最後のタイムジャンプ!
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「今の私に子供はいないし、サリューたちから『母さん』って呼ばれることに違和感を覚えたよ……でも、嬉しかったよ。今はみんなのことを本当の子供のように思える。――ごめんなさい。私の異世界の血が原因でこんな力を持つことになって。そしてありがとう。私のことを『母さん』と呼んでくれて」
「こちらこそ。ありがとう、母さん」
もう一度瑞貴はSARUを抱きしめ、SARUも抱きしめ返した。それを見て我慢できないというようにメイアが叫ぶ。
「もー! SARUだけズルいわ! お母様、私も!」
「僕も!」
メイアとギリスを始め次々と瑞貴の元に再び集まる。瑞貴は一人一人を抱きしめたり、時には抱きしめられ、中には照れくさくて渋る子たちもいると発見次第まとめて思いっきり抱きしめるなど大胆な行動にも出た。
「なんかこうしていると、瑞貴さんが本当にSARUたちのお母さんに見えます」
「そうだな。俺も瑞貴との子供がほしくなってくるし、『父ちゃん』と呼んでほしいな」
「もし円堂監督と瑞貴さんに子供ができたら、俺、一緒にサッカーがしたいです!」
「オウッ。そのときは兄ちゃんとしてよろしくな、天馬!」
「お兄ちゃん……――はい!」
一人っ子の天馬は『お兄ちゃん』と呼ばれるのがとても嬉しくてたまらない。それに瑞貴と円堂の間に生まれた子供ならきっとサッカーが好きになるだろう。
その後、瑞貴は改めてSARUたちフェーダにも自分の出生を語ったが、誰一人として瑞貴を責めなかった。
この力を受け入れたのも、戦争を起こしたのも、ラグナロクを開催させたのも自分たちの意思だから瑞貴の出生は関係ないと。――そして同時に、フェイと同じように大切な仲間と出会えて感謝していた。
――天馬たちの時を越えた長い戦いは終わった。時空最強イレブン……天馬たちが本当にそうなれたのかは彼ら自身にもわからない。だけど、天馬たちがサッカーで結んだ絆は絶対に時空最強だ。
TMキャラバンに雷門メンバーとクロノストームの全員を乗せ、元の時代へと戻る彼らをサカマキ=トグロウとクロスワード=アルノはVIP席から眺めていた。そしてこれまでの出来事や今回の試合を見て思うことがある。
「人類の進化……『セカンドステージ・チルドレン』……。科学者である我々が、その存在を否定したことになる。これでよかったのか……?」
「わからん。じゃが、少なくともあの子たちには重過ぎたのじゃ。もし本当に進化すべき時が来たのなら、そのときは我々の手で止めることなどできんよ」
「……それもそうだな」
☆☆☆☆☆
瑞貴たち過ごす時代から十年前の沖縄では夕方になっており、ラストオーダーのカレーが運ばれる。
「おまちどおさま!」
「おっ、うまいな、このカレー!」
「ったりめぇよ!」
矢嶋成海が出したカレーを食べた客が思わずそう声を上げると、厨房で汗を拭っていた矢嶋陽介が笑って断言した。
そして閉店になり片付けも終わると、矢嶋と成海はテラスで海に沈む夕日を眺める。
「なんか、長い一日だったな」
「そう? でも今日も大繁盛! よかったじゃない!」
「あ~…あ~……声も枯れて来た気がするよ……」
「あら、風邪?」
エルドラドやフェーダによって強制的にタイムジャンプされ実況して来た矢嶋だが、そのときの記憶はもちろんない。だから声が枯れた原因も知らないのだ。
「気をつけてよね、アンタ」
チュッ。
「っ! オ、オウッ!」
「フフッ!」
成海から頬にキスされた矢嶋は顔を赤くしてそう言うと、成海もまた顔を赤くして微笑んだ。
