チーム結成の謎!
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翌日のヨットハーバーグラウンド。今日も瑞貴から特に練習メニューを提示することはなく、昨日と同じベンチに座っている。そしてグラウンドにいるのは神童と瞬木とさくらと天馬と葵だけ。昨日のメンバーどころか剣城すら来ていないことに神童は尋ねる。
「剣城は?」
「今日は一人で練習したいって、さっき天馬に連絡があったそうです」
「そうか……」
それについて神童は咎めることはしなかった。むしろ本来ならば剣城だけじゃなく自分も個人練習などしてレベルアップしなくてはならないのだから。
「神童さん、瑞貴さん」
「「!」」
「瞬木とさくらの練習、お願いできませんか?」
「お前は?」
「みんなと、話してきます」
「……わかった」
「天馬、ちょっと待って」
「はい?」
神童が了承したで天馬が駆け出そうとすると、瑞貴に呼び止められたので天馬は足を止める。すると瑞貴は折りたたまれたメモを差し出していた。
「昨日、イナズマジャパンの選手を見たって言う証言を元にいくつか居場所を割り出してみたよ。残念ながら井吹くんの情報はなかったからどこにいるかわからないけどね」
「いえ、これで充分です。ありがとうございます」
今度こそ去って行った天馬を見て、神童はチームの大きな問題に頭を悩ませながら練習に参加するさくらと瞬木を見やる。
(世界と戦わなければならないときに……! せめて、この二人だけでもなんとかしないと、チームに未来はない)
「あ、あの、さっそくなんだけど――」
「神童さん! 練習お願いします!」
「…………」
恐る恐るながら瞬木が尋ねようとすると、さくらが割って入ったので呆れた表情をした。
「それじゃあ、瞬木くんには私が教えるね」
「あっ、はい。お願いします、コーチ!」
「瑞貴さん! あとで私の練習も見てください!」
「う、うん。わかった」
「…………」
さくらの行動は普通なら向上心があるように見えるが、その中に思惑も隠されているので、察知している瞬木は再び呆れた表情をするのだった。
復習も兼ねて昨日と同じドリブル練習をする瞬木とさくら。それを見ながら指導するのは神童と瑞貴なのだが、今の所順調なので神童は顔は真っ直ぐ向けているが目線だけ瑞貴に向けて話しかける。
「……瑞貴さん。あなたは本当に変わってしまったんですか?」
「変わったって?」
「俺には、あなたの考えていることがわからないんです。黒岩監督と同じようにチームを野放しにしていると思ったら指導してくれているし、かといって天馬のように連れ戻すわけでもない。一体、あなたは何をしたいんです?」
「私はチームの潜在能力を引き出すことしか考えていないよ。それに指導っていうのは何も付きっきりでやるものじゃない。時には自分の頭で考えさせる力を付けるのも一つの方法だからね」
「…………」
普段通りの口調で話す瑞貴だが、やはり真意を告げたわけじゃない。神童はもう一度ジッと見据えてから瞬木とさくらへ視線を戻すのだった。
――港のテトラポッドに立っている鉄角は、右手の拳を見やる。力を入れると逆に震えてしまうほどの痛みで顔をしかめた。
「鉄角」
「!」
「瑞貴さんの言う通り、やっぱりにここにいたんだ。それにお父さんが漁師だって聞いたからここかな~って俺も思って」
鉄角が振り向くとジャージ姿の天馬が優しく微笑んだ。しかし鉄角にとってはそれはどうでもよく、彼が来た理由も検討がついていたが一応問いかける。
「何か用か」
「練習に来てほしいんだ。見るだけでもいいから」
「悪いが、サッカーには興味ねぇ」
振り向いた顔を前に戻してそう吐き捨てた鉄角。やはりサッカーには興味がないようで練習にも乗り気じゃない。天馬はなんとか会話を繋げようと続けて声を上げる。