イナズマジャパン脱退試験!
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『足が動いてねぇぞ!』
『ハァ……ハァ……』
『逃げてどうする! 攻めろ! パンチを出せ! パンチを出すんだ!』
『クッソー!』
『真! 逃げるくらいならリングを降りろ!』
「!」
ハッと鉄角が我に返ると、自分が今いる場所がボクシングのリングではなく、サッカーのフィールドだということを思い出す。しかしこのプレッシャーはボクシングの試合と似ていた。
「あと一本だ」
「これが最後です」
脱退試験クリアのルールはシュートを五本外すこと。これまで鉄角は四本外して来たので剣城は天馬たちに、神童は瑞貴に最後の一本だと呟いた。
(これを外せば、今すぐ親父の船を買ってやれる。迷うことはない……迷うことはないんだ)
事実その通りのはずなのに、鉄角は踏ん切りがつかなかった。同時に夕暮れの港で徹との会話を思い出す。
『誰だってパンチは怖いんだ。でも、それから逃げたら勝負にならねぇ』
『…………』
ポンッ。
『男だったら、逃げずに立ち向かえ。そのほうがずっと気持ちいいぞ!』
『徹さん……』
『「親父の船は俺が勝ってやる」って啖呵を切ったそうじゃないか。兄貴が嬉しそうに言ってるぜ!』
ボクシングとサッカーは違う。しかし鉄角は自分は今逃げているのではないか、徹の教えに背いているのではないかと思い始めた。
(『男だったら、逃げずに立ち向かえ』……か)
「鉄角ー!」
「韓国戦、カッコよかったよー!」
「あの気合い、思い出せよー!」
子供たちの懸命な応援する声が聞こえ、鉄角は次いで韓国戦のことを思い出す。あの試合は初めて瞬木からのパスを受けたとき、胸の奥に言い表せない爽快感があった。
「……確かにあのときは気持ちよかったな」
そう呟いた鉄角がうしろを振り向くと、奥にいる天馬が目に入った。
『ホントにこれでいいの?』
最後の一本の前だというのに天馬は今も真っ直ぐ自分を見ている。きっと気づかなかっただけで、ずっとその目を自分を見つめ信じ続けてきたのだろう。
「ふっ!」
最後に撃たれた鉄角のシュート。そのボールは勢いよく……――ゴールに見事入った。
(悪いな、親父。一緒に漁に出るのはもう少し待ってくれ)
鉄角の表情により今のシュートは誤ってではなく、自分の意思でゴールに入れたのだと物語っている。
「鉄角!」
「入った!」
「葵ちゃん、ホイッスル」
「ああっ!」
ピィ――ッ!!
「いいシュートだ」
天馬と共に喜びの声を上げていた葵は、瑞貴に言われてハッとしてホイッスルを鳴らした。そして剣城もまた気持ちがこもった良きシュートだと思った。
シュートを決めたことによって鉄角はイナズマジャパンに残ることになった。あんなに頑なに脱退試験をクリアしようとした彼の予期せぬ行動に、さくらや皆帆は驚きながら声をかける。
「どうしちゃったの!?」
「サポーターのプレッシャーに負けたってこと?」
「まっ、そんなところだ」
鉄角は口ではそう言っているが表情は裏腹に清々しい。黒岩はフッと口角を上げたのを、隣にいるみのりは気づいて顔を上げた。
「フッ。これが、見守る者の力」
「……次、お願いします」
「ウィッス」
みのりが前を向いて声をかけると、次に動いたのは九坂だ。転がしたボールを足で止め、少し下がってシュートの準備をすると……。
〈二番目は、MF・九坂隆二〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
「がんばれ、九坂ー!」
「がんばれー!」
「九坂流・ケンカシュート!」
応援が沸き起こる観客席を一度見渡した九坂はシュートを放つと、それもまたとても勢いよくゴールに真っ直ぐ突き刺さった。
『ハァ……ハァ……』
『逃げてどうする! 攻めろ! パンチを出せ! パンチを出すんだ!』
『クッソー!』
『真! 逃げるくらいならリングを降りろ!』
「!」
ハッと鉄角が我に返ると、自分が今いる場所がボクシングのリングではなく、サッカーのフィールドだということを思い出す。しかしこのプレッシャーはボクシングの試合と似ていた。
「あと一本だ」
「これが最後です」
脱退試験クリアのルールはシュートを五本外すこと。これまで鉄角は四本外して来たので剣城は天馬たちに、神童は瑞貴に最後の一本だと呟いた。
(これを外せば、今すぐ親父の船を買ってやれる。迷うことはない……迷うことはないんだ)
事実その通りのはずなのに、鉄角は踏ん切りがつかなかった。同時に夕暮れの港で徹との会話を思い出す。
『誰だってパンチは怖いんだ。でも、それから逃げたら勝負にならねぇ』
『…………』
ポンッ。
『男だったら、逃げずに立ち向かえ。そのほうがずっと気持ちいいぞ!』
『徹さん……』
『「親父の船は俺が勝ってやる」って啖呵を切ったそうじゃないか。兄貴が嬉しそうに言ってるぜ!』
ボクシングとサッカーは違う。しかし鉄角は自分は今逃げているのではないか、徹の教えに背いているのではないかと思い始めた。
(『男だったら、逃げずに立ち向かえ』……か)
「鉄角ー!」
「韓国戦、カッコよかったよー!」
「あの気合い、思い出せよー!」
子供たちの懸命な応援する声が聞こえ、鉄角は次いで韓国戦のことを思い出す。あの試合は初めて瞬木からのパスを受けたとき、胸の奥に言い表せない爽快感があった。
「……確かにあのときは気持ちよかったな」
そう呟いた鉄角がうしろを振り向くと、奥にいる天馬が目に入った。
『ホントにこれでいいの?』
最後の一本の前だというのに天馬は今も真っ直ぐ自分を見ている。きっと気づかなかっただけで、ずっとその目を自分を見つめ信じ続けてきたのだろう。
「ふっ!」
最後に撃たれた鉄角のシュート。そのボールは勢いよく……――ゴールに見事入った。
(悪いな、親父。一緒に漁に出るのはもう少し待ってくれ)
鉄角の表情により今のシュートは誤ってではなく、自分の意思でゴールに入れたのだと物語っている。
「鉄角!」
「入った!」
「葵ちゃん、ホイッスル」
「ああっ!」
ピィ――ッ!!
「いいシュートだ」
天馬と共に喜びの声を上げていた葵は、瑞貴に言われてハッとしてホイッスルを鳴らした。そして剣城もまた気持ちがこもった良きシュートだと思った。
シュートを決めたことによって鉄角はイナズマジャパンに残ることになった。あんなに頑なに脱退試験をクリアしようとした彼の予期せぬ行動に、さくらや皆帆は驚きながら声をかける。
「どうしちゃったの!?」
「サポーターのプレッシャーに負けたってこと?」
「まっ、そんなところだ」
鉄角は口ではそう言っているが表情は裏腹に清々しい。黒岩はフッと口角を上げたのを、隣にいるみのりは気づいて顔を上げた。
「フッ。これが、見守る者の力」
「……次、お願いします」
「ウィッス」
みのりが前を向いて声をかけると、次に動いたのは九坂だ。転がしたボールを足で止め、少し下がってシュートの準備をすると……。
〈二番目は、MF・九坂隆二〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
「がんばれ、九坂ー!」
「がんばれー!」
「九坂流・ケンカシュート!」
応援が沸き起こる観客席を一度見渡した九坂はシュートを放つと、それもまたとても勢いよくゴールに真っ直ぐ突き刺さった。