立ち込める暗雲! 世界大会開幕‼︎
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今日から始まるイナズマジャパンの合宿。澄み渡る青空を自宅のリビングの窓から円堂瑞貴は微笑みながら見上げていた。
「いい天気~……それに対して私の心は絶賛暗雲だけどね~……」
(かける言葉が見つからないってのは、こういうことなんだな……)
一気に以前のようなドヨーンとした雰囲気が瑞貴の周りに現れ、椅子に座ってコーヒーを飲む円堂守はさすがに同情した。
日本代表イナズマジャパンのエキシビジョンマッチは、日本中が期待するような試合ではなかった。雷門中出身の松風天馬と神童拓人と剣城京介以外、全員がサッカー初心者という異例中の異例という事態が起こり、サッカーファンにとって失望させるものとなる。
当然ながらイナズマジャパンのコーチとなった瑞貴には、天馬と剣城と神童を始め雷門中の教え子や連絡を交換した他校の生徒からもひっきりなしに詳細を求める電話がかかってきて、最終的には携帯の電源を切るハメになったのだ。
(それに、こうして弱音を吐けるのも今だけだからな……)
強化合宿の場に行けば瑞貴はこうして人前で弱音を言うこともできない。まずは言えるだけ言って、気持ちを切り替えようとしているのだ。
パンッ!
「弱音終わり! よし、今日からがんばるぞ!」
「…………」
両手で両頬を強く叩いた瑞貴は改めて気合いを入れるように叫んだ。これからすることは彼女にとって不本意なのはわかっているので、円堂にはやはりカラ元気にしか見えない。
椅子から立ち上がった円堂は窓辺にいる瑞貴のそばに行き、ポンッと頭に手を乗せる。
「俺に言えるのは一つだけだ。――瑞貴、お前は一人じゃない」
「……うん!」
せっかくムリにでもつけた去勢が崩れそうになった瑞貴だが、今だけはこの手の温もりを感じていたいと思い、首から下げた結婚指輪をギュッと握った。
☆☆☆☆☆
ここはお台場サッカーガーデン。スタジアムやグラウンドの他に合宿所や公園や図書館やショッピングモールなど、サッカーのために作られた新たな施設である。
天馬と神童と剣城は同時に到着したので、一緒にシーサイドスタジアムに行くことになり、神童がスイッチを押して扉が開かれ、天馬がさっそく駆け出して中に入ろうとすると――。
ガンッ!
「がっ!」
「天馬!?」
「――ご、ごめんなさい!」
横から飛んできたボールに天馬が頭をぶつけて倒れるのを神童が声を上げて驚くと、ボールを飛ばした本人であろう野咲さくらが駆け寄って来た。
「アッハハハ……大丈夫、大丈夫」
「あっ、キャプテン! お、おはようございます!」
「おはよう。早いね、練習してたの?」
「はい! もうみんな来てますよ」
さくらが指差した先を天馬たちも見てみると、自分たちは最後に到着したようで、他のメンバーはユニフォームに着替えてすでにグラウンドにいた。
しかしただ走ったり、ボールを枕にして寝転がったり、ゴールポストにもたれかかったり、バスケのドリブルをしたり、壁に背を預けたり、芝生の感触を観察したり、座り込んでいるだけだが。
「ホントだ!」
「だが、練習らしい練習をしてないじゃないか!」
「監督や瑞貴さんは何故こいつらを?」
「いいぞ! みんな、おはよー!」
その様子に訝しげな顔をする神童と剣城だが、天馬はバッグを置いて明るく走って行った。その声に気づいて他のみんなも動きを止めて天馬に顔を向ける。
「みんな早くてびっくりしたよ! 今日からよろしくね!」
「「「「「…………」」」」」
天馬の挨拶に全員返すどころかこれといった反応もしないので、神童と剣城にはこれから先が不安しかなかった。
――それから三人もユニフォームに着替えたあと、瑞貴がやって来てミーティングを始めると告げたので、全員ベンチの前で瑞貴を中心に囲むように並んだ。
「これから一週間、FFIV2アジア予選開始まで私たちはここで強化合宿に入るよ。それじゃあ、改めて自己紹介をしようか。私はコーチになった井上瑞貴。時間外指導も付き合うしプライベートでも気軽に話しかけてね」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
「うん、よろしく。それじゃあ次は選手ということで……――瞬木くん、君からね」
「はい! ――瞬木隼人、陸上やってました!」
「陸上! 何の種目?」
「あっ……短距離」
「そっか! だからあんなに速かったのか!」
天馬が興味津々に問いかけると、瞬木隼人は何故か苦笑して答えた。それに気づかず天馬はエキシビジョンマッチで彼の足の速さの理由に納得する。
「いい天気~……それに対して私の心は絶賛暗雲だけどね~……」
(かける言葉が見つからないってのは、こういうことなんだな……)
一気に以前のようなドヨーンとした雰囲気が瑞貴の周りに現れ、椅子に座ってコーヒーを飲む円堂守はさすがに同情した。
日本代表イナズマジャパンのエキシビジョンマッチは、日本中が期待するような試合ではなかった。雷門中出身の松風天馬と神童拓人と剣城京介以外、全員がサッカー初心者という異例中の異例という事態が起こり、サッカーファンにとって失望させるものとなる。
当然ながらイナズマジャパンのコーチとなった瑞貴には、天馬と剣城と神童を始め雷門中の教え子や連絡を交換した他校の生徒からもひっきりなしに詳細を求める電話がかかってきて、最終的には携帯の電源を切るハメになったのだ。
(それに、こうして弱音を吐けるのも今だけだからな……)
強化合宿の場に行けば瑞貴はこうして人前で弱音を言うこともできない。まずは言えるだけ言って、気持ちを切り替えようとしているのだ。
パンッ!
