最後のタイムジャンプ!
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「セカンドステージ・チルドレンの力を集めれば、母さんは元に戻れる」
「ホント!?」
「うん。もともと僕たちの力は母さんの血で共鳴して開花したんだからね」
「これが僕たちのセカンドステージ・チルドレンの力を使う最後……それがお母様のためなら何より嬉しいことです」
「やっと、本当の意味でお母様の力になれるんですから!」
「――そういうことなら僕たちも!」
ギリスとメイア続く声が別方向から聞こえたので瑞貴は振り向くと、フェイとザナークがいた。
「僕たちもセカンドステージ・チルドレンですから、僕もザナークも協力します!」
「まっ、円堂には借りがあるからな」
「フェイくん、ザナーク、サリュー、みんな……!」
フィールドのセンターラインの中心にいる瑞貴を中心に、SARUたちは三つの円になって瑞貴を囲む。中にはユニフォームは同じでも見たことのないメンバーもいるが、それぞれのチームの控え選手であり、同じセカンドステージ・チルドレンなのだろう。円堂や天馬たちもフィールドの外でそれを見守っていた。
試合前にラグナロクスタジアムをワームホールへ移動させたときのように、全員が目を閉じる瑞貴に向かって真っ直ぐ腕を伸ばして手の平を向け、次いで力を集中するように目を閉じた。
パアアァァアアア――!
SARUたちのオーラを注ぎ込まれた瑞貴は全身が眩しいくらいに光輝く。そしてだんだんと光が弱まって完全になくなったとき、そこにいたのは今までの中学生時代の瑞貴ではなく、大人の瑞貴の姿だった。
「瑞貴!」
「瑞貴さん! 元に戻ったんですね!」
「あっ……!」
円堂と天馬の声で目を開けた瑞貴はまず自分の両手を見つめ、腕を軽く伸ばしたり、下を向いたりして全身を確認する。服も子供にされる前と同じだったので、元に戻ったと実感した瑞貴は嬉しそうに笑った。
次に瑞貴はゆっくりと数歩歩き、SARUの前に来ると足を止めた。てっきり円堂か天馬の元に行くと思ったSARUはキョトンとする。
「母さん?」
「…………」
ギュッ。
「!」
突然SARUは瑞貴にそっと優しく引き寄せられ、ギュッと強く抱きしめられた。突然の瑞貴の行動にSARUは驚いて何か言おうとすると――。
「今まで、よくがんばったね」
「っ!」
「よく戦ってくれた、よく耐えてくれた、そして……よく生きてくれた。ありがとう……――サリュー」
「あっ……あっ……」
瑞貴の言葉に目を見開いたSARUは涙腺が崩壊したのか涙が溢れると同時に流れ出し、瑞貴にギュッとしがみついて子供のように泣きじゃくる。そしてそれを見た他のフェーダのみんなも、SARUにつられたのか瑞貴の元に駆け寄った。それを瑞貴は受け入れ、一人一人に涙を拭ったり、抱きしめたり、頭を撫でたりしていく。
力を恐れていたこともあった、生きてはいけないと思ったこともあった、戦いが間違っていると思うこともあった……――その我慢していた全てが、瑞貴のひと言によって涙と共に崩壊された。フェイとザナーク、そして円堂や天馬たちもその光景を微笑ましそうに見ている。
「……マリアとは、こういうことだったのだな」
VIP席からフィールドにやって来たトウドウ=ヘイキチは、その光景を見てそう呟いた。トウドウには瑞貴が本当に聖母に見えて、そしてセカンドステージ・チルドレンが本当にただの子供なのだと実感する。
一度目を閉じたトウドウは足をフィールドに向かって進めると、ひとしきり瑞貴に慰めてもらって落ち着いたセカンドステージ・チルドレンのみんな、そして瑞貴はトウドウに顔を向ける。中にはやはり今までされた迫害の恐れもあるせいか、警戒の顔をする者もいたが、トウドウはそれに気づきつつも口を開く。
