信介の必殺技!
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万能坂中に勝利した雷門中サッカー部は、一部を除いてフィフスセクターに逆らって勝ち続ける道を選んだ。
霧野蘭丸はムリなプレーをして負傷してしまったため、ミーティングが終わったあと円堂瑞貴の車で病院に行き、今は家まで送ってもらっている。
「よかったね、大したことなくて」
「はい。次の試合までは必ず治します」
「フフッ。でも、ムリに練習にして悪化させたら元も子もないよ。しばらくは見学してね」
「はい……」
せっかくみんなが本当のサッカーをやると決めたのに、すぐ練習に参加できなくて霧野は残念がっている。きっと今までと違ってやりがいがあるだろう。
窓の外を見ながら物思いにふける霧野に気づき、瑞貴はちょうど赤信号で止まったので霧野に顔を向ける。
「そういえばさ、蘭丸くんも私のことを覚えてたの?」
「えっ?」
「拓人くんが十年前のことを覚えてるって聞いたから」
「ああ、もちろんです。俺たちにとって大事な思い出ですから」
幼い頃のことなのに今でもハッキリ覚えている。女子でもあんなにスゴいシュートを撃てる瑞貴に心が惹かれていた。
(……それは今も変わらないけどな)
信号が青になったので車を進めた瑞貴の横顔を見て霧野は苦笑した。神童や霧野にとって――瑞貴は初恋の相手でもあるのだから。
☆☆☆☆☆
雷門中は確かに準決勝へ進むことができたが、勝利に貢献したのはシードの剣城京介。彼はフィフスセクターの本部で聖帝・イシドシュウジの部屋に呼び出される。
「剣城京介……我々を裏切ったな?」
「…………」
イシドの問いかけに剣城は顔をうつむけた。万能坂中のサッカーを潰したことに後悔はないが、立場上で剣城の行ったことは許されないとイシドの側近も責める。
「お前は雷門の勝利に手を貸した。シードとしてあるまじき行為だ」
「申し訳ありません……」
「今度我々の命令に背けば、お前の兄は唯一の希望を失うことになる」
「!」
「それでもいいのか?」
剣城がフィフスセクターに入った理由は、過去の事故で両足が動けない兄・剣城優一の手術費を稼ぐことだ。フィフスセクターに切り捨てられれば、その望みも叶えられない。
「私は、信じている。次の試合で証明してくれ――君の真意を」
「わかって、います……」
「では、サッカーを楽しむといい。剣城」
「…………」
イシドの最後の言葉には答えず、剣城は礼をすると部屋から出て行った。
しかし剣城が手を貸したとはいえ雷門中が反抗しているのは事実なので、残ったイシドと側近たちはそのことで話し合う。
「雷門には風が吹き始めているようだな」
「彼らは中学サッカーにおいて、最も尊重すべき第五条をないがしろにしています」
「見せしめのためにも、サッカー部そのものを潰すべきではありませんか?」
「いや……――雷門はサッカー少年たちの憧れだ。影響力は計り知れない。潰すよりも生かして利用したほうが、我々の役に立つ」
「ハッ、聖帝の仰せの通りに」
側近たちはイシドに向けて礼をしたため、先ほどまで笑っていたイシドが顔をしかめていたことなど気づきもしなかった。
☆☆☆☆☆
朝練は前回と違って全員が参加している。瑞貴も全体の練習メニューも作ったので、それを元にイキイキとサッカーをしていた。……一人を除いて。
「みんな本気なんでしょうか……? 勝ち続けるって……」
みんなが動く中で一人で立っている速水鶴正は、確かに万能坂中との試合で戦ったが、あくまで流されたに過ぎない。心の中では不安がいっぱいなのだ。
「よし! 次はフォーメーションBだ! 速水!」
「えっ? あっ、はい!」
