「はああぁぁあああ！　剣聖ランスロット！　アームド！」


ミキシマックスではダメだと判断し、剣城は化身アームドをする。


（俺が決める！　決めて瑞貴さんを守り、サッカーを――円堂監督を取り戻す！）


キャプテンを任せられ、守りたいモノと取り戻したいモノのために、強い思いと共に剣城はシュートを放つ。


「でぇりゃあぁぁあああ！」

「ふんぬぅうう！　深淵のアギラウス！」


なんとファダムは鋭い牙を持つ海に潜む大怪獣の化身を出した。


「ギガバイトスクリュー！」


さらに海から飛び出した深淵のアギラウスが口から凄まじい水流を出し、シュートは威力が消えると同時にファダムの手に治まってしまった。

化身アームドを解いた剣城は、ミキシマックスも化身アームドも決まらないショックを隠せず肩で息をする。


「ハァ…ハァ…俺が決めなければならないのに……！」

「……あいつに決まりだ」


ガロがニヤリと笑ってそう言ったのを、当の本人である剣城は気づかなかった。


「ふんっ！」

「！」


なんとファダムが投げたボールはチーム・ザンのメンバーではなく、真っ直ぐ剣城に渡ったのだ。どういうことかわからなかったが、剣城はとにかくドリブルする。


（どういうことだ!?　――っ！）

「フハハハ……――フンッ！」

「ぐわあっ！」


すると剣城の目の前にルードが立ち塞がる。その迫力に剣城の足が止まっていると、ルードはチャージしてボールごと剣城を吹っ飛ばしたのを見て錦は声を上げる。


「剣城！」

「っ、ぐううっ……！」

「いいねぇ！　このルード様のチャージを受けても倒れねぇとは！　今日の獲物は狩り甲斐があるぜ！　――ならこいつはどうだ？」

「！」


ルードが上を指差したので剣城が顔を上げると、いつの間にか上空にザタンとギガムとドリスがいた。


｢｢｢ブレイクアタック！｣｣｣


剣城の背中からギガムが膝蹴りをくらわし、ザタンが肘鉄をし、ドリスがキックをくらわせた。そのダメージはとても大きく倒れた剣城は起き上がれない。

チーム・ザンの非道な攻撃を見て瑞貴たちはベンチから立ち上がり、錦も再び呼びかけながら駆け寄る。


「京介くん！」

「ぐっ……！」

「剣城！」


ボールがラインの外に出ると同時に観客席からブーイングが上がるが、しかしガロたちチーム・ザンは全く動じない。


「剣城を痛めつけようとしているのは明らかだ。卑怯だぞ……！」


神童は確かにSARUが『超能力を使わない』と言っていたが、暴力的なプレーをするのは許し難い。


「クハハハハッ！」

「…………」


ガロたちはブーイングもモノともせず、むしろ歓声と受け取って高笑いをしている。そのうしろで、ザナークは彼らとは全く違う感情を持っており無表情でガロを見ていた。


「まいったね、残忍で困る。いくら相手を叩き潰すためとはいえ、どんな手段もいとわない荒くれ集団ではねぇ。母さんの好きなプレーじゃないってのに。まあ超能力を使わない約束を守っているだけマシかな」


SARUはガロたちの荒れるプレーに呆れてはいるものの、止めはしなかった。

剣城の周りには彼を心配して集まるエルドラドチーム01の雷門メンバーが集まる。


「大丈夫か、剣城!?　――ああっ！」

「ヒドい！」

「ウウッ……！」


先ほどの乱暴なプレーのせいで、剣城の右足首は腫れていた。それを見て錦は目を見開き、黄名子は衝撃のあまり口を両手で覆う。


（これ以上プレーは……！　誰か交代を！）


フェイがベンチに顔を向けるも、そこにいるのは監督の鬼道、コーチの瑞貴、マネージャーの水鳥、補佐(?)のワンダバだけだ。交代選手がいないことに、フェイは絶望を覚えるが――。


「――まだやれる！」

｢｢｢｢｢！｣｣｣｣｣

「俺はまだやれる！」

「ムリやんね！」

「やれる！」


黄名子の反対を押し切る剣城は、痛みもあるしその影響で汗が出ても、瞳は真っ直ぐで迷いがない。その思いを錦はムダにしたくはないと思い拳を握る。


「よし！　一緒に戦うぜよ、剣城！」

「はい！」

《負傷の剣城、なんとプレー続行を選んだ――っ!!》


剣城は立ち上がるも、やはり痛みでフラついてしまう。どうやら立っているのがやっとのようだ。


「気に入らねぇ……」


ザナークがそう言い放った相手はエルドラドチーム01ではなく……――チーム・ザンにだ。

ストライカーでキャプテンである負傷したエルドラドチーム01は、暴力的なプレーをするチーム・ザンを相手にどう戦うのか!?










☆コーチの　今日の格言☆



私は……ただ私たちの大事なサッカーを守りたいだけだよ



以上!!