チーム結成の謎!
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夕方になったので練習が終わり、神童は剣城と一緒に宿舎へと向かって行く。
「なあ、剣城」
「はい」
「瞬木も野咲も、確かに高い身体能力を持っている。しかし何故彼らなんだ?」
「彼らと同等の力を持った選手にはない、何か他に代表に選ばれる条件があったということでしょうか?」
わざわざ入団条件まで出してでも、サッカー未経験者の彼らをイナズマジャパンに入れなければいけない、そんな理由があるのではと剣城は思った。
「あっ……」
「?」
ふと横を見た神童が声を上げたので剣城も見てみると、視線の先には瑞貴のうしろ姿があった。
今日の練習で瑞貴はメニューについて特に指示を出すことはなかったが、時に求められたら瞬木やさくらだけでなく、天馬たちにも前回の試合で気づいた調整や動きについて指示やアドバイスもくれたし、コーチとしてちゃんと役割を果たしてくれている。
「瑞貴さん、雷門のようにちゃんとアドバイスしてくれましたね」
「ああ……――だが」
神童には瑞貴に対しての疑惑がどうしても拭えなかった。信じたいけど信じきれない、その想いがあるから神童は拳をギュッと握るのだった。
――夕食が終わったあと、恒例となったミーティングルームに集まったイナズマジャパン。その中には今日練習に来ていなかったメンバーもいる。
「お願いします! 練習に来てほしいんだ!」
天馬は練習に参加していなかった、井吹と真名部と鉄角真と森村好葉と九坂隆二と皆帆和人に向かって勢いよく頭を下げた。
「参加しなくてもいい、見るだけでもいい、とにかく来てくれないか!?」
「…………」
それを壁際で見守る葵は、練習後の天馬との会話を思い出す。
『考えてみたんだ、今日来てくれなかったみんなのこと。みんな、今までサッカーに興味がなかったんだから、いくら契約したからっていっても、好きでもないサッカーをやること自体辛いだけかもって……』
『天馬……』
『だからさ、まずは俺がキッカケを作ろうと思うんだ! 俺が豪炎寺さんに助けてもらって、サッカーを好きになったようにさ!』
(天馬がキャプテンとしてがんばってるんだ……私もマネージャーとしてしっかりしなくちゃ!)
葵もそう意気込んでみたが、この時点で他のメンバーからいい返事はもらえなかった。
――ミーティングが終わったあとのグラウンドで、剣城は一人でシュート練習をしていた。
(予選を勝ち抜くには、俺自身のレベルアップも必要だ……!)
エースストライカーという10番の背番号を、このイナズマジャパンでも請け負った剣城。だからこそゴールを奪うキーマンとして瞬木やさくらたちだけでなく、自分のレベルを上げる必要があると思った。
「――剣城」
「!」
呼ばれたので剣城は振り向くと、ラインの外に井吹が立っていた。
「井吹か」
「話がある」
井吹の表情は真剣そのもので、剣城は練習を一度止めて話を聞くことにした。……その様子を一部始終見ていた瑞貴は、彼らに背を向けてそのまま去って行った。
――監督専用の部屋に訪れた神童。黒岩が回転椅子の背をこちらに向ける中、神童はあることを頼みに来た。
「追加招集?」
「はい。今は十一人しかいません。怪我やアクシデントで一人でも欠けることがあれば試合に影響――」
「考えておく」
「っ、すぐにでもやるべきです!」
「言いたいことはそれだけか?」
「っ……はい」
これ以上言ってもムダだと思った神童は、黒岩に背を向けて去って行った。その際黒岩が何かを企むように笑みを浮かべていたことに気づかずに。