11人目の時空最強!!
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チーム・ザンとの試合でサリュー=エヴァンがある行動に出た。今まで共にサッカーを守るために戦ってきたフェイ=ルーンが、実は潜入のために記憶を消されたセカンドステージ・チルドレンだったのだ。記憶が戻ったのをキッカケにフェイは松風天馬や円堂瑞貴たちの元から去ってフェーダに戻る。
一人足りないまま試合に臨んだので、第一試合はチーム・ザンの勝利で終わる。だがエルドラドチーム01が1点をもぎ取ったので、点を取れない相手ではないとわかった。
そしてエルドラドはセカンドステージ・チルドレンの力を消す代わり、寿命を延ばすことのできるワクチンを開発したと知った天馬たち。それを打ってもらうためにはラグナロクに勝つしかない。
ガチャ。
「!」
フェーダのアジトで椅子に腰かけていた白いローブを被った老人はその音を見やると、扉から現れたSARUと――フェイを見て椅子から立ち上がった。フェイは彼をしばらく見るがすぐに部屋の奥に椅子に移動する。
「どうしたの? フェイのことが気になる?」
「…………」
扉のすぐそばの椅子に座ったSARUが尋ねるも、老人は何も言わない。それは半ば予想通りだったのかSARUは言葉を続ける。
「そもそも気になっていたんだけど、あなたは誰なんですか? 支援者Xと名乗って僕たちに協力してくれる唯一の大人の協力者だ」
「ああ……そうだな」
「しかもあなたは、エルドラドの幹部だったはずだよ。エルドラド内部の情報を僕たちに教え、いろんな助言をしてくれる……あんな情報は内部の人間でなければ知りえない。あなたはいったい、誰なのかな?」
「…………」
「言いたくないなら別にいいけどさ、くれぐれも裏切らないように。裏切ったら――どうなるかわからないよ? 僕らが心から信頼している大人は、母さんだけなんだから」
「…………」
それはSARUの忠告ともとれる発言だ。たとえ協力者でも大人だから信用していないのか、ただ単に老人――支援者Xが自分のことを何も言わないからか。
☆☆☆☆☆
ラグナロクスタジアムの内部で明日出場するチームの調整が終わったあと、瑞貴は自分の部屋で過去の資料をまとめていた。その中には当然フェイのデータも入っている。
(フェイくん……)
瑞貴の中で彼は天馬たちとは違う『守るべき者』の感情が湧いていた。それがなんなのか今までわからなかったが、セカンドステージ・チルドレンが力を目覚めさせるキッカケはサッカーと自分の血筋の共鳴と知って、我が子のような感覚だったのだとわかった。
それに瑞貴は自分が怖くなってきた。もともと別の世界からやってきたので、この世界では『異端』という事実を改めて突き付けられた感覚がした。夫の円堂守とも子供ができた将来を話したことはあったし、それが実現すればいいと思っている。しかし継がれていく血筋が今回の戦いを起こしたのと思うと……。
ゴンッ!