「君たちがワクチンを打って普通の子供に戻り、私たちの手がいらなくなるそのときまで全面的に支援し、保護しよう。もちろん世間にも全て発表する。ーー私たちが君たちを迫害し、タイムジャンプで過去を変えようとしたことも含めてな」
「どうして!? 僕たちが今までしたことはなくならない……力がなくなったとはいえ、戦争を起こした子供を保護すれば、エルドラドは世界から信用を失うことになるんだぞ!?」
SARUたちが普通の子供になりこのテロを起こした本当の理由を世界が知っても、自分たちがしたことを全て世間が許すと限らない。それを未来意思決定機関のエルドラドが全て受け止めて、何があってもセカンドステージ・チルドレンを守ると誓うのが理解し難い。
「マリアと……――いや、円堂瑞貴と約束したのだ」
「母さんが……?」
「ラグナロクが始まる前に、少しね」
エルドラドの研究施設に連れて来られた際、トウドウから『血が必要だ』と言われて驚いた瑞貴。そしてその理由をトウドウの口から説明され、瑞貴はある条件を付けた。それが『セカンドステージ・チルドレンの全面的な保護と支援』である。
セカンドステージ・チルドレンが普通の子供になったあと彼らを庇護するよう申し出たのだ。彼らが普通の子供になって本当にしたいこと、将来は何になりたい、家族に会いたい、できる限りのことを後押ししてくれることを約束して。瑞貴の申し出をトウドウは受け入れた。それが過去に対する罪滅ぼしになるならと。
「きっとアスレイさんも協力してくれるよ。ほら」
「あっ……」
瑞貴が向けた視線の先をSARUがふと見ると、壁際だがトウドウと同じようにフィールドにやって来たフェイの父・アスレイ=ルーンが微笑みながら頷いていた。今までフェイのことを想い、フェーダでSARUたちを見守って来たのだから、これからはフェイと共にSARUたちの親代わりとして守ってくれるだろう。
「それと、あなたたちが悪い事をしたのは事実だから今までのことを全部世界のせいにしないで。周りからだけじゃなく、自分からも一歩だけでも歩み寄ること。信用も信頼もそうやって生まれていくから。もちろんムリはしなくていいし、決心が固まるときでもいいからね。それまで他の誰かがそばにいて支えてあげて」
「母さんには敵わないな。――わかったよ、僕も約束する」
クスッと苦笑するSARUは、どこか嬉しそうだ。それを見た瑞貴は優しく微笑み、SARUの両頬にそっと両手を当ててコツンと額を合わせて目を閉じる。
「ホント!?」
「うん。もともと僕たちの力は母さんの血で共鳴して開花したんだからね」
「これが僕たちのセカンドステージ・チルドレンの力を使う最後……それがお母様のためなら何より嬉しいことです」
「やっと、本当の意味でお母様の力になれるんですから!」
「――そういうことなら僕たちも!」
ギリスとメイア続く声が別方向から聞こえたので瑞貴は振り向くと、フェイとザナークがいた。
「僕たちもセカンドステージ・チルドレンですから、僕もザナークも協力します!」
「まっ、円堂には借りがあるからな」
「フェイくん、ザナーク、サリュー、みんな……!」
フィールドのセンターラインの中心にいる瑞貴を中心に、SARUたちは三つの円になって瑞貴を囲む。中にはユニフォームは同じでも見たことのないメンバーもいるが、それぞれのチームの控え選手であり、同じセカンドステージ・チルドレンなのだろう。円堂や天馬たちもフィールドの外でそれを見守っていた。
試合前にラグナロクスタジアムをワームホールへ移動させたときのように、全員が目を閉じる瑞貴に向かって真っ直ぐ腕を伸ばして手の平を向け、次いで力を集中するように目を閉じた。
パアアァァアアア――!
