最悪! 新生イナズマジャパン‼︎
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ズーン……。
「「…………」」
今日は雷門中サッカー部が休みの日なので、自宅で過ごす円堂夫婦。テーブルに資料を広げて突っ伏す妻・円堂瑞貴に、夫・円堂守はどう声をかけようかと迷いつつ、とりあえずお茶を淹れて瑞貴の頭と資料から少し離れた位置に置く。
この夫婦は学生時代からの相棒としての絆もあるせいか、相手ができることを自分もできるようになれば率先して動くことがある。なので瑞貴から教えてくれてできるようになった家事はもちろん、お茶を淹れることも円堂はできるようになっていた。
「大丈夫か?」
「……体力は大丈夫。でも精神力が大丈夫じゃない」
「あ~……。でも、こればかりは『瑞貴じゃなきゃいけない』んだろ?」
「うん……。『あの人』もそう言っていた……」
瑞貴の隣に座った円堂は広げられた資料の一部を手に取る。そこには『FFIV2』のマークが大きく記されていた。
この件に関しては円堂にも関わりがあるので資料を見るのを止めたりしない。体を起こした瑞貴はお茶をひと口飲んでひと息ついたが、コップをテーブルに置いた途端に再び顔に陰りが現れる。
「絶対嫌われる……。そもそも何故私を推薦した……? 私にこういったことを求めるのはムリでしょ……。あの人は私に恨みがあるってか……? 思い返せばなくもないけど……」
「戻って来ーい!」
「ハッ!」
遠い目をしながら現実逃避をし始めた瑞貴に円堂は肩を揺さぶると、瑞貴は我に返った。どうやら意識が別世界に行くのを阻止できたようだ。
「俺は俺のほうでやることがあるけど、瑞貴は向こうに泊まり込みなんだろ?」
「うん。だから用事があるか、向こうからの許可がない限り帰って来れないね」
「俺のほうはここから通える距離だから、留守は任せとけ」
「……私が帰って来たときにヒドい有様にはしないでね」
「いや俺だってそこまでしないぞ!?」
「フフッ、わかっているよ」
もともとプロリーグのため海外で暮らすことになった円堂は、瑞貴と母・円堂温子に最低限できる家事を徹底的に叩き込まれた。それに結婚してから瑞貴と暮らす内にそれもレベルアップしている。
さっきまで辛気くさい状態だったがやっと笑ってくれた瑞貴。それを見て円堂はギュッと抱きつくと、瑞貴の肩口に額をグリグリする。
「守?」
「旅立たれるってわかると、瑞貴はずっとこんな気持ちで見送っていたんだなぁって。……いろいろとごめん」
「私のほうもごめん。守と同じ旅立つ気持ちになると、別の意味で辛いね」
「当日までできる限り充電させてくれ」
「それはこっちの台詞だよ」
フフッと顔を見合わせて笑う二人は、そのまま唇を重ね合うのだった。
☆☆☆☆☆
数日後、ついに瑞貴が懸念していた日が訪れた。そんな彼女の気持ちとは裏腹に、ここホーリーロードスタジアムは超満員の観客が集まって歓声が響き渡る。
《さあ少年サッカー世界大会・フットボールフロンティアインターナショナル! 通称・FFIV2の開催が決まり、今ホーリーロードスタジアムでは新生イナズマジャパンが発表されようとしています!!》
実況・角間王将の声と共に幾多の学校の選手たちが入場して整列する。ホーリーロード全国大会を勝ち進んできた選手はもちろん、フィフスセクター専属のチーム、公式試合に出場しなくても実力のあるチームなど、強豪選手ばかりが集まっていた。
「フゥ……」
(天馬、ついにここまで来たんだね)
緊張しているのかひと息つく松風天馬、それを関係者席で見守るのはヘアスタイルを変えた空野葵だ。同じエリアには音無春奈や他の雷門中サッカー部のメンバーも、自分たちの学校の選手が選ばれるのではないかとワクワクしている。
「世界と戦うイナズマジャパンか……誰が選ばれるんだろ? ワクワクするよな!」
「うんうん!」
「――天馬」
「!」
振り向いた天馬の言葉に何度も頷く西園信助。そんな彼らを見て声をかけたのは剣城京介だ。
「まるで、『自分は絶対に選ばれる』という口ぶりだな」
「あっ。い、いや、そんなことないよ」
「今度は世界かー!」
「――コラッ、あまりハシャぐな」
「ああっ、はい……」
ワクワクを抑えきれない天馬と信助たちを諌めたのは、先頭にいる神童拓人。ついというように頬を赤くした天馬は体を正面に戻すと、前にいる神童に周りに迷惑をかけない程度で声をかける。
「神童さん、俺たちここまで来たんですね」
「ああ……」