめていると……。
「気にしない、気にしない」
「!」
「ねっ、キャプテン!」
「あっ、うん……」
明るく声をかけてドリンクを差し出して来たのは野咲さくらだ。それに天馬は苦笑して返すだけだった。
☆☆☆☆☆
練習の後は次の試合についてのミーティングだ。真名部がタブレットを操作して繋げている巨大モニターに表示する。
「これが次の対戦相手――オーストラリア代表、ビッグウェイブスの情報です。データによると、ひと試合の平均得点は7.67……常に大量得点での勝利です」
「圧倒的な攻撃力を誇るチームか」
「っ!」
「どうやって守るかが、問題だな……」
「データは単なる数値。実際に戦えば、弱点を見抜いてみせますよ」
剣城京介が簡潔に述べるとGKの井吹に緊張が走る。天馬がどう対抗するかと考えていると、皆帆は実戦で対応してみせると告げた。
「それでは、間に合わないんだ」
「ん? 続いて――」
ガ――……!
机の上に置いた両手を軽く握り合わせた神童の言うことが気になりつつも、真名部が次のデータを展開しようとすると急に扉が開いた。そこには管理人の蒲田静音がいる。
「さくらちゃん、ご両親が面会に来てるよ」
「えっ?」
両親が来るという報せを受けていなかったので、さくらは目をパチクリして驚いた。
――ミーティングを抜けたさくらは、宿舎のカフェテリアにある一つのテーブルにいる両親の元へ行く。しかし父・野咲成一と母・野咲かえでの表情は娘の心配をしているどころか厳しく見える。
「わざわざ様子を見に来なくてもいいのに……」
「心配にもなるだろ。突然、サッカーをやるなんて言い出したんだからな」
「でも、どうにか最初の試合を勝ち抜いてくれてよかったわ」
「大丈夫! 私はちゃんとやってるよ!」
「次の試合は、スタンド応援するよ」
「世界の注目が集まっているのよ。日本代表として、恥ずかしくないプレーを見せなさい」
「はい!」
立ち上がって去って行く両親に、さくらは元気よく笑顔で見送った……だが、両親が完全に出て行ったのを見送ったあと、さくらはどこか悲しそうに眉を下げる。
「…………」
「――さくらちゃん?」
「!」
不意にうしろから声がかかったので、さくらはびっくりして少し肩を跳ねた。振り向くと瑞貴がいるので、さくらは内心慌てて笑顔を取り繕う。
「ご両親との面会は終わったの?」
「はい! 次の試合、応援に来てくれるって言ってました!」
「そっか。なら尚更がんばらないとね」
「はい……」
「!」
そう言った途端、一瞬さくらが悲しそうな顔をしたのを瑞貴は見逃さなかった。
しかし瑞貴は幼い頃に両親を亡くし、親戚からもほぼ絶縁されたようなものなので、親からの期待や愛情というのがわからなかった。故に、さくらが両親に対して何か思う所があっても同意するような言葉をかけられない。
「じゃあダッシュいきまーす! よーい!」
ピィ――ッ!!
「うん! いいよ、その感じ! そのタイミングを忘れないで!」
空野葵がホイッスルを鳴らしてダッシュの合図を出し、松風天馬はドリブルがおぼつかない森村好葉の指導をしていた。
それを厳しい目で見つめるのは全体の練習を見ている神童拓人。次いで彼はゴールを見ると、瞬木隼人と剣城京介のシュートを次々阻止する井吹宗正の姿があった。
パンチングで転がったボールが神童の元に行ったので、井吹は神童が見ていたことに気づくと顔をしかめる。
「お前の助けはいらないぞ!」
「俺は、勝つためにできるだけのことをするだけだ」
「拓人くん、これが今日のメニューね」
「はい」
神童もまた顔をしかめてそう言うと井吹に背を向け、その場から立ち去って円堂瑞貴の元に行ってメニューを受け取ると自身の練習に入ることにした。
チームのGKは井吹だが、神童は試合中ずっとゴールを守るために彼の前に立っている。頑なにゴールを任せない神童のその行動が井吹を苛立たせ、そんな二人を天馬が心配して見つめていると……。
「気にしない、気にしない」
「!」
「ねっ、キャプテン!」
「あっ、うん……」
明るく声をかけてドリンクを差し出して来たのは野咲さくらだ。それに天馬は苦笑して返すだけだった。
☆☆☆☆☆
練習の後は次の試合についてのミーティングだ。真名部がタブレットを操作して繋げている巨大モニターに表示する。
「これが次の対戦相手――オーストラリア代表、ビッグウェイブスの情報です。データによると、ひと試合の平均得点は7.67……常に大量得点での勝利です」
「圧倒的な攻撃力を誇るチームか」
「っ!」
「どうやって守るかが、問題だな……」
「データは単なる数値。実際に戦えば、弱点を見抜いてみせますよ」
剣城京介が簡潔に述べるとGKの井吹に緊張が走る。天馬がどう対抗するかと考えていると、皆帆は実戦で対応してみせると告げた。
「それでは、間に合わないんだ」
「ん? 続いて――」
ガ――……!
机の上に置いた両手を軽く握り合わせた神童の言うことが気になりつつも、真名部が次のデータを展開しようとすると急に扉が開いた。そこには管理人の蒲田静音がいる。
「さくらちゃん、ご両親が面会に来てるよ」
「えっ?」
両親が来るという報せを受けていなかったので、さくらは目をパチクリして驚いた。
――ミーティングを抜けたさくらは、宿舎のカフェテリアにある一つのテーブルにいる両親の元へ行く。しかし父・野咲成一と母・野咲かえでの表情は娘の心配をしているどころか厳しく見える。
「わざわざ様子を見に来なくてもいいのに……」
「心配にもなるだろ。突然、サッカーをやるなんて言い出したんだからな」
「でも、どうにか最初の試合を勝ち抜いてくれてよかったわ」
「大丈夫! 私はちゃんとやってるよ!」
「次の試合は、スタンド応援するよ」
「世界の注目が集まっているのよ。日本代表として、恥ずかしくないプレーを見せなさい」
「はい!」
立ち上がって去って行く両親に、さくらは元気よく笑顔で見送った……だが、両親が完全に出て行ったのを見送ったあと、さくらはどこか悲しそうに眉を下げる。
「…………」
「――さくらちゃん?」
「!」
不意にうしろから声がかかったので、さくらはびっくりして少し肩を跳ねた。振り向くと瑞貴がいるので、さくらは内心慌てて笑顔を取り繕う。
「ご両親との面会は終わったの?」
「はい! 次の試合、応援に来てくれるって言ってました!」
「そっか。なら尚更がんばらないとね」
「はい……」
「!」
そう言った途端、一瞬さくらが悲しそうな顔をしたのを瑞貴は見逃さなかった。
しかし瑞貴は幼い頃に両親を亡くし、親戚からもほぼ絶縁されたようなものなので、親からの期待や愛情というのがわからなかった。故に、さくらが両親に対して何か思う所があっても同意するような言葉をかけられない。