立ち込める暗雲! 世界大会開幕‼︎
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「まずは、サッカーに必要な体力作りからだ。試合中はずっと走り続けなくちゃいけいないから、持久力がとても大事に――……ん?」
「基礎的なことも悪くないけど、みんなで必殺技の練習を始めたほうがよくないかな? そのほうが実践的だ!」
「あっ……スポーツをやってた人とやってない人がいるんだ。今は基礎練習のほうが大事だよ。それに、必殺技はそれぞれの選手が得意なモノを伸ばしながら出来上がっていくものなんだ。すぐには難しいよ」
背後で体を震わせている神童の気配を察知しながらも、天馬は苦笑しながら皆帆たちへ説明するが……。
「僕の必殺技はもう出来上がっている。『ここ』にね」
「「…………」」
自分の頭を示す皆帆。先ほども頭脳担当ということを言っていたので、知識があればなんとかなると思っているのだろう。呆れて何も言えないというように頭を片手で当てる神童を剣城は横目で見ていた。
「わ、わかった。でも今日は練習初日なんだ。体力作りを優先してもらうよ」
「う~ん……了解」
「じゃあ最初は、みんなでランニングだ! 張り切っていこう!」
葵が鳴らす笛に合わせて選手たちは走ったりストレッチをする。やはりスポーツ経験者とそうでない者の差が随分と目立っており、早くも音を上げそうなのに言われた通り練習していく。
「みんな、比較的真面目に取り組んでますね」
「…………」
みのりは横に立っている黒岩にそう言うと、彼は何も答えずただ選手だけを見ていた。
だいたいデータが取れた瑞貴は、隣の葵と顔を見合わせて軽く頷いて合図を出すと、葵は長く笛を鳴らした。
「休憩でーす!」
休憩時間になって葵とみのりから配られたドリンクとタオルを受け取ったあと、選手の一部は顔を赤くして倒れて肩で息をし、一部は汗を流すも余裕があるように体をほぐしている。
「このあとは、ボールを使うから充分に休んで――……ん?」
みんなに向かって天馬がそう告げると、瞬木がまだランニングをしていたのを見つけた。
「瞬木!」
「!」
「休憩だよ。君も休んで」
天馬は瞬木の元へ駆け出しながらそう言うと、瞬木は物足りなさそうな顔をしていた。
「……まだ走ってても平気だけど」
「サッカーはマラソンと違うから、短休も大事だよ」
「それはわかるけど……好きなんだ、走るの」
「そっか、俺もなんだ! 瞬木とペアになって、『なんか負けられない』って思ってどんどんスピードアップしてた! これは新しい必殺技に繋がるかも!」
「必殺技って、そうやってできるのか?」
「人それぞれだけどね。世界大会に向けて俺ももっとうまくなりたいし、もしあのスピードから必殺技ができたら、瞬木のおかげかな?」
そう言って笑った天馬は瞬木から離れ、元の場所へと戻って行く。
「……信用できないんだよな、ああいう奴」
天馬を見据えて呟くように言う瞬木の言葉は誰にも聞こえていない。しかしその表情はベンチにいるふと顔を向けていた瑞貴の目に入っていたのだが、瞬木は気づいていない。
(瞬木隼人、か……)
瑞貴は現時点の練習記録を記しているファイルとは別に、タブレットを取り出して瞬木のページを開いた。
――休憩が終わってボールを使う練習が始まった。お手本として天馬がリフティングを見せる。
「最初は手を使えなくて不便に思うだろうけど、ボールに慣れれば案外簡単にコントロールできるようになるよ。じゃあ、みんなやってみて」
スポーツ経験者が中に入るとはいえ、サッカー初心者ばかりだ。リフティングどころかボールを別方向に飛ばしてしまったり、体に力が入り過ぎて転んでしまったりみんな苦戦している。……一人だけボールを踏み潰してしまったが。
井吹はGKなのでPKを中心に練習をすることにした。練習相手の剣城が次々とシュートを撃つが、井吹はボールに触れることもできずゴールを許してしまうばかりだ。
ガンッ!
