立ち込める暗雲! 世界大会開幕‼︎
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――選手たち全員がジャージに着替えたので、瑞貴の案内の元で合宿所のエントランスまで来たのだが……。
「まあまあまあ! よく来たねぇよく来たねぇ! 汗まみれだね土まみれだねぇ! まずはホレ、お風呂行きなさいお風呂! あっ、その前に部屋部屋! お部屋に荷物置いてお風呂行っといで!」
「「「「「…………」」」」」
いきなり現れたのはジャージの上にエプロンを着た少し恰幅のある女性。怒涛のマシンガントークに近い台詞に天馬たちは呆気にとられると、慣れているのか瑞貴はみんなに体を向けて彼女の前に手を差し出して紹介する。
「紹介するね。こちらは蒲田静音さん。合宿所の管理人でみんなのご飯も作ってくれる人だよ」
「よろしくね!」
「は、はい。あの、部屋って……?」
「そこの掲示板に書いてあるよ」
静音が示した通り掲示板にはそれぞれの部屋に名前が示してあった。この宿舎とは別に外にある横一列の施設の中に部屋が用意されているのだ。
天馬は葵と一緒に自分の部屋がある施設の中に入ると、葵は選手よりも先に面識がある静音について天馬にはなす。
「面白い人でしょ。ここの管理人の蒲田さん。みんなはおばちゃんって呼んでるみたい」
「へぇ」
「――天馬」
「「!」」
呼ばれた天馬が振り向くと、そこには真剣な顔をしている神童がいた。
「荷物を置いたら一緒に来てくれ」
「は、はい!」
そう言って部屋に入って行った神童に、天馬は声を上げて了承する。
そして天馬もまた部屋に入ると、一人用なので中にはベッドと机とイスなど簡素なモノしかない。天馬は荷物を床に置いて奥の円形の窓から空を見上げる。
「信助……どうしてるかな? ううん! 試合まで一週間、時間はないぞ!」
代表に選ばれなかった親友の西園信助のことを心配するが、今は目の前のことに集中するべきだと天馬は気持ちを切り替える。
――夕食も終わった頃、グラウンドにいるのは黒岩とベンチに座るみのりとリフティングをしている瑞貴だけだ。
「雷門の三人を見ていると楽しいです」
「そうか」
「フッフフフッ、特にあの三人の苛立ちが。瑞貴さん、あなたも気づいているのでしょう? 何度も向けられた視線に」
「まあね……」
「故に……ほら」
みのりが目線を向けると同時に扉が開き、神童と天馬と剣城がやって来た。同時に瑞貴はリフティングをやめてボールを足で押さえ、黒岩は顔を向けるだけで三人を見る。
「監督。代表選考をやり直してください! 今のチームでは勝てません!」
「代表の再考はない。お前たちは井上と共に奴らの潜在能力を引き出してもらいたい」
「潜在能力?」
「そこまで彼らを評価する根拠はなんですか!?」
「聞く間でもない……」
再び正面を向いた黒岩の言葉に天馬と剣城は問うが、神童は聞いても答えてくれないと思った。事実、黒岩はそれ以降何も言わない。
続いて天馬は瑞貴に顔を向けて声を上げる。その表情はどこか必死さがあった。
「瑞貴さん! 瑞貴さんからも、監督に何か! せめて代表選考の理由だけでも――」
「勘違いしていない?」
「えっ……」
「今この場にいる私は『雷門中サッカー部のコーチ』じゃない、『イナズマジャパンのコーチ』なの。君たちの考えを優先したり尊重してくれるなんて思わないで」
「「「っ!」」」」
自分たちに向けられた視線と言葉は冷たく、普段の瑞貴とは違う表情を向けられたので驚きを隠せなかった。それを瑞貴は目を細めて見据える。
(やっぱり、期待していたんだ)
練習中も何度か向けられた三人の視線は瑞貴への『期待』だった。他のメンバーに見切りをつけ、黒岩に代表メンバーを変更するように頼んでくれるという微かだが大きな期待を持っている。変に期待されるより早めにケリをつけたほうがいいと瑞貴は思い、敢えて冷たく言い放ったのだ。
頼みの綱の瑞貴にまでも断られ、神童はショックと怒りが入り交じってギュッと拳を握ると……。
「監督や瑞貴さんがそうまで言うなら……――試合は全て、俺たち三人でやります!」
「――!」
……神童の宣言に、ちょうどグラウンドに入ろうとしていた人物にも聞こえていたのだが誰も気づいていない。
「ホォ……三人、か」
「FWは剣城、MFを天馬、DFは俺がやります! そして敵のシュートは俺が防いでみせます!」
「――クッ…クウッ……!」
……歯を食いしばって悔しそうにしているのは、先ほどの宣言も聞いていた井吹だ。しかしジャージではなくユニフォームに着替えてボールを持っている。
