最後のタイムジャンプ!
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――それから夜になり、自宅に戻った円堂と瑞貴はソファに並んで座って食後のお茶を飲んでいた。円堂にとってはまさに久々の帰宅なので、こうして我が家に帰ったことをスゴく嬉しく思っている。
先ほどまで今までの冒険の旅を談笑していたのだが、ひと息ついたとき瑞貴はコップを目の前のテーブルに置く。
「……ねぇ、守。私、決めたことがあるの」
「ん?」
「もし子供ができたら、私はその子に全力で愛情を注ぐよ。時には叱咤して、時にはただ何もせず見守ることがあるけど……その子にはちゃんと親に愛されているってことを感じてほしい」
そう告げた瑞貴は、フェーダのみんなに向けたときのような母親の笑みを浮かべていた。それを見た円堂は一瞬目を見開いたが次いで瑞貴と同じくコップをテーブルに置き、隣の瑞貴を優しく抱き寄せる。
「そのときは俺も一緒に愛情を注ぐさ。だから今度は……――『一緒に』親になろう」
フェーダから母と呼ばれ、瑞貴がそれを受け止めて笑顔を向けていたとき、円堂は心のどこかで寂しさを覚えていた。セカンドステージ・チルドレンには瑞貴の子孫がいるので、当然それは円堂の子孫である。寂しかったのは自分のことを『父』と呼んでくれないのではなく、瑞貴が一足先に『親の顔』になってしまったことだ。
そんな円堂の気持ちに気づいたのか、瑞貴は円堂に身を委ねると顔を上げて微笑んだ。
「うん。約束だよ」
「ああ」
円堂もまた優しく微笑み返すと、二人は自然とお互い顔を近づけて唇を交わすのだった。それはとても久しぶりだが、結婚とは違う未来への誓いのキスとも言えるだろう。
☆☆☆☆☆
ここはとある時代のとある病院。その病室のベッドで大きくな自分のお腹を愛おしそうに差する女性がそこにいた。その女性は出入口にいる少年に気づくと、優しく微笑む。
「わかる……?」
「また会えたね」
病室にいる女性は大人になった黄名子、そして尋ねて来たのはフェイだ。病室の中には花や本の他に、古くなったサッカーボールがある。仲間たちのメッセージが記されているボールを黄名子はずっと大事にしていた。
フェイは病室に入ってベッドに近づくと、黄名子は自分のお腹を示す。ラグナロクから数年後、大人になった黄名子はアスレイと出会って結婚し、そしてフェイをお腹に宿しているのだ。
「もうすぐ、赤ちゃんのあなたが生まれるんだよ」
「うん。でも、君は――」
「お母さんになれない?」
「僕を産んだあと、急に……」
「うん……でもいいの。ちゃんとこうして会えたから」
黄名子は子供の頃に未来のアスレイと出会い、自分の運命を悟った。だけど子供の頃に出会い、見守り、一緒に戦った思い出がある。そして大人になった今も出会うことができた。もう見ることのできない、成長した我が子を。――しかし。
「歴史は変えられるでしょ? あきらめずにがんばるよ。赤ちゃんのあなたに会うために。このインタラプトを乗り越えて、新しいタイムルート、作って見せるよ」
「…………!」
ここにいる『未来のフェイ』は自分の時代で黄名子に出会うことはない。だが『この時代のフェイ』なら、黄名子と出会うことができるかもしれない。
「……じゃあ、行くね」
「うん」
そう告げたフェイは背を向け、ゆっくりと病室から出ようとすると――。
「フェイ!」
「!」
「フェイもしっかり、がんばるやんね!」
「あっ……! うん!」
ウィンクして手を構え、そして懐かしい言葉遣いをする黄名子。フェイはそのとき、最高の笑顔を黄名子に――母親に見せるのだった。
☆☆☆☆☆
十年前のフットボールフロンティア全国大会が終了した。トロフィーを持つ雷門中サッカー部のキャプテン・円堂守と副キャプテン・井上瑞貴は仲間たちと共にスタジアムを出ると同時に、記者に写真を撮るためのフラッシュの嵐に迎えられる。
そして雷門中に帰るため、キャラバンに乗り込もうと移動していると……。
「円堂さん!」
「ん?」
「日本一、おめでとうございます!」
お祝いの言葉を告げたのは、ボールを脇に抱えてみたことのないユニフォームを着ている少年――松風天馬だ。
「あれ? お前は……天馬だったっけ?」
「えっ!?」
天馬の名前を呼んで彼の元に向かう円堂に、瑞貴は思わず驚きの声を上げて二人を交互に見た。この時代では瑞貴は『イナズマイレブンGO』の原作を覚えているので、まさかここで天馬と出会うことに衝撃を受ける。
そんな彼女を余所に、天馬は近づいて来る円堂が自分のことを覚えてくれているのが嬉しかった。
「あっ、はい! 覚えてくれてましたか?」
「オウッ! こんなとこまでお祝いに来てくれたのか?」
「あっ……いえ」
「えっ? ――なあっ!?」
苦笑する天馬が親指を立ててある方向を示す。天馬の反応にキョトンとした円堂がその指先を追うと……天馬と同じユニフォームを着ている十六人の選手たちと、一年前に出会ったフェイとワンダバがそこにいた。
「サッカーをしに来ました! 約束しましたよね? 『また一緒にサッカーやる』って!」
「あ、ああ」
「勝負してもらいますよ、俺たちと!」
天馬から両手で突き出されたボールに円堂は驚いたが、次いで二カッと笑う。
「よーし!」
「「サッカーやろうぜ!」」
雷門中に戻り、二つのチームはキャプテンを中心に一つのボールを追いかけるのだった。
☆コーチの 今日の格言☆
周りからだけじゃなく、自分からも一歩だけでも歩み寄ること。信用も信頼もそうやって生まれていくから。
以上!!
