「走れ！」

｢｢｢｢｢っ！｣｣｣｣｣

｢｢｢｢｢!?｣｣｣｣｣


神童の合図でゴールにいる信助とボールを所持するザナークを残し、ザ・ラグーンのメンバーのマークにピッタリ着いた。


「へぇ……」

「…………」

「うおおぉぉおおお！」


SARUがそう来たのかというように笑うと、彼のマークに着いているフェイは離れないように身を引き締めた。そしてその間にザナークがドリブルすると、人数のこともあってマークのないイムスが止めに入ろうとする。だが……。


「一対一なら……――負けねぇぜ！」

「！」


持ち前の凄まじい突破力もあり、ザナークはイムスをあっという間に抜いた。


「…………」

「あっ」

「いけ、フェイ！」


SARUは周りと目の前のフェイの様子を見つつ隙を付こうとしたので、体勢を立て直そうとするフェイは天馬が代わりにマークに入る。


「フ～ン、なるほどね」

「フェイ！」

「いけ！」

「ザナーク！」


さっきまでハムスのマークに着いていた神童が、今度は追って来たイムスのマークに入った。その隙にザナークはフェイにパスを出し、再びザナークにボールをも戻す。


「いくぜよ、フェイ！」

「今やんね！　ザナーク！」


錦や黄名子たちはがマークする選手を変えながら、フェイとザナークの進む道を広げる。

パスし合って進むフェイとザナークを基点に、他のみんなは相手のマークを変えながら道を開く作戦だ。パスが繋がって着実に進んでいるので神童は成功だと声を上げる。


「よし、道が開いた！」

「うまく繋がってる！」

「いけいけー！」

｢｢｢｢…………｣｣｣｣


山菜茜も水鳥も喜んで声を上げるが、大人組は逆に笑みすら浮かべていなかったことに誰も気づかなかった。


「よし！」

「――甘いよ、その作戦」

「！」


シュンッ！


拳を握る天馬の背後でSARUが静かにそう告げると、まるで瞬間移動したかのようなスピードでジャンプして天馬のマークから離れた。

SARUだけじゃない、イムスとハムスが神童の、ニケが剣城のマークからすぐに超スピードで逃れる。だが――。


「行かせない！　――魔神ペガサスアーク！　アームド！　うおおぉぉおおお！」


ミキシマックスを解除した天馬は化身を繰り出し、さらに化身アームドをした。さらに天馬だけじゃない。


｢｢うおおぉぉおおお！｣｣

「剣聖ランスロット！」

「奏者マエストロ！」

｢｢アームド！｣｣


剣城も神童もミキシマックスを解いて化身アームドし、三人は自分たちのマークから離れたSARUやイムスやハムスやニケの前に再び立ち塞がる。


「化身アームドか。確かに持続時間は短いが、瞬発力はミキシマックスより上だ」

「だが、体力がいつまで保(ﾓ)つか……」


ミキシマックスと化身アームドの使い分けに鬼道は感心する。しかし豪炎寺の言う通り体力が消耗しやすいので諸刃の剣とも言えるだろう。

あっという間に動きを阻止されたので、SARUは面白くなさげにふてくされる。


「フンッ」

「絶対に１点を取って、試合の流れを変えるんだ！」

「オウッ！　――俺も化身で行くぜ！　魔界王ゾディアク！　アームド！」


ザナークもまたミキシマックスを解き、化身アームドをするとそのままシュートを放つ。


「でやああっ！」

「リバースワールド！」


しかしホスの必殺技が上で、ボールがラインの外にクリアされた。