〈手が止まっておるぞ!〉
「す…すみません……」
自身を瑞貴の頭にぶつけてきた円堂大介に、瑞貴は頭を押さえながら謝罪した。素材は石と変わらないので思いっきり当たれば痛いものである。
〈まーったく、どうせ『自分がこの世界に来たせいで』とか『自分の血のせいで』とかいろいろくだらんことを悩んでおるんじゃろ!〉
「な、なんでわかったんですか!? てか、くだらないってヒドいです! 私は真剣に――」
〈年の功を甘く見るんじゃない! それに真剣なら尚更じゃ! そんなんじゃと、守と一緒になったことまで後悔しとるようなもんじゃぞ!〉
「っ、それは……」
大介の言葉に瑞貴は顔をうつむけた。さっきまでの思考にはなかったが、最終的にはそこに行きつくことになる。
〈守のことは当時協力者だった日本の友人や、FFIで夏未からよく聞いとった。しかしな、わしには守がサッカーと同等の幸せを感じておるときを何度も見ていた。それは何かわかるか?〉
「えっと……チームメイトと一緒に過ごすときですか?」
〈バカモン!!〉
「みぎゃ!?」
今度は耳元で叫ばれた。体は現在小さいのに声は裏腹に大きいので、耳元で叫ばれたら鼓膜が破れるかと思うくらいだ。
〈まったく、この鈍チンが。それはな……――お前さんと一緒にいるときじゃ〉
「私と……?」
大介の脳裏には響木正剛の病室で、いつの間にか眠った瑞貴と隣で優しく見守る円堂の光景が浮かんだ。あれは鮮明に思い出せるほど印象的だったし、それを見て『ああ、この子が守の大切な子なのか』と密かに思ったくらいだ。実際、あのあと円堂をからかったら図星だった。
〈あれからわしのいる現在まで、守と連絡を取る度にお前さんのことを話しておる。……半分は惚気じゃがな〉
「そ、それはなんかごめんなさい」
最後は溜息をついたのではないかと思うくらい小さい声だったので、瑞貴は恥ずかしいという気持ちより申し訳ないという気持ちが上だった。
〈いやいや、それは幸せだという証拠だとわかった。じゃからこそ、わしは大切な孫の嫁になってほしいと心底思ったんじゃぞ? 瑞貴は守と結婚して後悔しておるか?〉
「まさか! そんなことありません!」
〈考える間もなく即答か……きっと守も同じじゃ。頼むから『未来のため』と言って自分の幸せを捨てないでおくれ。――お前さんはわしにとってもう一人の孫なんじゃ。孫が不幸になることなんぞ願っておらん〉
「っ、ありがとうございます……!」
円堂と結婚して確かに家系図上では瑞貴は大介の孫同然だ。しかしそれを本人から口で言ってもらったことが何よりも嬉しかった。
もう一度気合いを入れるため、瑞貴は自身の両頬を叩いた。痛みはするがそれは気持ちの切り替えでもあるので力が入る。それを見た大介も切り替えの良さに頷いていた。
一人足りないまま試合に臨んだので、第一試合はチーム・ザンの勝利で終わる。だがエルドラドチーム01が1点をもぎ取ったので、点を取れない相手ではないとわかった。
そしてエルドラドはセカンドステージ・チルドレンの力を消す代わり、寿命を延ばすことのできるワクチンを開発したと知った天馬たち。それを打ってもらうためにはラグナロクに勝つしかない。
ガチャ。
「!」
フェーダのアジトで椅子に腰かけていた白いローブを被った老人はその音を見やると、扉から現れたSARUと――フェイを見て椅子から立ち上がった。フェイは彼をしばらく見るがすぐに部屋の奥に椅子に移動する。
「どうしたの? フェイのことが気になる?」
「…………」
扉のすぐそばの椅子に座ったSARUが尋ねるも、老人は何も言わない。それは半ば予想通りだったのかSARUは言葉を続ける。
「そもそも気になっていたんだけど、あなたは誰なんですか? 支援者Xと名乗って僕たちに協力してくれる唯一の大人の協力者だ」
「ああ……そうだな」
「しかもあなたは、エルドラドの幹部だったはずだよ。エルドラド内部の情報を僕たちに教え、いろんな助言をしてくれる……あんな情報は内部の人間でなければ知りえない。あなたはいったい、誰なのかな?」
「…………」
「言いたくないなら別にいいけどさ、くれぐれも裏切らないように。裏切ったら――どうなるかわからないよ? 僕らが心から信頼している大人は、母さんだけなんだから」
「…………」
それはSARUの忠告ともとれる発言だ。たとえ協力者でも大人だから信用していないのか、ただ単に老人――支援者Xが自分のことを何も言わないからか。
☆☆☆☆☆
ラグナロクスタジアムの内部で明日出場するチームの調整が終わったあと、瑞貴は自分の部屋で過去の資料をまとめていた。その中には当然フェイのデータも入っている。
(フェイくん……)
瑞貴の中で彼は天馬たちとは違う『守るべき者』の感情が湧いていた。それがなんなのか今までわからなかったが、セカンドステージ・チルドレンが力を目覚めさせるキッカケはサッカーと自分の血筋の共鳴と知って、我が子のような感覚だったのだとわかった。
それに瑞貴は自分が怖くなってきた。もともと別の世界からやってきたので、この世界では『異端』という事実を改めて突き付けられた感覚がした。夫の円堂守とも子供ができた将来を話したことはあったし、それが実現すればいいと思っている。しかし継がれていく血筋が今回の戦いを起こしたのと思うと……。
ゴンッ!