井吹に気づかず、神童はこの宣言に黒岩がどう答えるのかと拳を震わせながら身構えていると――。
「まあまあまあ! よく来たねぇよく来たねぇ! 汗まみれだね土まみれだねぇ! まずはホレ、お風呂行きなさいお風呂! あっ、その前に部屋部屋! お部屋に荷物置いてお風呂行っといで!」
「「「「「…………」」」」」
いきなり現れたのはジャージの上にエプロンを着た少し恰幅のある女性。怒涛のマシンガントークに近い台詞に天馬たちは呆気にとられると、慣れているのか瑞貴はみんなに体を向けて彼女の前に手を差し出して紹介する。
「紹介するね。こちらは蒲田静音さん。合宿所の管理人でみんなのご飯も作ってくれる人だよ」
「よろしくね!」
「は、はい。あの、部屋って……?」
「そこの掲示板に書いてあるよ」
静音が示した通り掲示板にはそれぞれの部屋に名前が示してあった。この宿舎とは別に外にある横一列の施設の中に部屋が用意されているのだ。
天馬は葵と一緒に自分の部屋がある施設の中に入ると、葵は選手よりも先に面識がある静音について天馬にはなす。
「面白い人でしょ。ここの管理人の蒲田さん。みんなはおばちゃんって呼んでるみたい」
「へぇ」
「――天馬」
「「!」」
呼ばれた天馬が振り向くと、そこには真剣な顔をしている神童がいた。
「荷物を置いたら一緒に来てくれ」
「は、はい!」
そう言って部屋に入って行った神童に、天馬は声を上げて了承する。
そして天馬もまた部屋に入ると、一人用なので中にはベッドと机とイスなど簡素なモノしかない。天馬は荷物を床に置いて奥の円形の窓から空を見上げる。
「信助……どうしてるかな? ううん! 試合まで一週間、時間はないぞ!」
代表に選ばれなかった親友の西園信助のことを心配するが、今は目の前のことに集中するべきだと天馬は気持ちを切り替える。
――夕食も終わった頃、グラウンドにいるのは黒岩とベンチに座るみのりとリフティングをしている瑞貴だけだ。
「雷門の三人を見ていると楽しいです」
「そうか」
「フッフフフッ、特にあの三人の苛立ちが。瑞貴さん、あなたも気づいているのでしょう? 何度も向けられた視線に」
「まあね……」
「故に……ほら」
みのりが目線を向けると同時に扉が開き、神童と天馬と剣城がやって来た。同時に瑞貴はリフティングをやめてボールを足で押さえ、黒岩は顔を向けるだけで三人を見る。
「監督。代表選考をやり直してください! 今のチームでは勝てません!」
「代表の再考はない。お前たちは井上と共に奴らの潜在能力を引き出してもらいたい」
「潜在能力?」
「そこまで彼らを評価する根拠はなんですか!?」
「聞く間でもない……」
再び正面を向いた黒岩の言葉に天馬と剣城は問うが、神童は聞いても答えてくれないと思った。事実、黒岩はそれ以降何も言わない。
続いて天馬は瑞貴に顔を向けて声を上げる。その表情はどこか必死さがあった。
「瑞貴さん! 瑞貴さんからも、監督に何か! せめて代表選考の理由だけでも――」
「勘違いしていない?」
「えっ……」
「今この場にいる私は『雷門中サッカー部のコーチ』じゃない、『イナズマジャパンのコーチ』なの。君たちの考えを優先したり尊重してくれるなんて思わないで」
「「「っ!」」」」
自分たちに向けられた視線と言葉は冷たく、普段の瑞貴とは違う表情を向けられたので驚きを隠せなかった。それを瑞貴は目を細めて見据える。
(やっぱり、期待していたんだ)
練習中も何度か向けられた三人の視線は瑞貴への『期待』だった。他のメンバーに見切りをつけ、黒岩に代表メンバーを変更するように頼んでくれるという微かだが大きな期待を持っている。変に期待されるより早めにケリをつけたほうがいいと瑞貴は思い、敢えて冷たく言い放ったのだ。
頼みの綱の瑞貴にまでも断られ、神童はショックと怒りが入り交じってギュッと拳を握ると……。
「監督や瑞貴さんがそうまで言うなら……――試合は全て、俺たち三人でやります!」
「――!」
……神童の宣言に、ちょうどグラウンドに入ろうとしていた人物にも聞こえていたのだが誰も気づいていない。
「ホォ……三人、か」
「FWは剣城、MFを天馬、DFは俺がやります! そして敵のシュートは俺が防いでみせます!」
「――クッ…クウッ……!」
……歯を食いしばって悔しそうにしているのは、先ほどの宣言も聞いていた井吹だ。しかしジャージではなくユニフォームに着替えてボールを持っている。
井吹に気づかず、神童はこの宣言に黒岩がどう答えるのかと拳を震わせながら身構えていると――。