「クッソー!」
「…………」
ゴールポストに拳を横に当てて悔しそうに叫ぶ井吹に、神童は何かを思うように見据えていた。
☆☆☆☆☆
空に茜色が差しかかって来た頃、休憩と同じように瑞貴からの目線を受けた葵は長い笛を吹いた。
「今日の練習は終了でーす!」
「「「「「ハァ…ハァ……ハァ…ハァ……」」」」」
期待はしていなかっただろうが、今日の練習はまるでサッカー教室のようだった。しかも体の動き方が違うのでスポーツ経験者も含め全員が肩で息をするようになっているほどだ。
雷門メンバー以外の選手たちの実力を改めて目の当たりにした神童は、拳を震わせて背を向ける。
「っ……!」
「あっ……」
黙ってグラウンドから去って行く神童の背を、天馬は何も言えず眉を下げて見つめ、剣城は神童の気持ちがわからなくもなかった。
「基礎的なことも悪くないけど、みんなで必殺技の練習を始めたほうがよくないかな? そのほうが実践的だ!」
「あっ……スポーツをやってた人とやってない人がいるんだ。今は基礎練習のほうが大事だよ。それに、必殺技はそれぞれの選手が得意なモノを伸ばしながら出来上がっていくものなんだ。すぐには難しいよ」
背後で体を震わせている神童の気配を察知しながらも、天馬は苦笑しながら皆帆たちへ説明するが……。
「僕の必殺技はもう出来上がっている。『ここ』にね」
「「…………」」
自分の頭を示す皆帆。先ほども頭脳担当ということを言っていたので、知識があればなんとかなると思っているのだろう。呆れて何も言えないというように頭を片手で当てる神童を剣城は横目で見ていた。
「わ、わかった。でも今日は練習初日なんだ。体力作りを優先してもらうよ」
「う~ん……了解」
「じゃあ最初は、みんなでランニングだ! 張り切っていこう!」
葵が鳴らす笛に合わせて選手たちは走ったりストレッチをする。やはりスポーツ経験者とそうでない者の差が随分と目立っており、早くも音を上げそうなのに言われた通り練習していく。
「みんな、比較的真面目に取り組んでますね」
「…………」
みのりは横に立っている黒岩にそう言うと、彼は何も答えずただ選手だけを見ていた。
だいたいデータが取れた瑞貴は、隣の葵と顔を見合わせて軽く頷いて合図を出すと、葵は長く笛を鳴らした。
「休憩でーす!」
休憩時間になって葵とみのりから配られたドリンクとタオルを受け取ったあと、選手の一部は顔を赤くして倒れて肩で息をし、一部は汗を流すも余裕があるように体をほぐしている。
「このあとは、ボールを使うから充分に休んで――……ん?」
みんなに向かって天馬がそう告げると、瞬木がまだランニングをしていたのを見つけた。
「瞬木!」
「!」
「休憩だよ。君も休んで」
天馬は瞬木の元へ駆け出しながらそう言うと、瞬木は物足りなさそうな顔をしていた。
「……まだ走ってても平気だけど」
「サッカーはマラソンと違うから、短休も大事だよ」
「それはわかるけど……好きなんだ、走るの」
「そっか、俺もなんだ! 瞬木とペアになって、『なんか負けられない』って思ってどんどんスピードアップしてた! これは新しい必殺技に繋がるかも!」
「必殺技って、そうやってできるのか?」
「人それぞれだけどね。世界大会に向けて俺ももっとうまくなりたいし、もしあのスピードから必殺技ができたら、瞬木のおかげかな?」
そう言って笑った天馬は瞬木から離れ、元の場所へと戻って行く。
「……信用できないんだよな、ああいう奴」
天馬を見据えて呟くように言う瞬木の言葉は誰にも聞こえていない。しかしその表情はベンチにいるふと顔を向けていた瑞貴の目に入っていたのだが、瞬木は気づいていない。
(瞬木隼人、か……)
瑞貴は現時点の練習記録を記しているファイルとは別に、タブレットを取り出して瞬木のページを開いた。
――休憩が終わってボールを使う練習が始まった。お手本として天馬がリフティングを見せる。
「最初は手を使えなくて不便に思うだろうけど、ボールに慣れれば案外簡単にコントロールできるようになるよ。じゃあ、みんなやってみて」
スポーツ経験者が中に入るとはいえ、サッカー初心者ばかりだ。リフティングどころかボールを別方向に飛ばしてしまったり、体に力が入り過ぎて転んでしまったりみんな苦戦している。……一人だけボールを踏み潰してしまったが。
井吹はGKなのでPKを中心に練習をすることにした。練習相手の剣城が次々とシュートを撃つが、井吹はボールに触れることもできずゴールを許してしまうばかりだ。
ガンッ!
「クッソー!」
「…………」
ゴールポストに拳を横に当てて悔しそうに叫ぶ井吹に、神童は何かを思うように見据えていた。
☆☆☆☆☆
空に茜色が差しかかって来た頃、休憩と同じように瑞貴からの目線を受けた葵は長い笛を吹いた。
「今日の練習は終了でーす!」
「「「「「ハァ…ハァ……ハァ…ハァ……」」」」」
期待はしていなかっただろうが、今日の練習はまるでサッカー教室のようだった。しかも体の動き方が違うのでスポーツ経験者も含め全員が肩で息をするようになっているほどだ。
雷門メンバー以外の選手たちの実力を改めて目の当たりにした神童は、拳を震わせて背を向ける。
「っ……!」
「あっ……」
黙ってグラウンドから去って行く神童の背を、天馬は何も言えず眉を下げて見つめ、剣城は神童の気持ちがわからなくもなかった。