フェイからボールを受け取ったユウチがドリブルする中、その向かいからレイが迎え撃つために走っている。


「ボールを奪取する」

「アンドロイドが調子に乗るな！　デコイ・リリース！」


ユウチが指を鳴らすと同時に何人もののユウチの人形が現れて走り出す。それにレイも混乱している隙に本物のユウチも人形に混じって突破していた。


「抜かれた!?」

「ふっ！」


アンドロイドで相手の正確なデータも取れるレイですら、セカンドステージ・チルドレンに敵わないのかと天馬は驚く。そしてユウチは前線にいるデッキにパスを出した。


「俺に任せろ！　戦旗士ブリュンヒルデ！　アームド！」


ついに霧野も化身アームドをした。戦旗士ブリュンヒルデと同じ色の鎧をまとい、桜色も交えたマントをたなびかせるそれは美しいとも感じる姿だ。


「ふっ！」

「霧野先輩が化身アームドを！」

「やるな、ウホウホくっぞ！　オラも負けてらんねぇ！」


霧野はスライディングでデッキからボールを奪い攻撃を阻止した。その姿に天馬だけでなくトーブも興奮し、ドラミングのように拳で胸を叩く。


「流れが変わりましたね」

〈ああ。ザナークの勢いが、沈んでいたメンバーの気持ちを上向きに変えたようだ〉

「みんな前半と比べて確実に動きがよくなってる！」

「１点の重みか……フフッ！」


まだ逆転していないとはいえ、明らかに前半とは違うと豪炎寺と大介と瑞貴は感じた。そして葵も瑞貴と豪炎寺が言っていたことがわかったらしく、嬉しそうに笑っている。


「っ！」

｢｢｢｢｢！｣｣｣｣｣


フェイがチーム・ガルのメンバーに向かって顔を向けると、全員了承するように頷いた。


「速水！」

「ふっ！」

「うわああっ！」

「速水先輩！」


霧野がパスを出すと、速水に渡る前にローコが強烈なタックルをくらわせたので、速水は脳にダメージがいかないよう頭を抱えて地に叩きつけられながら遠方に飛んで行く。だが手を伸ばした天馬に腕をつかまれたので、それ以上飛ぶことはなかった。


「叩き潰す！」

「いくぞ」

「いかせないぞ！」


ローコが前線にいるユウチにパスを出すとトーブがディフェンスに向かう。それにニヤリと笑ったユウチは化身を出した。


「豪雪のサイア！　アイシクルロード！」

「よーし、オラだって化身だ！　太古の戦士ジャガウォック！　アームド！」


化身シュートに迎え撃つためトーブが化身を出すと、アームドに成功した獣の毛皮のような鎧と兜をまとうその姿は、まるで部族の勇敢な戦士の姿だった。


「うおおおっ！」

「ふっ！」


トーブは足を出してシュートを上に飛ばすと、信助が冷静に落ちてきたボールを足で止めた。


《ユウチの化身シュートを、トーブが化身アームドで止めた――っ!!》

「ウホウホくっぞー！」

「いいぞ、トーブ！」


ハイテンションで化身アームドに成功したトーブ。そのパワーとトーブの新たな力に天馬も褒め称えた。