「弱音終わり! よし、今日からがんばるぞ!」
「…………」
両手で両頬を強く叩いた瑞貴は改めて気合いを入れるように叫んだ。これからすることは彼女にとって不本意なのはわかっているので、円堂にはやはりカラ元気にしか見えない。
椅子から立ち上がった円堂は窓辺にいる瑞貴のそばに行き、ポンッと頭に手を乗せる。
「俺に言えるのは一つだけだ。――瑞貴、お前は一人じゃない」
「……うん!」
せっかくムリにでもつけた去勢が崩れそうになった瑞貴だが、今だけはこの手の温もりを感じていたいと思い、首から下げた結婚指輪をギュッと握った。
☆☆☆☆☆
ここはお台場サッカーガーデン。スタジアムやグラウンドの他に合宿所や公園や図書館やショッピングモールなど、サッカーのために作られた新たな施設である。
天馬と神童と剣城は同時に到着したので、一緒にシーサイドスタジアムに行くことになり、神童がスイッチを押して扉が開かれ、天馬がさっそく駆け出して中に入ろうとすると――。
ガンッ!
「がっ!」
「天馬!?」
「――ご、ごめんなさい!」
横から飛んできたボールに天馬が頭をぶつけて倒れるのを神童が声を上げて驚くと、ボールを飛ばした本人であろう野咲さくらが駆け寄って来た。
「アッハハハ……大丈夫、大丈夫」
「あっ、キャプテン! お、おはようございます!」
「おはよう。早いね、練習してたの?」
「はい! もうみんな来てますよ」
さくらが指差した先を天馬たちも見てみると、自分たちは最後に到着したようで、他のメンバーはユニフォームに着替えてすでにグラウンドにいた。
しかしただ走ったり、ボールを枕にして寝転がったり、ゴールポストにもたれかかったり、バスケのドリブルをしたり、壁に背を預けたり、芝生の感触を観察したり、座り込んでいるだけだが。
「ホントだ!」
「だが、練習らしい練習をしてないじゃないか!」
「監督や瑞貴さんは何故こいつらを?」
「いいぞ! みんな、おはよー!」
その様子に訝しげな顔をする神童と剣城だが、天馬はバッグを置いて明るく走って行った。その声に気づいて他のみんなも動きを止めて天馬に顔を向ける。
「みんな早くてびっくりしたよ! 今日からよろしくね!」
「「「「「…………」」」」」
天馬の挨拶に全員返すどころかこれといった反応もしないので、神童と剣城にはこれから先が不安しかなかった。
――それから三人もユニフォームに着替えたあと、瑞貴がやって来てミーティングを始めると告げたので、全員ベンチの前で瑞貴を中心に囲むように並んだ。
「これから一週間、FFIV2アジア予選開始まで私たちはここで強化合宿に入るよ。それじゃあ、改めて自己紹介をしようか。私はコーチになった井上瑞貴。時間外指導も付き合うしプライベートでも気軽に話しかけてね」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
「うん、よろしく。それじゃあ次は選手ということで……――瞬木くん、君からね」
「はい! ――瞬木隼人、陸上やってました!」
「陸上! 何の種目?」
「あっ……短距離」
「そっか! だからあんなに速かったのか!」
天馬が興味津々に問いかけると、瞬木隼人は何故か苦笑して答えた。それに気づかず天馬はエキシビジョンマッチで彼の足の速さの理由に納得する。