〈手が止まっておるぞ!〉
「す…すみません……」
自身を瑞貴の頭にぶつけてきた円堂大介に、瑞貴は頭を押さえながら謝罪した。素材は石と変わらないので思いっきり当たれば痛いものである。
〈まーったく、どうせ『自分がこの世界に来たせいで』とか『自分の血のせいで』とかいろいろくだらんことを悩んでおるんじゃろ!〉
「な、なんでわかったんですか!? てか、くだらないってヒドいです! 私は真剣に――」
〈年の功を甘く見るんじゃない! それに真剣なら尚更じゃ! そんなんじゃと、守と一緒になったことまで後悔しとるようなもんじゃぞ!〉
「っ、それは……」
大介の言葉に瑞貴は顔をうつむけた。さっきまでの思考にはなかったが、最終的にはそこに行きつくことになる。
〈守のことは当時協力者だった日本の友人や、FFIで夏未からよく聞いとった。しかしな、わしには守がサッカーと同等の幸せを感じておるときを何度も見ていた。それは何かわかるか?〉
「えっと……チームメイトと一緒に過ごすときですか?」
〈バカモン!!〉
「みぎゃ!?」
今度は耳元で叫ばれた。体は現在小さいのに声は裏腹に大きいので、耳元で叫ばれたら鼓膜が破れるかと思うくらいだ。
〈まったく、この鈍チンが。それはな……――お前さんと一緒にいるときじゃ〉
「私と……?」
大介の脳裏には響木正剛の病室で、いつの間にか眠った瑞貴と隣で優しく見守る円堂の光景が浮かんだ。あれは鮮明に思い出せるほど印象的だったし、それを見て『ああ、この子が守の大切な子なのか』と密かに思ったくらいだ。実際、あのあと円堂をからかったら図星だった。
〈あれからわしのいる現在まで、守と連絡を取る度にお前さんのことを話しておる。……半分は惚気じゃがな〉
「そ、それはなんかごめんなさい」
最後は溜息をついたのではないかと思うくらい小さい声だったので、瑞貴は恥ずかしいという気持ちより申し訳ないという気持ちが上だった。
〈いやいや、それは幸せだという証拠だとわかった。じゃからこそ、わしは大切な孫の嫁になってほしいと心底思ったんじゃぞ? 瑞貴は守と結婚して後悔しておるか?〉
「まさか! そんなことありません!」
〈考える間もなく即答か……きっと守も同じじゃ。頼むから『未来のため』と言って自分の幸せを捨てないでおくれ。――お前さんはわしにとってもう一人の孫なんじゃ。孫が不幸になることなんぞ願っておらん〉
「っ、ありがとうございます……!」
円堂と結婚して確かに家系図上では瑞貴は大介の孫同然だ。しかしそれを本人から口で言ってもらったことが何よりも嬉しかった。
もう一度気合いを入れるため、瑞貴は自身の両頬を叩いた。痛みはするがそれは気持ちの切り替えでもあるので力が入る。それを見た大介も切り替えの良さに頷いていた。