最悪! 新生イナズマジャパン‼︎
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ピー! ピー! ピィ――ッ!!
「「「!」」」
ゴールが決まってハイタッチをかわす天馬と剣城に、神童が駆け寄って二人の肩に手を置いて三人は笑い合う。しかし試合終了を合図するホイッスルが鳴り響いてしまった。
《ここで試合終了――っ!! なんということでしょうか! これは新生イナズマジャパン、最悪の滑り出しと言っていいでしょう!!》
「そんな……」
「負けたか……」
「クッ……!」
悔しがることも悪びれもしない他のメンバー。それを眉を下げる天馬、最初のスタートにしては残念な結果に呟く剣城、そして顔をうつむけて歯を食いしばる神童。ただ単純に戦って負けるほうがどれだけマシだろうか。
これはエキシビジョンマッチなので負けても大会に支障はないが、新生イナズマジャパンの印象は最悪である。現に王将も松居もいい表情をしていなかった。
《松居さん、これをどう見ますか!?》
《これは異常事態ですねぇ。これは監督更迭もありますよ》
《残念です! 実に残念です! 果たしてこれでいいのでしょうか!?》
「なんで…なんであんな奴らがイナズマジャパンなんだ……!?」
「僕たちだって……ズズッ……ずっと練習してきたのに……!」
顔をうつむける霧野と涙ぐむ信助は、天馬と剣城と神童以外のイナズマジャパンのメンバー選出に納得できなかった。いや、彼らだけじゃなく他の雷門中サッカー部や他校のサッカー選手たちも同じだろう。
自分たちより実力もあり強い選手が選ばれるならまだしも、雷門出身の三人以外はサッカー初心者だ。それどころか少しでもマトモにサッカーしようという行動も起こしていない。
――最後に両チームが一列になって向かい合い、退場する帝国学園選手と順に握手をしていくイナズマジャパン。神童も天馬も浮かない表情で握手しながら礼を言う。
「ありがとうございました……」
「ありがとうございました……」
「ガッカリだな」
「!」
最後に握手をした御門がそう言うと、神童は目を見開いて怒りと悲しみが入り交じって体を震わせた。
イナズマジャパンとのエキシビジョンマッチの相手に選ばれた御門は、代表に選ばれなかったのは悔しかったが、日本を背負うメンバーの実力に試合前までは少し楽しみにしていたのだろう。
「……クソッ!」
「神童さん……」
時に一人の選手の問題はチーム全体の問題ともなる。代表として恥ずかしい試合を見せてしまったことで、拳を握り締める神童は涙を流す。
天馬はそれを見るとベンチに顔を向ける。みのりのことは何者かわからないが、監督の黒岩もコーチの瑞貴もこの結果に悔しがったり焦りを見せるどころか、この結果は予想していたように見えた。
トンッ!
「何やってんだよ!」
「なんなんだよ!」
「オイッ!」
ブーイングと共にグラウンドに落ちてくるのは、イナズマジャパンの色を示す青色のメガホンやタオルだ。最初にメガホンを落とした一人に続いて他の観客たちも次々と投げ入れてくる。
「……昔、『同じチームで一緒に戦ってみたい』と言ったことがありましたが、まさかそのスタートがこんな形になるとは思いませんでした」
「ここから先、選手の全てを鍛え上げるのは君の仕事だ」
「はい。わかっています」
そう告げて去って行く黒岩に瑞貴は目を閉じて礼をする。そのあとを追うみのりは、一度立ち止まって同じように瑞貴に目を閉じて礼をすると黒岩と共に去って行った。
それを見届けた瑞貴はメガホンが飛んでくる前にその場を離れ、反対側のベンチにいる鬼道のそばに行くと、同じように豪炎寺も現れた。
「監督と共に彼らを頼むぞ、瑞貴」
「うん。でも世間からの印象はまず『過去最悪のイナズマジャパン』ってとこね」
(あなたにはどんなお考えが……? 黒岩監督……――いや、我が師・影山零治)
黒岩流星の正体は、過去瑞貴や円堂たちを苦しめたサッカー界の闇とも言える存在――影山零治だった。
「なんなんだ、これ……!?」
一方、自分たち以外の選手が代表に選ばれた意味も、黒岩の意図も、何もかもが天馬たちにはわからなかった。
☆☆☆☆☆
プルルル、プルルル――……。
スタジアム内なのに明かりが点いておらず、静かな廊下の中で着信音が鳴り響く。それを取った黒岩は相手が誰かわかると通信を始める。
「円堂か。こちらは予定通りだ。頼んでおいた件、どうなっている? ……そうか、わかった」
通信を切った黒岩は、みのりと共に再び廊下の先を進んで行くのだった。
☆コーチの 今日の格言☆
結果の前に敗北するときはチーム全員あきらめたとき。でも、一人でもあきらめない限り可能性はある
以上!!