立ち込める暗雲! 世界大会開幕‼︎
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翌日、ホーリーロードスタジアムでは代表選考会以上の熱気が上がっている。今日がFFIV2のオープニングセレモニーであり、アジア地区予選第一回戦が始まるのだ。
《いよいよこの日がやってまいりました!! フットボールフロンティアインターナショナルビジョン2・アジア地区予選! 実況は私、角間王将でございます!! この予選を勝ち上がり、アジア代表の栄誉を勝ち取るのは果たしてどのチームになるのでしょうか!?》
「兄ちゃーん!」
「がんばれー!」
観客席には雄太と瞬だけでなく、雷門中サッカー部のメンバーや木野秋も応援に来ている。グラウンドには角間王将の実況の元、アジア予選に出場するチームが勢ぞろいしていた。
オープニングセレモニーが終わったあと、神童は控室に移動するため歩を進める。
「神童さん!」
「なんだ」
うしろから声をかけてきた天馬に振り向いた神童だが、やはり声音が重いので天馬は萎縮してしまう。
「あ、あの、みんなの力は充分じゃないけど……やっぱり、このメンバーで戦い抜きませんか!?」
「っ!」
天馬は当日になってもチームを見限ったりしない。それどころか共に戦いと告げたので神童は拳をギュッと握る。
「俺たちは、代表を目指して血の滲むような努力をしてきたんだ! 瑞貴さんだって、あんなに協力してくれたのに……!」
「!」
天馬は神童の肩が微かに震えていることに気づいた。そして同時に先日の瑞貴の言葉を思い返す。
『今この場にいる私は「雷門中サッカー部のコーチ」じゃない、「イナズマジャパンのコーチ」なの。君たちの考えを優先したり尊重してくれるなんて思わないで』
恐らくあれが神童にショックを与えたのだろう。世界大会が決まったあと瑞貴は世界に行きたいという雷門中サッカー部の願いを聞いて、オーバーワークにならない程度にいつも以上にレベルアップしてしごいてくれた。叱咤することが多くても乗り越えたら褒めてくれることもあったし、それに神童だって嬉しそうな顔をしていたのも天馬も見ていた。
しかしあの言葉は本来ならば正論なのだが、このチームの現状を鑑みないように見えたので、初恋であり憧れの瑞貴の口から出たので神童にとって裏切られたように思えたのだろう。
「わかっているのか、天馬!? これは世界大会なんだぞ!」
「っ……俺たちが全力で試合すれば、みんなきっと付いて来てくれます! 意味なく選ばれたメンバーじゃないと思うんです!」
「クッ……! 天馬……!」
タッタッタッタッ――!
「「!」」
「天馬! 来てくれ!」
廊下が反響するのは駆け出す音。それに天馬と神童が振り向くと剣城が焦ったように声を上げた。
――イナズマジャパンの男子ロッカールームでは雷門出身以外の全員が瞬木と対峙していた。さくらも好葉も男子が着替え終えている状態なのでここにいる。
「盗むようなことするの、君しかいないんですよね? 瞬木くん」
その中で代表するように真名部が仁王立ちして瞬木に向ける顔をしかめていると、天馬たちが駆け寄って来た。事情は道中に剣城から聞いている。
「財布がなくなったって、本当なの?」
「そうなんです!」
「宿舎に忘れたわけでもないそうだ」
「だからって、なんで瞬木を疑うんだ!?」
なくなったのは真名部の財布なのだが、彼は瞬木が犯人だと決めつけている。皆帆たちが真っ先に瞬木を疑う理由を天馬は問いかける。
「ハァ……瞬木くんは、以前盗みをして捕まったことがあるそうです。だからこの中で財布を盗るとしたら、君しかいないわけです!」
「俺はやってない」
「皆帆くん、君はどう思う?」
「確証が必要だね。現状ではまだ、状況証拠すら存在しない。君の推理、まだまだ穴だらけだな」
「どっちの味方なんですか、君は!?」
「しかし――」
「やめるんだ! 試合前だよ!」
今度は真名部と皆帆の言い合いが始まりそうになるのを、天馬が一喝して止めたので全員から注目を受ける。
「俺たちは代表選手なんだ! みんなの期待を背負っている。だから恥ずかしくない戦いをして、そして勝たなきゃ!」
「でもですねぇ、我々全員サッカーをやりたかったわけじゃないんですよ」
「「「!?」」」
「それぞれ条件を出されて、雇われてるだけなんですから」
「ええっ!?」
「雇われているだと……!?」
ここに来て新たな真実が真名部の口から告げられ、天馬と神童と剣城は驚いた。