イナズマジャパン脱退試験!
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「では、最初の挑戦者。お願いします」
「俺がやる」
背後でみのりが声をかけると、先に立候補したのは鉄角だ。そしてそのままみのりが投げたボールを受け取った。
「今更失うモノなんて何もないからな……。残念だったな、監督さんよぉ。試験、クリアさせてもらうぜ!」
〈一番目は、DF・鉄角真〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
「がんばれー!」
「いっけー!」
みのりがマイクで選手の名前を発表すると同時にボールを持って前に出る鉄角に、期待を込めて沸き起こる歓声の中には幼い子供たちの声もあった。
鉄角はボールを置いたあと、気持ちを落ち着かせるように深呼吸をすると、次いで真っ直ぐゴールに向けて目を向けた。
「99.9パーセント、彼なら外してくれますよ」
「そうかな」
「?」
こんな状況下とはいえ意志の強い鉄角ならクリアできると踏んだ真名部。しかし皆帆は意味あり気に呟いた。
「ふっ!」
鉄角が勢いよく蹴ったボールは大きくゴールから逸れた。それにより観客席からは戸惑いの声が上がっている。
「鉄角!」
「いいぞ、その調子だ……」
天馬が声を上げる中、真名部たちは微笑んでいた。最初に鉄角がクリアしてくれれば、あとに続く自分たちの気は幾分か落ち着いて試験を受けられる。
(笑う奴は笑え。俺の場所はここじゃない……海だ! 俺は、親父と海に出る!)
自分のいる場所はグラウンドではなく海なのだと鉄角は想いを馳せる。そして二回目もシュートを大きく外すと、観客の戸惑いの声がさらに上がった。
「クウッ……!」
「何か、辛そう……」
「鉄角……」
言葉とは裏腹に思いはプレッシャーとなっているのかと葵と天馬は思った。
「…………」
「俺は観客の目なんて気にしないぜ」
視線に気づいた鉄角がうしろで見る黒岩に向かってそう言うと、三回目のシュートも外した。
戸惑いの他にブーイングも含めた声がどんどん上がって行く。自分の番じゃないのにこっちまでプレッシャーを感じたさくらは胸に手を当て、皆帆は顎に手を当てたままだが二人共冷や汗をかいた。
「こんなこと、私もやるんだ……!」
「これはキツいな……」
「鉄角……」
「ふんっ!」
さくらと皆帆が感じているプレッシャーは、天馬も同じように感じていた。そして当人である鉄角は倍以上に感じているはずなのに、シュートを一向に決めようとしない。
神童は隣にいる瑞貴にだけ聞こえる程度の声で話しかける。それにブーイングの嵐の中、他のメンバーに聞こえることはまずないだろう。
「……こんなこと、一般に公開していいんですか?」
「ん? イナズマジャパンの世間体のことを気にしているの?」
「単純に意味があるのかと思っただけです」
「じゃあ一つだけ教えてあげる。――試合の中で力が入るときは、仲間やプレーだけじゃない。観客からも力をもらっているってこと」
「?」
「まあ見てて」
ハッキリと言っていないので恐らく瑞貴なりのヒントだろうと思った神童。そしてこのまま見ているように言ったので、神童は鉄角へ視線を戻した。
「鉄角、なんでだよ……?」
「……だがキック力は大したモノだ」
「「!」」
剣城に言われるまで天馬も葵も気づかなかったが、確かに鉄角のシュートは外しているとはいえ勢いがある。
ついに最後のシュートだ。これを外せば鉄角は入団契約を果たすと同時にイナズマジャパンを抜けることになる。鉄角はボールを置くと――。
「鉄角ー!」
「韓国戦の勢いはどうしたー!?」
「!」
ブーイングの中にある叱咤の声に鉄角は周りを見る。今初めて、鉄角は観客の顔をハッキリと視界に捉えた。
「あの目……覚えがある」
鉄角の脳裏に浮かぶのはボクシングの試合のことだ。相手の攻撃を受けて倒れたとき観客の顔が見えたが、それは自分に対しての失望だ。そのとき自分を叱咤する声が上がった。
『真! 逃げるくらいならリングを降りろ!』
