最後のタイムジャンプ!

夢小説設定

この小説の夢小説設定
名前
旧姓
名前の最初の一文字

「天馬。僕も、その……君の友達に加えてくれないか?」

「それは違うよ」

「えっ?」

「友達は加えるものなんかじゃない。こうやって想いをぶつけ合う内に、いつの間にかなるものなんだ」

「それが、『友達』なのか?」

「うん。だから俺たちは――もう友達!」

「!」


そう言った天馬は手を動かし、腕相撲をするような体勢でSARUともう一度握手をした。SARUは一瞬驚いたが、天馬が自分のことを友達と言ってくれて嬉しかった。


「僕たちはエルドラドの提案通り、セカンドステージ・チルドレンの力を手放すことにするよ」

「そっか……じゃあサッカーも喜ぶね!」

「えっ?」

「SARUたちが永く生きられるようになったら、サッカーを続けてくれるんでしょ?」

「うん。そうだね」


そう答えたSARUはこれからもサッカーをしていくのだろう。同じセカンドステージ・チルドレンの力を持つ仲間たちと出会い、時代を越えた友達と出会わせてくれた『証』なのだから。


「チッ、SARUの奴」

「もっと自分の存在に、プライドを持ってほしいモノだね」


――スタジアムの一角で観戦していたガルシャア=ウルフェインとヴァンフェニー=ヴァンプは、セカンドステージ・チルドレンとは少し違う特殊な立場だ。違う道を行っていた彼らがSARUたちと同様に力を手放すのかは、まだわからない。


「俺、思うんだ。サッカーでいろいろな人の間に、絆ができたらいいなぁって。だからこれからも、サッカーをよろしくね!」

「アハッ、君らしい。わかったよ、任せて!」

「うん!」


天馬たちが時代を越えて繋いだサッカーの未来を、今度はこの時代に生きるSARUたちに託された。


「やったな、キャプテン!」

「なんか感動!」

「だあー! いい試合だったぞー!」

「よかったね、天馬! おめでとう!」

「ありがとう、葵!」



水鳥も茜もワンダバも葵も、これまでチームを支えてくれた功労者だ。天馬は祝いの言葉を受け取ると同時に感謝の意を告げるのだった。


キンッ!


「「「「「!」」」」」


葵の隣で浮かんでいた大介が突然眩く光輝き、光が治まると大介の姿はクロノストーンから人間の姿に戻ったので、ワンダバは叫ぶ。


「大介さんが元に戻った!」

「おお~。なかなか心地良い感じだったがの」

「――おーい!」

「――天馬!」


三国と車田の声が聞こえたので天馬たちは顔を上げると、試合が終わって次々と帰っていく観客の中に雷門メンバーがフィールドの近くに集まって笑顔を向けてくれた。


「やったドー!」

「よくやったな!」

「がんばったね!」

「やったな!」

「はい! やりました!」


天城や倉間典人や狩屋マサキや三国たちのいる壁際まで天馬たちは駆け寄る。そして観客席の一番上にはエルドラドの仲間たちもいた。


「じいちゃん」

「!」


両手を腰に当てた大介がその光景を温かく見守っていると、うしろから円堂が声をかけて来た。その隣には瑞貴もいる。


「また、助けられたみたいだな」

「フッフッ、サッカーの未来のためだ。これくらい当然だ!」

「そうだな。じいちゃんにとっては、サッカーが自分の全部だもんな!」

「大介さん、本当にありがとうございました!」

「なーに、わしこそまさか自分の理想が実現するとは思わんかったからな。この目で見れて嬉しいぞ」


瑞貴は深々と頭を下げて礼をすると、大介はそう言って笑った。時空最強イレブンが記されていた覇者の聖典は、大介の理想のチームとして書き残したものだ。ミキシマックスと力を受ける素質のある者たちが集まって、大介の長年の夢は達成された。


パアアァァアアア――!


「「「!」」」


再び大介が淡く光輝くと、光の粒が舞い上がっては足元から少しずつ消える現象は、いつかの剣城優一のときと同じで大介も本来自分のいるべき場所に帰るのだろう。


「守、これからもしっかりと育ててくれ! わしらのサッカーを!」

「わかってるよ……」

瑞貴、守とサッカーを頼んだぞ!」

「はい……」

「じゃあな、守! 瑞貴! 元気でな!」


最後に笑顔で親指を立てて前に突き出すと同時に、大介は光と共に完全にその場から消えた。円堂は顔をうつむけるとそばにいる瑞貴をそっと抱き締めた。現代にはもう大介はいない。円堂だって再び会えた大介ともっといろんな話がしたかっただろう。

瑞貴からは顔は見えないが円堂が抱きしめる力はどこか弱々しく、そして少し震えていたので、代わりに瑞貴が強く抱きしめた。


「ありがとな、瑞貴

「ううん」


しばらくして円堂は瑞貴と体を離して礼を言った。そしてふと気づく。


「そういえば、お前はいつ元の姿に戻るんだ?」

「それが、わからないんだって。エルドラドに来たときからセカンドステージ・チルドレンのワクチン開発と共に元の姿に戻れる方法を探してもらったんだけど……」

「――大丈夫だよ」

「!」


うしろから声が聞こえたので瑞貴は振り向き、円堂は顔を向けると、SARUを始めザ・ラグーンやザンやギルやガルのメンバーがそこにいた。
5/8ページ
スキ