明日もまたこの夫婦の海の家は繁盛するだろう。そして矢嶋がたびたび厨房から消えるという事件はもうない……――はずだ。
☆☆☆☆☆
ニ百年後の未来から夕方の現代へやってきたTMキャラバンは、雷門中のグラウンドに降り立った。雷門メンバーと向かい合っているのは、フェイとワンダバと黄名子とトーブとザナーク――時を越えて出会った仲間たちだ。
「じゃあ、これからみんなをそれぞれの時代に送り届けるよ」
「うん。みんなと旅をして、サッカーできて、ホンットに楽しかったよ!」
「フンッ、そう言うと思ったぜ。まさに同感だ」
「でもこれでお別れって……寂しいやんね……」
「ううっ……なんか鼻から水が出てくっぞ……ズズッ」
「本当にありがとう、一緒にサッカーを守ってくれて」
いつもと同じ口癖を言って笑うザナークに対し、みんなのメッセージが書かれたボールを持つ黄名子と、垂れた鼻水をすするトーブには涙が浮かんでいたので、瑞貴は優しく微笑んで礼を告げた。
別れが辛いのは黄名子やトーブだけじゃない。信助だって涙を浮かべていた。
「寂しくなるね……ううっ……」
「ちゅーか、元気でね!」
「お前たちと出会ったこと、忘れないよ」
「ありがとう。僕も忘れないよ」
浜野海士や神童にそう言われ、フェイもまた返すと、雷門中のシンボルである稲妻マークを見上げる。
(そうさ……忘れるわけがない。雷門のみんなと体験した、たくさんの素晴らしい思い出!)
全員が乗り込んだTMキャラバンは、少しずつ宙に浮かんで行く。それを天馬たちはしっかりと目に焼きつけるため見送る。
(さよなら、フェイ……)
生きる時代が違う彼らと出会うことはもうないだろう。天馬は別れの言葉だけは心の中で伝えた。
「さあ行くぞ! 希望溢れる我らが未来へ!」
「ああ! 行こう!」
「「ターイムジャーンプ!」」
フェイとワンダバの掛け声とともに、TMキャラバンはワームホールの中に入って空から消え去った。
タイムジャンプなど現代ではありえなくて、不思議な出来事。まるで全てが夢と思わせるような大冒険はこうして幕を閉じた。
「こちらこそ。ありがとう、母さん」
もう一度瑞貴はSARUを抱きしめ、SARUも抱きしめ返した。それを見て我慢できないというようにメイアが叫ぶ。
「もー! SARUだけズルいわ! お母様、私も!」
「僕も!」
メイアとギリスを始め次々と瑞貴の元に再び集まる。瑞貴は一人一人を抱きしめたり、時には抱きしめられ、中には照れくさくて渋る子たちもいると発見次第まとめて思いっきり抱きしめるなど大胆な行動にも出た。
「なんかこうしていると、瑞貴さんが本当にSARUたちのお母さんに見えます」
「そうだな。俺も瑞貴との子供がほしくなってくるし、『父ちゃん』と呼んでほしいな」
「もし円堂監督と瑞貴さんに子供ができたら、俺、一緒にサッカーがしたいです!」
「オウッ。そのときは兄ちゃんとしてよろしくな、天馬!」
「お兄ちゃん……――はい!」
一人っ子の天馬は『お兄ちゃん』と呼ばれるのがとても嬉しくてたまらない。それに瑞貴と円堂の間に生まれた子供ならきっとサッカーが好きになるだろう。
その後、瑞貴は改めてSARUたちフェーダにも自分の出生を語ったが、誰一人として瑞貴を責めなかった。
この力を受け入れたのも、戦争を起こしたのも、ラグナロクを開催させたのも自分たちの意思だから瑞貴の出生は関係ないと。――そして同時に、フェイと同じように大切な仲間と出会えて感謝していた。
――天馬たちの時を越えた長い戦いは終わった。時空最強イレブン……天馬たちが本当にそうなれたのかは彼ら自身にもわからない。だけど、天馬たちがサッカーで結んだ絆は絶対に時空最強だ。