立ち上がるも相手の猛攻は続く一方で、防戦ばかりの自分に叱咤の声をかけ続けるのは、叔父でありボクシングの師匠・鉄角徹だ。
「俺がやる」
背後でみのりが声をかけると、先に立候補したのは鉄角だ。そしてそのままみのりが投げたボールを受け取った。
「今更失うモノなんて何もないからな……。残念だったな、監督さんよぉ。試験、クリアさせてもらうぜ!」
〈一番目は、DF・鉄角真〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
「がんばれー!」
「いっけー!」
みのりがマイクで選手の名前を発表すると同時にボールを持って前に出る鉄角に、期待を込めて沸き起こる歓声の中には幼い子供たちの声もあった。
鉄角はボールを置いたあと、気持ちを落ち着かせるように深呼吸をすると、次いで真っ直ぐゴールに向けて目を向けた。
「99.9パーセント、彼なら外してくれますよ」
「そうかな」
「?」
こんな状況下とはいえ意志の強い鉄角ならクリアできると踏んだ真名部。しかし皆帆は意味あり気に呟いた。
「ふっ!」
鉄角が勢いよく蹴ったボールは大きくゴールから逸れた。それにより観客席からは戸惑いの声が上がっている。
「鉄角!」
「いいぞ、その調子だ……」
天馬が声を上げる中、真名部たちは微笑んでいた。最初に鉄角がクリアしてくれれば、あとに続く自分たちの気は幾分か落ち着いて試験を受けられる。
(笑う奴は笑え。俺の場所はここじゃない……海だ! 俺は、親父と海に出る!)
自分のいる場所はグラウンドではなく海なのだと鉄角は想いを馳せる。そして二回目もシュートを大きく外すと、観客の戸惑いの声がさらに上がった。
「クウッ……!」
「何か、辛そう……」
「鉄角……」
言葉とは裏腹に思いはプレッシャーとなっているのかと葵と天馬は思った。
「…………」
「俺は観客の目なんて気にしないぜ」
視線に気づいた鉄角がうしろで見る黒岩に向かってそう言うと、三回目のシュートも外した。
戸惑いの他にブーイングも含めた声がどんどん上がって行く。自分の番じゃないのにこっちまでプレッシャーを感じたさくらは胸に手を当て、皆帆は顎に手を当てたままだが二人共冷や汗をかいた。
「こんなこと、私もやるんだ……!」
「これはキツいな……」
「鉄角……」
「ふんっ!」
さくらと皆帆が感じているプレッシャーは、天馬も同じように感じていた。そして当人である鉄角は倍以上に感じているはずなのに、シュートを一向に決めようとしない。
神童は隣にいる瑞貴にだけ聞こえる程度の声で話しかける。それにブーイングの嵐の中、他のメンバーに聞こえることはまずないだろう。
「……こんなこと、一般に公開していいんですか?」
「ん? イナズマジャパンの世間体のことを気にしているの?」
「単純に意味があるのかと思っただけです」
「じゃあ一つだけ教えてあげる。――試合の中で力が入るときは、仲間やプレーだけじゃない。観客からも力をもらっているってこと」
「?」
「まあ見てて」
ハッキリと言っていないので恐らく瑞貴なりのヒントだろうと思った神童。そしてこのまま見ているように言ったので、神童は鉄角へ視線を戻した。
「鉄角、なんでだよ……?」
「……だがキック力は大したモノだ」
「「!」」
剣城に言われるまで天馬も葵も気づかなかったが、確かに鉄角のシュートは外しているとはいえ勢いがある。
ついに最後のシュートだ。これを外せば鉄角は入団契約を果たすと同時にイナズマジャパンを抜けることになる。鉄角はボールを置くと――。
「鉄角ー!」
「韓国戦の勢いはどうしたー!?」
「!」
ブーイングの中にある叱咤の声に鉄角は周りを見る。今初めて、鉄角は観客の顔をハッキリと視界に捉えた。
「あの目……覚えがある」
鉄角の脳裏に浮かぶのはボクシングの試合のことだ。相手の攻撃を受けて倒れたとき観客の顔が見えたが、それは自分に対しての失望だ。そのとき自分を叱咤する声が上がった。
『真! 逃げるくらいならリングを降りろ!』
立ち上がるも相手の猛攻は続く一方で、防戦ばかりの自分に叱咤の声をかけ続けるのは、叔父でありボクシングの師匠・鉄角徹だ。