SARUたちのオーラを注ぎ込まれた瑞貴は全身が眩しいくらいに光輝く。そしてだんだんと光が弱まって完全になくなったとき、そこにいたのは今までの中学生時代の瑞貴ではなく、大人の瑞貴の姿だった。
「瑞貴!」
「瑞貴さん! 元に戻ったんですね!」
「あっ……!」
円堂と天馬の声で目を開けた瑞貴はまず自分の両手を見つめ、腕を軽く伸ばしたり、下を向いたりして全身を確認する。服も子供にされる前と同じだったので、元に戻ったと実感した瑞貴は嬉しそうに笑った。
次に瑞貴はゆっくりと数歩歩き、SARUの前に来ると足を止めた。てっきり円堂か天馬の元に行くと思ったSARUはキョトンとする。
「母さん?」
「…………」
ギュッ。
「!」
突然SARUは瑞貴にそっと優しく引き寄せられ、ギュッと強く抱きしめられた。突然の瑞貴の行動にSARUは驚いて何か言おうとすると――。
「今まで、よくがんばったね」
「っ!」
「よく戦ってくれた、よく耐えてくれた、そして……よく生きてくれた。ありがとう……――サリュー」
「あっ……あっ……」
瑞貴の言葉に目を見開いたSARUは涙腺が崩壊したのか涙が溢れると同時に流れ出し、瑞貴にギュッとしがみついて子供のように泣きじゃくる。そしてそれを見た他のフェーダのみんなも、SARUにつられたのか瑞貴の元に駆け寄った。それを瑞貴は受け入れ、一人一人に涙を拭ったり、抱きしめたり、頭を撫でたりしていく。
力を恐れていたこともあった、生きてはいけないと思ったこともあった、戦いが間違っていると思うこともあった……――その我慢していた全てが、瑞貴のひと言によって涙と共に崩壊された。フェイとザナーク、そして円堂や天馬たちもその光景を微笑ましそうに見ている。
「……マリアとは、こういうことだったのだな」
VIP席からフィールドにやって来たトウドウ=ヘイキチは、その光景を見てそう呟いた。トウドウには瑞貴が本当に聖母に見えて、そしてセカンドステージ・チルドレンが本当にただの子供なのだと実感する。
一度目を閉じたトウドウは足をフィールドに向かって進めると、ひとしきり瑞貴に慰めてもらって落ち着いたセカンドステージ・チルドレンのみんな、そして瑞貴はトウドウに顔を向ける。中にはやはり今までされた迫害の恐れもあるせいか、警戒の顔をする者もいたが、トウドウはそれに気づきつつも口を開く。
「君たちがワクチンを打って普通の子供に戻り、私たちの手がいらなくなるそのときまで全面的に支援し、保護しよう。もちろん世間にも全て発表する。ーー私たちが君たちを迫害し、タイムジャンプで過去を変えようとしたことも含めてな」
「どうして!? 僕たちが今までしたことはなくならない……力がなくなったとはいえ、戦争を起こした子供を保護すれば、エルドラドは世界から信用を失うことになるんだぞ!?」
SARUたちが普通の子供になりこのテロを起こした本当の理由を世界が知っても、自分たちがしたことを全て世間が許すと限らない。それを未来意思決定機関のエルドラドが全て受け止めて、何があってもセカンドステージ・チルドレンを守ると誓うのが理解し難い。
「マリアと……――いや、円堂瑞貴と約束したのだ」
「母さんが……?」
「ラグナロクが始まる前に、少しね」
エルドラドの研究施設に連れて来られた際、トウドウから『血が必要だ』と言われて驚いた瑞貴。そしてその理由をトウドウの口から説明され、瑞貴はある条件を付けた。それが『セカンドステージ・チルドレンの全面的な保護と支援』である。
セカンドステージ・チルドレンが普通の子供になったあと彼らを庇護するよう申し出たのだ。彼らが普通の子供になって本当にしたいこと、将来は何になりたい、家族に会いたい、できる限りのことを後押ししてくれることを約束して。瑞貴の申し出をトウドウは受け入れた。それが過去に対する罪滅ぼしになるならと。
「きっとアスレイさんも協力してくれるよ。ほら」
「あっ……」
瑞貴が向けた視線の先をSARUがふと見ると、壁際だがトウドウと同じようにフィールドにやって来たフェイの父・アスレイ=ルーンが微笑みながら頷いていた。今までフェイのことを想い、フェーダでSARUたちを見守って来たのだから、これからはフェイと共にSARUたちの親代わりとして守ってくれるだろう。
「それと、あなたたちが悪い事をしたのは事実だから今までのことを全部世界のせいにしないで。周りからだけじゃなく、自分からも一歩だけでも歩み寄ること。信用も信頼もそうやって生まれていくから。もちろんムリはしなくていいし、決心が固まるときでもいいからね。それまで他の誰かがそばにいて支えてあげて」
「母さんには敵わないな。――わかったよ、僕も約束する」
クスッと苦笑するSARUは、どこか嬉しそうだ。それを見た瑞貴は優しく微笑み、SARUの両頬にそっと両手を当ててコツンと額を合わせて目を閉じる。