神童拓人に突然呼ばれたのですぐに反応できるはずもなく、速水はトラップミスをしてしまう。
「反応が遅い! 集中しろ!」
「はい……」
霧野蘭丸はムリなプレーをして負傷してしまったため、ミーティングが終わったあと円堂瑞貴の車で病院に行き、今は家まで送ってもらっている。
「よかったね、大したことなくて」
「はい。次の試合までは必ず治します」
「フフッ。でも、ムリに練習にして悪化させたら元も子もないよ。しばらくは見学してね」
「はい……」
せっかくみんなが本当のサッカーをやると決めたのに、すぐ練習に参加できなくて霧野は残念がっている。きっと今までと違ってやりがいがあるだろう。
窓の外を見ながら物思いにふける霧野に気づき、瑞貴はちょうど赤信号で止まったので霧野に顔を向ける。
「そういえばさ、蘭丸くんも私のことを覚えてたの?」
「えっ?」
「拓人くんが十年前のことを覚えてるって聞いたから」
「ああ、もちろんです。俺たちにとって大事な思い出ですから」
幼い頃のことなのに今でもハッキリ覚えている。女子でもあんなにスゴいシュートを撃てる瑞貴に心が惹かれていた。
(……それは今も変わらないけどな)
信号が青になったので車を進めた瑞貴の横顔を見て霧野は苦笑した。神童や霧野にとって――瑞貴は初恋の相手でもあるのだから。
☆☆☆☆☆
雷門中は確かに準決勝へ進むことができたが、勝利に貢献したのはシードの剣城京介。彼はフィフスセクターの本部で聖帝・イシドシュウジの部屋に呼び出される。
「剣城京介……我々を裏切ったな?」
「…………」
イシドの問いかけに剣城は顔をうつむけた。万能坂中のサッカーを潰したことに後悔はないが、立場上で剣城の行ったことは許されないとイシドの側近も責める。
「お前は雷門の勝利に手を貸した。シードとしてあるまじき行為だ」
「申し訳ありません……」
「今度我々の命令に背けば、お前の兄は唯一の希望を失うことになる」
「!」
「それでもいいのか?」
剣城がフィフスセクターに入った理由は、過去の事故で両足が動けない兄・剣城優一の手術費を稼ぐことだ。フィフスセクターに切り捨てられれば、その望みも叶えられない。
「私は、信じている。次の試合で証明してくれ――君の真意を」
「わかって、います……」
「では、サッカーを楽しむといい。剣城」
「…………」
イシドの最後の言葉には答えず、剣城は礼をすると部屋から出て行った。
しかし剣城が手を貸したとはいえ雷門中が反抗しているのは事実なので、残ったイシドと側近たちはそのことで話し合う。
「雷門には風が吹き始めているようだな」
「彼らは中学サッカーにおいて、最も尊重すべき第五条をないがしろにしています」
「見せしめのためにも、サッカー部そのものを潰すべきではありませんか?」
「いや……――雷門はサッカー少年たちの憧れだ。影響力は計り知れない。潰すよりも生かして利用したほうが、我々の役に立つ」
「ハッ、聖帝の仰せの通りに」
側近たちはイシドに向けて礼をしたため、先ほどまで笑っていたイシドが顔をしかめていたことなど気づきもしなかった。
☆☆☆☆☆
朝練は前回と違って全員が参加している。瑞貴も全体の練習メニューも作ったので、それを元にイキイキとサッカーをしていた。……一人を除いて。
「みんな本気なんでしょうか……? 勝ち続けるって……」
みんなが動く中で一人で立っている速水鶴正は、確かに万能坂中との試合で戦ったが、あくまで流されたに過ぎない。心の中では不安がいっぱいなのだ。
「よし! 次はフォーメーションBだ! 速水!」
「えっ? あっ、はい!」
神童拓人に突然呼ばれたのですぐに反応できるはずもなく、速水はトラップミスをしてしまう。
「反応が遅い! 集中しろ!」
「はい……」