集結! 時空最強イレブン‼︎
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ユニフォームから私服に着替えたフェイは、フェーダのアジトにやってきた。扉を開けて周りに誰もいないことを確認すると部屋の奥の本棚にある宝箱を開く。そこには円堂守のクロノストーンがあった。
「円堂さん。あなたを天馬たちと母さん――瑞貴さんの元へお返しします」
円堂のクロノストーンを手に取ったフェイが振り返ると、先ほどまでいなかったSARUが壁に背を預けて両腕を組んで目を閉じていた。
「SARU……」
「困るなぁ、それを持って行かれちゃ。円堂守がいないと彼らが逃げちゃうでしょ? それに母さんがここに来たときの拠り所もなくなっちゃう」
「逃げはしないさ。天馬たちは絶対に。それに瑞貴さんもフェーダには渡さない」
「まあいいよ。持って行けば」
「!」
壁から体を離したSARUは手を広げてなんとアッサリと返してくれた。それにフェイは驚いたが、たとえ罠が待っていても試合前に伝えたいことがある。
「……SARU、僕たちがやってきたことは間違っているんだよ」
「そうかなぁ? フフフッ」
「じゃあ行くよ。僕は天馬たちと一緒に戦いたいんだ」
「君や円堂守や母さんが、あいつらの味方についたとしても、決して勝ち目はない。――その理由は、君が一番わかっているよね?」
SARUはフェイが開いたままの宝箱を閉じるとそう言った。フェーダの一員だったフェイは自分を含めた最強チームであるザ・ラグーンの実力を当然知っている。しかしフェイは、SARUに向かってただひと言を放つ。
「フィールドで会おう」
バタンッ。
「…………」
背を向けてから自分を一度も見ずに去って行ったフェイを、SARUは先ほどの笑みを浮かべた表情とは打って変わってどこか陰があった。
支援者Xがフェイの父親で黄名子が過去から来たフェイの母親だということは、この自分たちの監視下であるラグナロクスタジアム内で言っていたのでSARUにも伝わっている。自分にはいない両親の元に帰るフェイが羨ましいのか、憧れて愛してやまない瑞貴の元に戻ったのが妬ましいのか、もしくは……フェイがフェーダを抜けたことに悲しいのか。
ガタッ。
「っ! 君たちか……」
物音と同時に現れた『誰かたち』をSARUは振り向かなくても誰かわかった。彼の背後にはガルシャア=ウルフェインとヴァンフェニー=ヴァンプがいる。
「放っておいていいのか?」
「フェイは両親の元に帰りました、これもDestiniy! めでたしめでたし。実に感動的なストーリーだね。フッフフフッ」
「ハァ……。それにもう任務じゃなく、フェイはお袋の所に自ら向かったんだぞ」
「母上の元に一番いたいのは、君なんじゃない?」
「っ!」
フェーダの中で一番SARUは瑞貴を慕っている。自分の差し出した手を瑞貴は拒否したのに、フェイが伸ばした手を瑞貴はしっかりとつかんで受け入れてくれた。それに何も感じなかったと思えば嘘になるが……。
「どちらにせよ、母さんは明日には僕らの元へ来る」
宝箱のフタの上に置いたままの手を拳に変えて震わせたSARUは、二人に向かって背を向けたままそう言った。
☆☆☆☆☆
トウドウ=ヘイキチとサカマキ=トグロウが万が一のときに備えて特殊部隊にワクチンの投与を託している間、フェイはエルドラド側の廊下に……ある部屋の前にやって来た。ここは天馬の部屋である。
一度開けることにためらったが、深呼吸をして覚悟を決めたフェイは扉を開くと――。
パンッパパンッ!!