TMキャラバンに雷門メンバーとクロノストームの全員を乗せ、元の時代へと戻る彼らをサカマキ=トグロウとクロスワード=アルノはVIP席から眺めていた。そしてこれまでの出来事や今回の試合を見て思うことがある。
「人類の進化……『セカンドステージ・チルドレン』……。科学者である我々が、その存在を否定したことになる。これでよかったのか……?」
「わからん。じゃが、少なくともあの子たちには重過ぎたのじゃ。もし本当に進化すべき時が来たのなら、そのときは我々の手で止めることなどできんよ」
「……それもそうだな」
☆☆☆☆☆
瑞貴たち過ごす時代から十年前の沖縄では夕方になっており、ラストオーダーのカレーが運ばれる。
「おまちどおさま!」
「おっ、うまいな、このカレー!」
「ったりめぇよ!」
矢嶋成海が出したカレーを食べた客が思わずそう声を上げると、厨房で汗を拭っていた矢嶋陽介が笑って断言した。
そして閉店になり片付けも終わると、矢嶋と成海はテラスで海に沈む夕日を眺める。
「なんか、長い一日だったな」
「そう? でも今日も大繁盛! よかったじゃない!」
「あ~…あ~……声も枯れて来た気がするよ……」
「あら、風邪?」
エルドラドやフェーダによって強制的にタイムジャンプされ実況して来た矢嶋だが、そのときの記憶はもちろんない。だから声が枯れた原因も知らないのだ。
「気をつけてよね、アンタ」
チュッ。
「っ! オ、オウッ!」
「フフッ!」
成海から頬にキスされた矢嶋は顔を赤くしてそう言うと、成海もまた顔を赤くして微笑んだ。
明日もまたこの夫婦の海の家は繁盛するだろう。そして矢嶋がたびたび厨房から消えるという事件はもうない……――はずだ。
☆☆☆☆☆
ニ百年後の未来から夕方の現代へやってきたTMキャラバンは、雷門中のグラウンドに降り立った。雷門メンバーと向かい合っているのは、フェイとワンダバと黄名子とトーブとザナーク――時を越えて出会った仲間たちだ。
「じゃあ、これからみんなをそれぞれの時代に送り届けるよ」
「うん。みんなと旅をして、サッカーできて、ホンットに楽しかったよ!」
「フンッ、そう言うと思ったぜ。まさに同感だ」
「でもこれでお別れって……寂しいやんね……」
「ううっ……なんか鼻から水が出てくっぞ……ズズッ」
「本当にありがとう、一緒にサッカーを守ってくれて」
いつもと同じ口癖を言って笑うザナークに対し、みんなのメッセージが書かれたボールを持つ黄名子と、垂れた鼻水をすするトーブには涙が浮かんでいたので、瑞貴は優しく微笑んで礼を告げた。
別れが辛いのは黄名子やトーブだけじゃない。信助だって涙を浮かべていた。
「寂しくなるね……ううっ……」
「ちゅーか、元気でね!」
「お前たちと出会ったこと、忘れないよ」
「ありがとう。僕も忘れないよ」
浜野海士や神童にそう言われ、フェイもまた返すと、雷門中のシンボルである稲妻マークを見上げる。
(そうさ……忘れるわけがない。雷門のみんなと体験した、たくさんの素晴らしい思い出!)
全員が乗り込んだTMキャラバンは、少しずつ宙に浮かんで行く。それを天馬たちはしっかりと目に焼きつけるため見送る。
(さよなら、フェイ……)
生きる時代が違う彼らと出会うことはもうないだろう。天馬は別れの言葉だけは心の中で伝えた。
「さあ行くぞ! 希望溢れる我らが未来へ!」
「ああ! 行こう!」
「「ターイムジャーンプ!」」
フェイとワンダバの掛け声とともに、TMキャラバンはワームホールの中に入って空から消え去った。
タイムジャンプなど現代ではありえなくて、不思議な出来事。まるで全てが夢と思わせるような大冒険はこうして幕を閉じた。