集結! 時空最強イレブン‼︎
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翌日の早朝。ミーティングルームでクロノストームと雷門メンバーとワンダバが集まっていた。彼らの前にはトウドウとサカマキが立っており、瑞貴と豪炎寺と鬼道はその端に控えている。
「いよいよ今日が、フェーダとの最終戦。人類の未来をかけた最後の試合だ。準備はできているな?」
「「「「「はい!」」」」」
「サカマキ」
全員の返事を聞いたトウドウは頷くとサカマキを呼んだ。それを合図にサカマキはスーツの裏ポケットに入れていた小さな箱を取り出しながら天馬や霧野たちクロノストームの前に来る。
「試合中はこれを耳の中に入れておけ。フェーダの念動派を防止するチップだ」
「防止するチップ?」
「奴らのことだ……前回同様、念動派を使いお前たちの頭にプレッシャーをかけてくる可能性は充分にある」
「いや、SARUはやらないと思う。あのときSARUが僕にやらせたのは、僕と天馬たちを引き裂くためだった……」
「……念のためだ」
「わかりました」
元フェーダのフェイの言うことが信じられないのか、確かに天馬とフェイの関係を考えればSARUなら命令してもおかしくない思ったのか、本当に念のためなのか、サカマキはそう言うと天馬はそれを受け取った。
それを確認した瑞貴はトウドウに目線をやると、気づいた彼も頷いた。次いで瑞貴は天馬たちに向き直る。
「みんなに、話しておきたいことがあるの。――私の出生のことを」
「「「「「?」」」」」
「「…………」」
最終決戦の前に何を言うのかと天馬たちは不思議に思う。逆に瑞貴の『出生』の事情を知る豪炎寺と鬼道は特に反応せず見守っている。
トウドウとサカマキは瑞貴から『セカンドステージ・チルドレンについて重大なこと』としか聞いてない。故に注意深く聞く。
「セカンドステージ・チルドレンが特殊な能力を持つ理由……それは、私の血によって共鳴したモノだってことは知っているよね。その本当の理由を考えてみたんだけど……答えは私の血が『この世界』とは違うからだと思う」
「どういうことですか?」
「言うとる意味がわからんぜよ」
神堂が尋ねて錦が首を傾げると、瑞貴はギュッと胸の前に拳を握る。それはまるで緊張しているようだ。
「私は……この世界の人間じゃない。いわゆる異世界人なの」
…………。
「「「「「ええぇぇえええ!?」」」」」
あまりにも唐突なことに思わず間を空けてしまった天馬たち。しかし次いで盛大に驚きの声を上げた。トウドウとサカマキとザナークも、声は上げずとも目を見開いている。
「瑞貴さんが、異世界から来たって……!」
「パラレルワールドとかそういうのじゃなくて?」
「少し違うね。簡単に言えばアーサー王のいた世界みたいなモノだよ。あそこは私たちのいる世界とは根本的に違うでしょ? 私もまたこの世界とは全く別の世界から来たってこと」
天馬と信介に顔を向けて答えた瑞貴は、続いてみんなに向かって言葉を紡ぐ。
「私の世界では私の血筋なんて特別なモノじゃない。でもこの世界にとっては違う……この世界にとって異端な血だから、セカンドステージ・チルドレンの力を目覚めさせてしまったのかもしれない。現にサリューたちは私の血筋のことを重大に言っていた……」
何人ものの子供が親と世界に見放され、復讐のためにラグナロクを開催させた。『もし瑞貴がトリップしなかったら』とは思わずにいられない。
「フェイくんも、アスレイさんと離ればなれにならずにすんだのかもしれない」
「っ……!」
フェイに顔を向けてそう言った瑞貴に、フェイは目を見開いた。父と別れる原因になったのは、紛れもなくセカンドステージ・チルドレンとしての力なのだから。
「この戦いを起こしたのは紛れもなく私。今更だけどみんな……――本当にごめんなさい」
瑞貴は天馬たちに向かって深々と頭を下げた。同時に次いで来るであろう罵詈雑言に耐えるため顔をしかめると……。
「――瑞貴さん、顔を上げてください」
「っ……」
天馬の声に瑞貴は恐る恐る顔を上げて……驚いた。目の前にいるみんなは誰一人として軽蔑の表情どころか眼差しもしていなかったからだ。
「瑞貴さんは自分のせいだって言ってますが、将来自分の子供に『超能力を持ったら世界を手に入れろ』とか言うつもりですか?」
「そんなことしないよ!」
「はい。俺たちも瑞貴さんがそんなことする人じゃないって知ってます。だからもう気に病まないでください」
「でも……」
「――瑞貴さん」
天馬の言葉に瑞貴は予想と違って驚いたが受け入れようとしない。しかしフェイが声をかけた。
「確かに僕はセカンドステージ・チルドレンの力に目覚めて、嫌なことはたくさんありました。父さんと別れ、周りの人たちから迫害され続けた」