「「「「「おかえりー!」」」」
「!」
天井近くにある『おかえりフェイ』の横断幕と共に上がったクラッカー。天馬だけじゃなく他の雷門メンバーもワンダバも瑞貴も笑顔で迎えて来た。
「えっ……これって……?」
「ハハッ、水鳥さんが考えたんだ!」
「どうせなら派手に迎えてやろうと思ってな!」
天馬がそう言うと、確かに瀬戸水鳥がやりそうなことだと思って思わず笑みを浮かべたフェイは部屋の中に入る。よく見れば部屋の奥にはザナークもいた。そしてマネージャーたちを始めみんなから改めてもう一度。
「「「おかえりなさい!」」」
「「「「「おかえり! フェイ!」」」」」
「ありがとう……! 僕、ここにいてもいいんだね?」
「当たり前じゃないか!」
「フフッ」
自分の帰還を当然のように受け入れてくれる天馬たち。次いでフェイは黄名子を見ると彼女も温かい笑顔を浮かべてくれた。彼女が自分の本当の母親と知ってから変な感じもあるが、それもまた嫌ではなくむしろ嬉しくて、フェイもまた笑顔を返す。
「だがフェイ、お前の本当の戦いはこれからだぞ」
「!」
「明日の相手は、お前のかつての仲間だ」
「大丈夫、戦えるよ」
壁際にいた剣城京介に忠告されたが、フェイはもう覚悟を決めていた。そして新たな目標もある。
「僕はSARUを救ってやりたいんだ。……彼が閉じこもっている心の牢獄から」
「救うためのサッカーか……――やろうよ、みんな! フェイの気持ちがSARUに届くように!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
フェイの意思も天馬は汲み取ってくれた。そしてみんなも協力すると声を上げる。
すると瑞貴のポケットからいきなり円堂大介が飛び出し、みんなにも見えるように天井近くまで浮き上がるので信助たちは驚いた。
〈注目!〉
「どうしたんですか、大介さん? いきなり」
〈お前たちまさか気づいてないわけではあるまいな。長い道のりではあったが……――これで時空最強イレブンはコンプリートだ!〉
「コンプリート?」
突然の大介からの宣言に、天馬たちは目をパチクリした。
一の力は織田信長とミキシマックスした――神童拓人。
二の力はジャンヌ=ダルクとミキシマックスした――霧野蘭丸。
三の力は諸葛孔明とミキシマックスした――雨宮太陽。
四の力は劉玄徳とミキシマックスした――西園信助。
五の力は坂本龍馬とミキシマックスした――錦龍馬。
六の力は沖田総司とミキシマックスした――剣城京介。
七の力はケツァルコアトルス・通称トーチャンとミキシマックスした――トーブ。
八の力はビッグとミキシマックスした――フェイ=ルーン。
九の力はマスタードラゴンとミキシマックスした――菜花黄名子。
十の力はアーサー王とミキシマックスした――松風天馬。
十一の力は巨大台風・クララジェーンとミキシマックスした――ザナーク=アバロニク。
「本当だ! 全員そろってる!」
「待て待て、落ち着け落ち着け……本当にそろってんだろうな? やっぱり抜けてたなんてことないだろうな?」
「「あっ!」」
そういえばと信助は声を上げるが、いろいろあったので疑う水鳥の言葉で葵と山名茜はハッとした。フェイが抜けたり、ザナークが仲間になったり、フェイが帰って来たり……とにかくいろいろ重なったのだ。三人は神妙な顔で一人一人を確認する。
「円堂さん。あなたを天馬たちと母さん――瑞貴さんの元へお返しします」
円堂のクロノストーンを手に取ったフェイが振り返ると、先ほどまでいなかったSARUが壁に背を預けて両腕を組んで目を閉じていた。
「SARU……」
「困るなぁ、それを持って行かれちゃ。円堂守がいないと彼らが逃げちゃうでしょ? それに母さんがここに来たときの拠り所もなくなっちゃう」
「逃げはしないさ。天馬たちは絶対に。それに瑞貴さんもフェーダには渡さない」
「まあいいよ。持って行けば」
「!」
壁から体を離したSARUは手を広げてなんとアッサリと返してくれた。それにフェイは驚いたが、たとえ罠が待っていても試合前に伝えたいことがある。
「……SARU、僕たちがやってきたことは間違っているんだよ」
「そうかなぁ? フフフッ」
「じゃあ行くよ。僕は天馬たちと一緒に戦いたいんだ」
「君や円堂守や母さんが、あいつらの味方についたとしても、決して勝ち目はない。――その理由は、君が一番わかっているよね?」
SARUはフェイが開いたままの宝箱を閉じるとそう言った。フェーダの一員だったフェイは自分を含めた最強チームであるザ・ラグーンの実力を当然知っている。しかしフェイは、SARUに向かってただひと言を放つ。
「フィールドで会おう」
バタンッ。
「…………」
背を向けてから自分を一度も見ずに去って行ったフェイを、SARUは先ほどの笑みを浮かべた表情とは打って変わってどこか陰があった。
支援者Xがフェイの父親で黄名子が過去から来たフェイの母親だということは、この自分たちの監視下であるラグナロクスタジアム内で言っていたのでSARUにも伝わっている。自分にはいない両親の元に帰るフェイが羨ましいのか、憧れて愛してやまない瑞貴の元に戻ったのが妬ましいのか、もしくは……フェイがフェーダを抜けたことに悲しいのか。
ガタッ。
「っ! 君たちか……」
物音と同時に現れた『誰かたち』をSARUは振り向かなくても誰かわかった。彼の背後にはガルシャア=ウルフェインとヴァンフェニー=ヴァンプがいる。
「放っておいていいのか?」
「フェイは両親の元に帰りました、これもDestiniy! めでたしめでたし。実に感動的なストーリーだね。フッフフフッ」
「ハァ……。それにもう任務じゃなく、フェイはお袋の所に自ら向かったんだぞ」
「母上の元に一番いたいのは、君なんじゃない?」
「っ!」
フェーダの中で一番SARUは瑞貴を慕っている。自分の差し出した手を瑞貴は拒否したのに、フェイが伸ばした手を瑞貴はしっかりとつかんで受け入れてくれた。それに何も感じなかったと思えば嘘になるが……。
「どちらにせよ、母さんは明日には僕らの元へ来る」
宝箱のフタの上に置いたままの手を拳に変えて震わせたSARUは、二人に向かって背を向けたままそう言った。
☆☆☆☆☆
トウドウ=ヘイキチとサカマキ=トグロウが万が一のときに備えて特殊部隊にワクチンの投与を託している間、フェイはエルドラド側の廊下に……ある部屋の前にやって来た。ここは天馬の部屋である。
一度開けることにためらったが、深呼吸をして覚悟を決めたフェイは扉を開くと――。
パンッパパンッ!!
