イナズマジャパン脱退試験!

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「いいぞー!」

「カッコいいー!」


称賛する声に九坂は軽く手を振って応えつつ元の位置に戻った。鉄角に続いて九坂までシュートを決めたことに皆帆はまた驚く。


「君まで……」

「お前らも、あそこに立てばわかる」

「フッ」

「監督の思う壺って感じでムカつくけどな」


九坂がそう言うと鉄角も目を閉じて小さく笑った。そして九坂も口とは裏腹に嬉しそうな表情をしている。


〈三番目はDF・真名部陣一郎〉

「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」

「…………」


セットした真名部はしゃがんでボールを見続けると、頭上に応援の声が響いて来た。

それに真名部はカチャリと眼鏡を軽く押し上げると、ボールに背を向けてバックキックでボールをゴールに入れるのだった。そしてそのときまた眼鏡を押し上げる。


「よし!」

「なんか、ひねくれてる……」


鉄角と九坂に続いて真名部もシュートをゴールに入れたので天馬は嬉しそうにガッツポーズをすると、葵は真名部のシュートに苦笑していた。


〈四番目は、DF・皆帆和人〉

「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」

「……ふっ!」


ボールを置くと同時に湧き起こる歓声を感じた皆帆。数回ジャンプして勢いをつけ、シュートをゴールに放った。


〈五番目は、MF・野咲さくら〉

「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」

「もう、やになっちゃう」


さくらはボールを足で宙に大きく浮かせる中で軽く一回転し、落ちてきたボールを背で軽くバウンドさせ、そして体制を変えてボレーシュートを撃った。


「……やってらんないわ」


二回ほどバック転して手を振って歓声に応える中、軽く顔をしかめて小さな声で毒気を吐いた。


「ありがとう! 鉄角がゴールしてくれたおかげで、みんなもやる気になってくれた!」

「なっ!? そんなんじゃねぇ!」

「んっ!?」

「ボクシングで親父に船を買ってやれなくなった今、その夢をサッカーで叶えるしかない……それだけだ!」

「鉄角……」

「ったく。徹さんの言ったこと、思い出させやがって」

「徹さん?」

「俺の師匠だ。ボクシングのな」


天馬は鉄角の言う『徹さんの言ったこと』が何かわからなかったが、鉄角がサッカーに対してやる気を出してくれたことに嬉しく思った。

しかし、まだ脱退試験をクリアしようとした者は一人残っている。


〈六番目、DF・森村好葉〉

「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」

「っ、外さなきゃ……」


好葉は脱退試験をクリアするために、シュートを外さなくてはと思いつつボールを置く。だが、もともと気の弱い好葉は応援の声とメディアからの注目を受けて緊張が走っていた。


「森村ー! がんばれー!」

「落ち着いていけー!」

「はわわっ……! ヒッ!」


ボールを蹴ろうと振り上げた足は外れたが、反動で足を降ろしたとき踵が当たったのでボールは勢いよくスピンをかけながら上空に大きく上がる。

これは外した……と思いきや、ゴールのそばに落ちたボールは最初にかけたスピンにより、数秒その場に不規則に回転して弾むとボールは曲がってゴールに向かっていく。


「ダメ! そっち行っちゃ……!」


好葉が祈るように呟いたが、ボールは紛れもなくゴールに入ったのだった。


「あっ……」

「スッゴい……」


好葉が絶望して両膝を地に付けるが、天馬たちはマグレでも好葉の予測不能なシュートに驚いていた。


「やったね、好葉ちゃん!」

「入っちゃった……」


葵は喜びの声を上げて好葉に駆け寄るが、逆に好葉は涙目になってショックを受けていた。

神童はチラッと瑞貴と黒岩を横目で見て声をかける。もしこの場にサポーターがいなかったら間違いなく彼らは試験をクリアしていた。しかしサポーターが応援する中、彼らは自らの意思で試験をパスしたのだ。


「……初めからこれを狙っていたのですか?」

「そう仕向けるよう場は用意しても、決意したのはあの子たちだよ。そうですよね、監督」

「これが応援する言葉の力だ。サポーターの、そして仲間のな」

「…………」


黒岩の狙いがわかった神童だが、天馬たちと違って浮かない表情のままだ。全員が脱退試験をクリアできなかったということは、引き続きこのチームで世界と戦わなくてはならないのだから。
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