「ごめんなさい……」
「でも、僕は一つだけこの力を持ってよかったと思うことがあるんです。それは――たくさんの仲間に出会えたことです!」
セカンドステージ・チルドレンの力を通じてSARUたちフェーダに出会えた、ミッションのため記憶を消してアルノとワンダバに出会えた、時を越えて天馬たちに出会えた……――それは力を持ってなかったら訪れることのない出会いかもしれない。
「確かにこの力が憎いこともありました。でも、同時に感謝もしているんです。――瑞貴さん、ありがとうございます!」
「フェイくん……」
「俺も、瑞貴さんのおかげで今もこうしてサッカーをしているんです」
「瑞貴さんがこの世界に来てくれて感謝しかありません」
「拓人くん……蘭丸くん……」
「瑞貴さんとの約束が、兄さんの支えになっています。もちろん俺もです」
「京介くん……」
「ウチ、瑞貴さんのことだーい好きやんね! 異世界人とか戦争の原因とか知っても、やっぱりこの気持ちは変わらないやんね!」
「黄名子ちゃん……」
「瑞貴さんは、俺たちのコーチで、大事な人ってことに変わりありませんから!」
「「「「「うん!」」」」」
「天馬……みんな……」
天馬の言葉に同意するよう全員が深く頷いた。瑞貴は思わず涙が出そうになったが、それが出る前に拭うと、豪炎寺と鬼道が十年前と変わらない優しい笑みを向けていたことに気づく。
「ありがとう……!」
とてもいい仲間と教え子に世界を越えて巡り会えたことに、瑞貴は改めて感謝するのだった。
そして戦争の原因は瑞貴だけでなく自分たちこの時代の者によるセカンドステージ・チルドレンへの迫害もあるので、トウドウもサカマキも責め立てるようなことはしなかった。そして本題に入る。
「で、この最終戦を指揮してもらう監督だが……」
「!」
トウドウの発言にワンダバは「きた!」というように反応した。ラグナロクどころかほぼ最初以外監督ができず、誰かにずっとその座を取られていた。最終戦は『自分が監督をせよ』とお天道様が告げていると昨夜思っていたくらいなので、元気よく手を上げて立候補しようとする。
「ぎちょ――ムグッ!?」
「――フェイ! 準備完了じゃ!」
「「「「「?」」」」」
「ムグググ……!」
ワープパネルから現れたアルノに天馬たちが不思議に思う中、台詞を遮られたワンダバは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「アルノ博士! できたんだね?」
「ウム!」
「ん? 『できた』?」
するとアルノは大掛かりな装置を用意し、コンピューターを起動させる。中心にあるのは何かが入りそうな大きな卵型ポッドだ。しかし最終戦にはとても関係があるように思えないので、神童と信助が尋ねる。
「なんですか? これは」
「多重時間理論第一人者のわしが作り上げた、クロノストーン化された人間を元に戻す装置じゃ!」
「元に戻す装置?」
「フェイ」
「…………」
アルノに呼ばれたフェイは無言のまま頷くと、上着の中のポケットから一つのクロノストーンを取り出した。そのとても見覚えのあるクロノストーンを見て、天馬も驚きの声を上げると瑞貴も思わずフェイのそばに駆け寄った。
「えっ!? それってもしかして!」
「守が閉じ込められている石!?」
「うん……」
「「「「「ええっ!?」」」」」
「フェイ! おまん、『うん』って簡単に言うとるが……」
「どうしてフェイがそれを?」
「あっ。昨日フェーダから取り返して来たんだ」
「フェイ……」
アッサリと肯定したフェイに錦と神童が円堂のクロノストーンが何故ここにあるかと尋ねると、フェイは微笑みながらそう言った。そして天馬はあのとき去って行ったのはこのためだったのかとわかり、嬉しそうに笑う。
「フェイくん……!」
ギュッ。
「み、瑞貴さん!?」
「ありがとう、フェイくん……! 守を取り戻してくれて……!」
「…………!」
フェイを抱きしめながら、昨日の言っていた『サプライズ』を理解した瑞貴は本当に嬉しそうに笑っている。目尻には涙が浮かんでいるほど感動しているので、フェイは取り返してきて本当によかったと思った。
「喜ぶのはまだ早いですよ。早く円堂監督を」
「うん……!」
「さあ、石をこちらに」
「はい」
アルノに呼ばれたフェイは瑞貴から離れると、卵型ポッドの中心から現れた細いアームにクロノストーンをセットした。さらにアームは伸びると、電撃を放つ装置の中心にセットされる。
それを確認したアルノは再びコンピューターを動かす。
「よし、セット完了じゃ! それじゃあ始めるぞ!」
バチバチバチ――!
「システム、スタート!」
準備をするように電撃が集められる中、アルノは最後のスイッチを押した。すると電撃が本格的にクロノストーンに注ぎ込まれるが……。