「「「「「おかえりー!」」」」
「!」
天井近くにある『おかえりフェイ』の横断幕と共に上がったクラッカー。天馬だけじゃなく他の雷門メンバーもワンダバも瑞貴も笑顔で迎えて来た。
「えっ……これって……?」
「ハハッ、水鳥さんが考えたんだ!」
「どうせなら派手に迎えてやろうと思ってな!」
天馬がそう言うと、確かに瀬戸水鳥がやりそうなことだと思って思わず笑みを浮かべたフェイは部屋の中に入る。よく見れば部屋の奥にはザナークもいた。そしてマネージャーたちを始めみんなから改めてもう一度。
「「「おかえりなさい!」」」
「「「「「おかえり! フェイ!」」」」」
「ありがとう……! 僕、ここにいてもいいんだね?」
「当たり前じゃないか!」
「フフッ」
自分の帰還を当然のように受け入れてくれる天馬たち。次いでフェイは黄名子を見ると彼女も温かい笑顔を浮かべてくれた。彼女が自分の本当の母親と知ってから変な感じもあるが、それもまた嫌ではなくむしろ嬉しくて、フェイもまた笑顔を返す。
「だがフェイ、お前の本当の戦いはこれからだぞ」
「!」
「明日の相手は、お前のかつての仲間だ」
「大丈夫、戦えるよ」
壁際にいた剣城京介に忠告されたが、フェイはもう覚悟を決めていた。そして新たな目標もある。
「僕はSARUを救ってやりたいんだ。……彼が閉じこもっている心の牢獄から」
「救うためのサッカーか……――やろうよ、みんな! フェイの気持ちがSARUに届くように!」
「「「「「オウッ!!」」」」」
フェイの意思も天馬は汲み取ってくれた。そしてみんなも協力すると声を上げる。
すると瑞貴のポケットからいきなり円堂大介が飛び出し、みんなにも見えるように天井近くまで浮き上がるので信助たちは驚いた。
〈注目!〉
「どうしたんですか、大介さん? いきなり」
〈お前たちまさか気づいてないわけではあるまいな。長い道のりではあったが……――これで時空最強イレブンはコンプリートだ!〉
「コンプリート?」
突然の大介からの宣言に、天馬たちは目をパチクリした。
一の力は織田信長とミキシマックスした――神童拓人。
二の力はジャンヌ=ダルクとミキシマックスした――霧野蘭丸。
三の力は諸葛孔明とミキシマックスした――雨宮太陽。
四の力は劉玄徳とミキシマックスした――西園信助。
五の力は坂本龍馬とミキシマックスした――錦龍馬。
六の力は沖田総司とミキシマックスした――剣城京介。
七の力はケツァルコアトルス・通称トーチャンとミキシマックスした――トーブ。
八の力はビッグとミキシマックスした――フェイ=ルーン。
九の力はマスタードラゴンとミキシマックスした――菜花黄名子。
十の力はアーサー王とミキシマックスした――松風天馬。
十一の力は巨大台風・クララジェーンとミキシマックスした――ザナーク=アバロニク。
「本当だ! 全員そろってる!」
「待て待て、落ち着け落ち着け……本当にそろってんだろうな? やっぱり抜けてたなんてことないだろうな?」
「「あっ!」」
そういえばと信助は声を上げるが、いろいろあったので疑う水鳥の言葉で葵と山名茜はハッとした。フェイが抜けたり、ザナークが仲間になったり、フェイが帰って来たり……とにかくいろいろ重なったのだ。三人は神妙な顔で一人一人を確認する。