先ほどまで今までの冒険の旅を談笑していたのだが、ひと息ついたとき瑞貴はコップを目の前のテーブルに置く。
「……ねぇ、守。私、決めたことがあるの」
「ん?」
「もし子供ができたら、私はその子に全力で愛情を注ぐよ。時には叱咤して、時にはただ何もせず見守ることがあるけど……その子にはちゃんと親に愛されているってことを感じてほしい」
そう告げた瑞貴は、フェーダのみんなに向けたときのような母親の笑みを浮かべていた。それを見た円堂は一瞬目を見開いたが次いで瑞貴と同じくコップをテーブルに置き、隣の瑞貴を優しく抱き寄せる。
「そのときは俺も一緒に愛情を注ぐさ。だから今度は……――『一緒に』親になろう」
フェーダから母と呼ばれ、瑞貴がそれを受け止めて笑顔を向けていたとき、円堂は心のどこかで寂しさを覚えていた。セカンドステージ・チルドレンには瑞貴の子孫がいるので、当然それは円堂の子孫である。寂しかったのは自分のことを『父』と呼んでくれないのではなく、瑞貴が一足先に『親の顔』になってしまったことだ。
そんな円堂の気持ちに気づいたのか、瑞貴は円堂に身を委ねると顔を上げて微笑んだ。
「うん。約束だよ」
「ああ」
円堂もまた優しく微笑み返すと、二人は自然とお互い顔を近づけて唇を交わすのだった。それはとても久しぶりだが、結婚とは違う未来への誓いのキスとも言えるだろう。
☆☆☆☆☆
ここはとある時代のとある病院。その病室のベッドで大きくな自分のお腹を愛おしそうに差する女性がそこにいた。その女性は出入口にいる少年に気づくと、優しく微笑む。
「わかる……?」
「また会えたね」
病室にいる女性は大人になった黄名子、そして尋ねて来たのはフェイだ。病室の中には花や本の他に、古くなったサッカーボールがある。仲間たちのメッセージが記されているボールを黄名子はずっと大事にしていた。
フェイは病室に入ってベッドに近づくと、黄名子は自分のお腹を示す。ラグナロクから数年後、大人になった黄名子はアスレイと出会って結婚し、そしてフェイをお腹に宿しているのだ。
「もうすぐ、赤ちゃんのあなたが生まれるんだよ」
「うん。でも、君は――」
「お母さんになれない?」
「僕を産んだあと、急に……」
「うん……でもいいの。ちゃんとこうして会えたから」
黄名子は子供の頃に未来のアスレイと出会い、自分の運命を悟った。だけど子供の頃に出会い、見守り、一緒に戦った思い出がある。そして大人になった今も出会うことができた。もう見ることのできない、成長した我が子を。――しかし。
「歴史は変えられるでしょ? あきらめずにがんばるよ。赤ちゃんのあなたに会うために。このインタラプトを乗り越えて、新しいタイムルート、作って見せるよ」
「…………!」
ここにいる『未来のフェイ』は自分の時代で黄名子に出会うことはない。だが『この時代のフェイ』なら、黄名子と出会うことができるかもしれない。
「……じゃあ、行くね」
「うん」
そう告げたフェイは背を向け、ゆっくりと病室から出ようとすると――。
「フェイ!」
「!」
「フェイもしっかり、がんばるやんね!」
「あっ……! うん!」
ウィンクして手を構え、そして懐かしい言葉遣いをする黄名子。フェイはそのとき、最高の笑顔を黄名子に――母親に見せるのだった。
☆☆☆☆☆
十年前のフットボールフロンティア全国大会が終了した。トロフィーを持つ雷門中サッカー部のキャプテン・円堂守と副キャプテン・井上瑞貴は仲間たちと共にスタジアムを出ると同時に、記者に写真を撮るためのフラッシュの嵐に迎えられる。
そして雷門中に帰るため、キャラバンに乗り込もうと移動していると……。
「円堂さん!」
「ん?」
「日本一、おめでとうございます!」
お祝いの言葉を告げたのは、ボールを脇に抱えてみたことのないユニフォームを着ている少年――松風天馬だ。
「あれ? お前は……天馬だったっけ?」
「えっ!?」
天馬の名前を呼んで彼の元に向かう円堂に、瑞貴は思わず驚きの声を上げて二人を交互に見た。この時代では瑞貴は『イナズマイレブンGO』の原作を覚えているので、まさかここで天馬と出会うことに衝撃を受ける。
そんな彼女を余所に、天馬は近づいて来る円堂が自分のことを覚えてくれているのが嬉しかった。
「あっ、はい! 覚えてくれてましたか?」
「オウッ! こんなとこまでお祝いに来てくれたのか?」
「あっ……いえ」
「えっ? ――なあっ!?」
苦笑する天馬が親指を立ててある方向を示す。天馬の反応にキョトンとした円堂がその指先を追うと……天馬と同じユニフォームを着ている十六人の選手たちと、一年前に出会ったフェイとワンダバがそこにいた。
「サッカーをしに来ました! 約束しましたよね? 『また一緒にサッカーやる』って!」
「あ、ああ」
「勝負してもらいますよ、俺たちと!」
天馬から両手で突き出されたボールに円堂は驚いたが、次いで二カッと笑う。
「よーし!」
「「サッカーやろうぜ!」」
雷門中に戻り、二つのチームはキャプテンを中心に一つのボールを追いかけるのだった。
☆コーチの 今日の格言☆
周りからだけじゃなく、自分からも一歩だけでも歩み寄ること。信用も信頼もそうやって生まれていくから。
以上!!
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