イナズマジャパン脱退試験!
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ガ――……。
立ち上がった鉄角が飄々とする皆帆を睨みつけると控室の扉が開き、そこには天馬と剣城と瞬木と井吹がいる。そしてこれからグラウンドへ向かおうとしていたのか、ちょうど女子用の控室からさくらと好葉も出てきた。
「最後にもう一度聞かせてくれ! みんな、ホントにこれでいいの!?」
「「「「「…………」」」」」
「後悔しないの?」
「しませんね。サッカーは僕にとってなんの意味もありませんから」
真名部を始め次々と控室から出て行くみんな。葵はなんとか二人だけでもと好葉とさくらに声をかける。
「二人共、一緒にやろうよ!」
「ウチには……サッカーなんてムリ!」
「ごめんね」
「あっ……」
申し訳なさそうな声を上げて男子たちに続く二人。最後の言葉も通じなかったので顔をうつむける天馬に瞬木が声をかける。
「大変だね、キャプテンは」
「…………」
チームをまとめるのもキャプテンとしての役割だ。瞬木が本当にそう思っているのかわからないが。
――天馬たちと別れたあと脱退試験を受ける者たちは、グラウンドに続く廊下を歩いていた。
「これで無罪放免か」
「さっさと済ませちゃお~っと」
「……ん? なんか、様子が変だ」
九坂とさくらが軽く試験を済ませようとしている中、皆帆はグラウンドから異変を感じていた。
スイッチを押して扉を開き、差し込んで来た光に眩しさを覚え鉄角たちは一瞬目を閉じた次の瞬間――。
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」」
スタジアムの天井が一部開くと同時に沸き上がる歓声。周りを見渡せば客席には一般人の観客の他に様々なメディアが集まっていた。
好葉は人の多さにびっくりし、さくらや真名部や九坂はこの状況が理解できなかった。いや、この場にいる誰もが理解できていないだろう。
「ヒッ!」
「何これ!?」
「なんで観客がいるんですか?」
「テレビカメラまで……」
「どういうことだ?」
井吹と瞬木と剣城と葵と共にやって来た天馬もまたこの現状に驚き、先にグラウンドに来ていた神童の元へ駆け寄る。
「神童さん! これは……!?」
「観客も取材陣も、黒岩監督と瑞貴さんが集めたそうだ。イナズマジャパンの現状を紹介すると言って」
「韓国戦の勝利が効いたようだ」
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
集まった期待は先日の韓国戦が理由だと剣城が告げると歓声が上がった。見れば黒岩と瑞貴とみのりが入場してきた。
「こっちだ」
「行こう!」
黒岩の指示に天馬たちは彼の元へ向かいセンターラインの前に並ぶと、黒岩はみのりからマイクを受け取った。
〈では、これからイナズマジャパンの精鋭による華麗なシュートをご覧にいれましょう〉
「なっ!?」
〈無論、軽いウォーミングアップに過ぎませんが、これを機会にどうか選手たちの顔を覚えてください。そしてこれから先、彼らの今の姿をその目に焼きつけて思い出してやってください。彼らは――日本の誇りなのですから!〉
「「「「「ワアアァァアアア!!」」」」」
黒岩の口から告げられた発表に辞めるために来た鉄角たちは驚きと戸惑いを隠せなかった。逆に残ると決めた者たちは神童以外みんなを横目で見るだけだった。
「葵ちゃんはシュートが入ったらホイッスルを鳴らしてくれる?」
「あっ、はい!」
瑞貴に指示をされたが、葵はこの状況に戸惑っていたので返事をするのが少し遅れた。
「なるほど、そういうことか」
「そういうことって?」
「こんな大観衆の前で、キーパーもいないのにPKをミスするなんてできるわけないということですよ」
さっそく現状と自分たちの置かれた立場を理解した皆帆が顎に手を当てながら納得する。さくらが問いかけると同じく理解した真名部が理由を述べた。
「特にオリンピックを目指している野咲さんには致命的だよね。そんな無様な姿を見られたら、競技人生の汚点になる」
「じゃあ……最初からそのつもりで、監督は……!」
皆帆がそう説明するとさくらは眉を下げた。もともと彼女の入団契約は海外チームに留学することだから、たとえ試験をクリアしてチームに入ったとしても世間から向けられる目は厳しいものである。